会社を設立する前には、パソコンを購入したり、事業の打合せをしたり、セミナーに参加したりと、さまざまな支出が発生します。
まだ会社のクレジットカードや銀行口座がないため、代表者個人のカードで支払うことも少なくありません。
このような費用は、個人名義で支払ったという理由だけで、会社の経費にできなくなるのでしょうか。
経営者
会社を設立する前の3か月間に、個人名義のカードでパソコン代や、打合せのカフェ代、セミナーの参加費を支払いました。
個人名義で払っているので、会社の経費にはできませんか?
税理士
個人名義のクレジットカードで支払ったという理由だけで、会社の経費にできないわけではありません。
会社設立や、会社で行う事業の準備のために必要な支出であり、設立後に会社がその費用を負担することが明確であれば、代表者が立て替えた費用として精算できる可能性があります。
ただし、支出の内容によって処理方法は異なります。
経営者
会社設立前に支払ったものは、全部「開業費」にすればよいのでしょうか?
税理士
いいえ。会社設立前の支出が、すべて自動的に開業費になるわけではありません。
法人税法施行令上の開業費は、原則として、会社を設立した後から実際に事業を開始するまでの間に、開業準備のため特別に支出した費用をいいます。
一方、会社設立前の支出については、会社設立のための費用として会社が負担すべきものかどうかを個別に判断します。
設立登記、定款作成、設立に必要な打合せなどは、創立費に該当する可能性があります。
経営者
設立前に買ったパソコンは、会社の経費にできますか?
税理士
パソコンは、通常の消耗品費や創立費として一括処理するのではなく、会社の資産として処理するかを検討します。
代表者個人が購入したパソコンを会社で使用する場合は、会社への資産の帰属を明確にする必要があります。
たとえば、次のような整理が考えられます。
・会社が代表者の立替分を精算する
・会社が代表者からパソコンを買い取る
・代表者が会社へ無償で譲渡する
そのうえで、購入金額、使用開始日、私用割合などを確認し、固定資産、少額減価償却資産、消耗品費等のいずれになるかを判断します。
経営者
設立前の打合せで利用したカフェ代はどうですか?
税理士
会社設立や事業準備のために必要な打合せであれば、会社負担として認められる可能性があります。
ただし、単にカフェを利用したというだけでは、事業との関係を確認できません。
領収書や経費一覧には、少なくとも次の内容を記録してください。
・誰と打合せをしたか
・何について話したか
・会社設立や予定事業とどのように関係するか
・個人的な飲食ではないか
個人的な飲食部分が含まれる場合は、会社負担から除外する必要があります。
経営者
セミナー代も会社の経費にできますか?
税理士
セミナー代は、内容と目的によって判断が分かれます。
会社が行う予定の事業に直接必要な知識や技術を学ぶためのセミナーであれば、会社負担として認められる可能性があります。
一方で、一般的な自己啓発や、個人として取得する資格のための費用は、会社の経費として認められにくくなります。
セミナーの案内、カリキュラム、受講目的などを保存し、予定事業との関係を説明できるようにしておく必要があります。
経営者
設立後は、どのように帳簿へ記録すればよいですか?
税理士
まず、設立前に支払った費用を一覧にします。
支払日、支払先、金額、内容、会社との関係、領収書や請求書の有無を整理してください。
そのうえで、内容に応じて、創立費、固定資産、会議費、研修費などに分け、相手勘定は役員借入金や未払金などとして処理します。
会社が正式に負担する費用であることを明確にするため、設立後に会社として精算・承認した記録も残しておくと安全です。
経営者
法人税で経費にできれば、消費税も同じように控除できますか?
税理士
いいえ。法人税上の経費処理と、消費税の仕入税額控除は別問題です。
設立前の時点では法人がまだ存在していないため、その取引を法人が行った課税仕入れといえるか、請求書や領収書の宛名、取引時期、会社への資産移転などを個別に確認する必要があります。
法人税上、会社負担の費用として処理できる場合でも、消費税の仕入税額控除が当然に認められるとは限りません。
経営者
実際には、何を準備しておけばよいですか?
税理士
まず、設立前の支出について、次の資料をまとめてください。
・領収書、請求書
・クレジットカード明細
・契約書、注文書
・セミナーの案内やカリキュラム
・打合せ相手や目的を記録したメモ
・パソコン等の購入日、金額、使用開始日
・会社設立や予定事業との関係が分かる資料
資料を確認したうえで、会社負担にできるもの、個人負担となるもの、資産計上が必要なものを分けて処理します。
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、支出内容、金額、証憑、会社への資産移転、消費税の課税状況などによって異なります。高額な資産、私用との混在、証憑不足がある場合は、個別確認が必要です。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




