給与から源泉徴収した所得税を、半年に一度まとめて納付できる「納期の特例」。
1月から6月分は7月10日、7月から12月分は翌年1月20日が原則的な納期限ですが、うっかり1日過ぎてしまった場合、どのようなペナルティが生じるのでしょうか。
経営者
給与の源泉徴収を半年に一度まとめて払う「納期の特例」を使っています。
7月10日が期限だったのですが、気づいたのが翌日の7月11日でした。1日だけなら、特に問題はありませんか?
税理士
1日だけであっても、実際の法定納期限を過ぎれば、形式上は期限後納付です。
そのため、不納付加算税と延滞税の対象にはなります。
ただし、1日遅れたら必ず実際の納付額が発生する、というわけではありません。過去の納付状況、税務署から指摘される前の自主納付かどうか、源泉所得税の金額などによって結論が変わります。
経営者
納期の特例の期限は、7月10日と1月20日でよいのですよね?
税理士
はい。
納期の特例の承認を受けている場合、1月から6月までに支払った給与等に係る源泉所得税は7月10日、7月から12月までの分は翌年1月20日までに納付します。
ただし、7月10日や1月20日が日曜日、祝日などに当たる場合は、その翌日が期限になります。
したがって、「1日遅れ」かどうかは、土日祝日による期限の繰越しを考慮した後の実際の法定納期限で判断します。
経営者
不納付加算税は、いくらかかるのでしょうか?
税理士
源泉所得税を法定納期限までに納付しなかった場合、不納付加算税は原則として10%です。
ただし、税務署から納税の告知を受ける前に自主的に納付した場合は、通常5%となります。
今回のように、翌日に気づいてすぐ自主納付するケースでは、まず5%の規定が問題になります。
経営者
1日遅れただけでも、5%を払わなければならないのですか?
税理士
必ずしもそうではありません。
法定納期限までに納付する意思があったと認められる一定の場合で、法定納期限から1か月以内に納付すれば、不納付加算税を課さない特例があります。
この特例を受けるためには、法令で定められた直前約1年間に、源泉所得税について納税の告知を受けた事実や、期限後納付をした事実がないことなどが必要です。
今回が初めての遅れで、翌日に自主納付し、過去の納付状況にも問題がなければ、不納付加算税は課されない可能性が高いと考えられます。
経営者
以前にも1日だけ遅れたことがありますが、そのときは何も請求されませんでした。
税理士
その点は注意が必要です。
前回、不納付加算税の通知が来なかったとしても、過去に期限後納付をした事実自体があれば、今回の不納付加算税不適用の要件を満たさない可能性があります。
「前回のペナルティが0円だったこと」と、「期限後納付の事実がなかったこと」は別です。
過去の納付日を、納付書、ダイレクト納付の履歴、インターネットバンキングの履歴などから確認してください。
経営者
不納付加算税が課される場合でも、金額が少なければ0円になることがありますか?
税理士
あります。
不納付加算税の計算額が5,000円未満の場合は、全額が切り捨てられます。
ただし、過去の納付状況などの要件を満たして「不納付加算税そのものが課されない場合」と、不納付加算税を計算した結果が5,000円未満となり「切捨てによって納付額が0円になる場合」は、法的な理由が異なります。
経営者
延滞税もかかりますか?
税理士
延滞税は、法定納期限の翌日から実際の納付日までの日数に応じて発生します。
したがって、実際の法定納期限から1日遅れて納付した場合は、原則として1日分の延滞税を計算します。
もっとも、計算された延滞税が1,000円未満であれば、全額が切り捨てられます。
通常の源泉所得税額を1日遅れて納付した程度であれば、実際の延滞税納付額が0円となるケースは多いと考えられます。ただし、本税が高額な場合は、1日分でも延滞税が生じる可能性があります。
経営者
単なるうっかり忘れでも、「正当な理由」があったとして免除されませんか?
税理士
単なる失念、税法の不知、制度の誤解、事実の思い違いだけでは、通常、「正当な理由」があったとは認められません。
国税庁の事務運営指針でも、そのような事情だけでは正当な理由に当たらないと示されています。
したがって、今回のようなケースでは、正当な理由による免除ではなく、1か月以内の納付と過去の納付状況に基づく不納付加算税の不適用要件を確認します。
経営者
まだ納付していない場合、どうすればよいですか?
税理士
直ちに自主納付してください。
1か月以内に納付すればよいという意味ではなく、遅延日数を増やさず、税務署から指摘を受ける前に納付することが重要です。
そのうえで、実際の法定納期限、納付日、納付額、直前約1年間の期限後納付や納税告知の有無、税務署からの指摘前の自主納付かどうかを確認します。
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の不納付加算税・延滞税は、法定納期限、納付日、納付額、過去の納付状況、税務署からの指摘の有無などによって異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




