領収書をなくした場合でも、直ちに経費にできなくなるとは限りません。
ただし、カード明細や出金伝票があれば、必ず経費として認められるというものでもありません。取引の実在性や事業との関係を、ほかの資料から説明できることが重要です。
経営者
仕事で使った備品の領収書をなくしてしまいました。もう経費にはできませんか?
税理士
領収書がないという理由だけで、直ちに経費にできなくなるわけではありません。
実際に取引があったこと、その支出が事業に関係すること、取引先、日付、金額、購入した商品やサービスの内容などを、ほかの客観的資料から説明できるかが重要です。
経営者
クレジットカード明細には利用先と金額が載っています。それだけでは足りませんか?
税理士
カード明細は有力な証拠の一つですが、それだけで常に十分とは限りません。
何を購入したのか、誰が利用したのか、事業にどう関係するのかまで分からないことがあるため、レシート、請求書、注文履歴、納品書、メールなども一緒に保存します。
経営者
銀行振込の場合は、通帳やインターネットバンキングの履歴だけで大丈夫ですか?
税理士
振込記録からは、支払先、支払日、金額を確認できます。
ただし、何の代金なのか、どの期間の費用なのか、事業に関係する支出なのかまでは分からないことがあります。請求書、契約書、注文書、納品書、メールなどと組み合わせて保存してください。
経営者
領収書がないときは、出金伝票を書けば大丈夫だと聞きました。
税理士
出金伝票を作れば必ず経費になる、ということではありません。
出金伝票は自社で作成する内部資料なので、取引先が発行した領収書や請求書より証明力は弱くなります。
支払日、支払先、金額、内容、事業目的、領収書を取得できなかった理由を記載し、メール、交通履歴、訪問記録などの資料で補完してください。
経営者
ネット通販の購入履歴や、メールで届いた請求書は使えますか?
税理士
取引先、日付、金額、商品やサービスの内容が確認できれば、重要な証拠になります。
ただし、メール、通販サイト、クラウドサービスなどで受け取った請求書や領収書は、原則として電子取引データに該当します。紙に印刷するだけでなく、元のPDFやメール、ダウンロードデータも電子データのまま保存してください。
経営者
法人税や所得税で経費になれば、消費税も同じように控除できますか?
税理士
いいえ。法人税・所得税の経費計上と、消費税の仕入税額控除は別問題です。
法人税や所得税では、ほかの資料から取引を説明できれば経費として認められる可能性があります。
一方、消費税では、原則として一定事項を記載した帳簿と、インボイスや簡易インボイスなどの保存要件を満たさなければ、仕入税額控除を受けられないことがあります。
経営者
カード会社の利用明細は、インボイスの代わりになりますか?
税理士
原則として、カード会社が発行する利用明細だけではインボイスの代わりにはなりません。
カード会社の明細は、商品やサービスを販売した店舗が交付した書類ではなく、通常は店舗の登録番号なども記載されていないためです。店舗や販売事業者が発行したインボイス等を保存してください。
経営者
少額の支出でも、必ずインボイスが必要ですか?
税理士
一定の例外があります。
一定規模以下の事業者が、2023年10月1日から2029年9月30日までに行う税込1万円未満の課税仕入れについては、一定事項を記載した帳簿を保存すれば、インボイスがなくても仕入税額控除を受けられる少額特例があります。
また、3万円未満の公共交通機関の運賃や自動販売機による購入など、帳簿のみで仕入税額控除が認められる取引もあります。
経営者
実際に領収書をなくした場合は、何から対応すればよいですか?
税理士
まず、取引先に領収書の再発行や支払証明書の発行を依頼してください。
再発行が難しい場合は、請求書、契約書、振込記録、カード明細、注文履歴、納品記録、メールなどを集め、支払先、日付、金額、内容、事業目的が分かる状態にします。
出金伝票は、その補助資料として作成してください。
高額な支出、現金取引、交際費、関係者との取引、領収書の紛失が繰り返されている場合は、通常より慎重な判断が必要です。
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、取引内容、金額、証拠資料、消費税の計算方法などによって異なります。
Author Profile
-
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




