パソコンを購入したとき、「何年で減価償却すればよいのか」「すぐ経費にしてよいのか」で迷うことがあります。
結論からいうと、一般的なデスクトップPCやノートPCの法定耐用年数は、原則として4年です。
ただし、税務上は「パソコンの耐用年数は4年」という話だけで終わりません。
取得価額が10万円未満であれば一括費用処理できる場合があり、20万円未満であれば一括償却資産として3年で費用化する選択肢があります。また、一定の青色申告の中小企業者等であれば、現行法上、40万円未満の減価償却資産について、年間300万円を限度として取得時に全額損金算入・必要経費算入できる特例があります。
つまり、「耐用年数」と「何年で経費にできるか」は、必ずしも同じではありません。
経営者
パソコンの減価償却は、耐用年数何年ですか?
税理士
一般的なデスクトップPC、ノートPC、一体型PCなどのパーソナルコンピュータは、原則として4年です。
耐用年数省令上、「器具及び備品」のうち、「事務機器、通信機器」の「電子計算機」に区分されます。
そのうち、パーソナルコンピュータ、ただしサーバー用のものを除くものは4年、その他の電子計算機は5年とされています。
経営者
では、会社で使う普通のノートパソコンは4年でよいですか?
税理士
はい。通常の業務用ノートPCやデスクトップPCであれば、基本的には4年と考えてよいです。
Windows PCでもMacでも、通常のパーソナルコンピュータとして使うものであれば、原則は4年です。
ただし、実際にサーバーとして使用するコンピュータは5年になるため、機器の名称だけでなく、用途や使用実態を確認する必要があります。
パソコンの法定耐用年数の基本
事業用パソコンの法定耐用年数は、一般的には次のように整理します。
| 資産の種類 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| デスクトップPC | 4年 |
| ノートPC | 4年 |
| 一体型PC | 4年 |
| 通常のパーソナルコンピュータ | 4年 |
| サーバー用コンピュータ | 5年 |
| その他の電子計算機 | 5年 |
| 一般的な自社利用ソフトウェア | 5年 |
| 複写販売用原本・研究開発用ソフトウェア | 3年 |
「パソコンは4年」と「4年で経費にする」は同じではありません
経営者
パソコンは4年ということは、どんなパソコンでも必ず4年で減価償却するのですか?
税理士
いいえ。ここが実務上かなり重要です。
パソコン自体の法定耐用年数は原則4年ですが、取得価額によっては、4年間の通常の減価償却をしないケースがあります。
たとえば、取得価額が10万円未満であれば、一定の要件のもと、その年またはその事業年度に全額費用化できます。
10万円以上20万円未満であれば、一括償却資産として3年間で費用化する方法を選択できます。
さらに、一定の青色申告の中小企業者等であれば、40万円未満の減価償却資産について、年間300万円を限度として取得時に全額費用化できる特例があります。
金額別の実務上の整理
パソコンを購入した場合の実務上の整理は、おおむね次のようになります。
| 取得価額 | 主な処理 |
|---|---|
| 10万円未満 | 少額減価償却資産として全額費用化できる場合があります。 |
| 10万円以上20万円未満 | 通常の4年償却のほか、一括償却資産として3年で費用化する選択肢があります。 |
| 40万円未満 | 一定の青色申告の中小企業者等であれば、年間300万円を限度として全額損金算入・必要経費算入できる特例があります。 |
| 40万円以上 | 原則として、通常の減価償却により処理します。一般的なPCなら耐用年数4年です。 |
経営者
25万円のノートPCなら、4年で減価償却ですか?
税理士
法定耐用年数自体は4年です。
ただし、一定の青色申告の中小企業者等で、少額減価償却資産の特例の要件を満たす場合は、40万円未満の減価償却資産について、年間300万円を限度として取得時に全額損金算入・必要経費算入できる可能性があります。
したがって、たとえば税抜経理の中小法人が税抜25万円の新品ノートPCを購入し、事業の用に供した場合、要件を満たせば、その事業年度に25万円全額を損金算入できる可能性があります。
経営者
80万円のパソコンならどうなりますか?
税理士
80万円のPCは、通常、10万円未満、20万円未満、40万円未満のいずれにも該当しません。
そのため、一般的なパーソナルコンピュータであれば、原則として耐用年数4年で減価償却します。
ただし、サーバー用コンピュータに該当する場合は5年になるため、用途の確認が必要です。
10万円・20万円・40万円の判定は税込か税抜か
経営者
10万円未満、20万円未満、40万円未満という金額は、税込で判定しますか?税抜で判定しますか?
税理士
原則として、その事業者が採用している消費税の経理方式によります。
税抜経理をしている事業者であれば税抜金額で判定し、税込経理をしている事業者であれば税込金額で判定します。
免税事業者は税込経理となります。
たとえば、税込43万9,989円、税抜39万9,990円のPCについて、税抜経理をしている課税事業者であれば、金額基準上は40万円未満と判定される可能性があります。
一方、税込44万円、税抜40万円のPCは、税抜経理であっても40万円未満ではないため、40万円未満特例の金額基準からは外れます。
取得価額には本体価格以外も含まれることがあります
経営者
パソコン本体が38万円なら、40万円未満特例を使えますか?
税理士
本体価格だけで判断してはいけません。
減価償却資産の取得価額には、購入代価だけでなく、購入のために要した費用や、その資産を事業で使うために直接必要となった費用が含まれます。
たとえば、PC本体が38万円でも、事業利用に必須の設定費や設置費などが3万円あり、それが取得価額に算入される場合、合計41万円となって40万円未満特例の対象外になる可能性があります。
送料、初期設定費、設置費、導入作業費、ソフトウェア代などがある場合は、請求書の内訳を確認する必要があります。
1台・1組・1そろいで判定する
経営者
請求書を分ければ、40万円未満にできますか?
税理士
単に請求書を分ければよい、というものではありません。
少額減価償却資産の金額判定は、通常1単位として取引される単位ごとに行います。
器具備品については、1個、1組または1そろいごとに判定します。
たとえば、本体、モニター、キーボード、ドッキングステーションなどを同時に購入した場合、それぞれが独立して使用・取引できる資産なのか、一体として初めて機能する一組の設備なのかを確認する必要があります。
金額判定を有利にするためだけに請求書や明細を分割する処理は避けるべきです。
中古パソコンの耐用年数
経営者
中古パソコンを買った場合も4年ですか?
税理士
中古パソコンの場合は、新品と同じ4年をそのまま使うとは限りません。
中古減価償却資産は、その取得後の使用可能期間を合理的に見積もることができれば、その見積年数を耐用年数とすることができます。
合理的な見積りが難しい場合は、簡便法による耐用年数計算が認められています。
経営者
たとえば、かなり古い中古PCなら何年になりますか?
税理士
法定耐用年数の全部を経過している中古資産の場合、簡便法では、法定耐用年数の20%で計算します。
ただし、計算結果が2年未満になる場合は2年とします。
パソコンの法定耐用年数は4年ですから、4年以上経過した中古PCの場合、
4年×20%=0.8年
となります。
しかし、2年未満の場合は2年とされるため、簡便法による耐用年数は2年です。
経営者
2年落ちの中古PCならどうですか?
税理士
法定耐用年数の一部を経過している中古資産の場合、簡便法では次のように計算します。
法定耐用年数から経過年数を引いた年数に、経過年数の20%を加えます。
たとえば、法定耐用年数4年のパソコンで、新品から2年経過している中古PCなら、
4年-2年+2年×20%=2.4年
となります。
1年未満の端数は切り捨てるため、2年です。
経営者
中古PCなら必ず短い耐用年数にできますか?
税理士
必ずではありません。
中古資産を事業で使うために多額の改修や修理をしている場合、簡便法が使えないことがあります。
たとえば、使用のための資本的支出が中古資産の取得価額の50%を超える場合には、簡便法を使えないとされています。
中古PCを買ってから大きな改造や改修をしている場合は、購入金額だけで判断しない方が安全です。
サーバーやネットワーク設備は4年とは限らない
経営者
高性能なワークステーションやサーバーも、パソコンだから4年ですか?
税理士
高性能だから5年、普通だから4年、という単純な話ではありません。
通常のパーソナルコンピュータとして使うものであれば、基本的には4年です。
一方、実際にサーバー用コンピュータとして使用するものや、その他の電子計算機に該当するものは5年になります。
また、LAN設備やネットワーク設備をまとめて導入した場合、すべてをパソコン4年として処理できるとは限りません。サーバー、端末、伝送媒体、ネットワーク機器、ソフトウェアなど、構成資産ごとに判断が必要になることがあります。
ソフトウェアはパソコン本体とは別に考える
経営者
パソコンと一緒に業務ソフトも買いました。全部4年でよいですか?
税理士
ソフトウェアは、パソコン本体とは別に考える必要があります。
一般的な自社利用ソフトウェアは、原則として耐用年数5年です。
一方、複写して販売するための原本や、研究開発用ソフトウェアについては3年とされています。
たとえば、PC本体100万円、独立した業務ソフト100万円を同時に購入した場合、すべてをパソコンとして4年で処理するのではなく、ハードウェアとソフトウェアを分けて判断する必要があります。
減価償却は購入日ではなく事業供用日から
経営者
パソコンを買った日から減価償却が始まりますか?
税理士
原則として、減価償却が始まるのは購入した日ではなく、事業の用に供した日です。
購入して箱に入れたまま保管しているだけで、まだ事業で使っていない場合、通常はその時点から減価償却を始めるものではありません。
実際に事業で使い始めた日を確認することが重要です。
町田・相模原でパソコン・IT設備の経費処理に迷ったら
パソコンの経費処理は、一見すると「4年で減価償却」と簡単に見えます。
しかし実際には、10万円未満、20万円未満、40万円未満特例、中古資産、サーバー、ソフトウェア、ネットワーク設備、消費税の税込・税抜判定など、確認すべき点が多くあります。
特に、町田・相模原で法人設立直後、法人成り直後、または個人事業主としてパソコンやIT設備を購入した方は、最初の処理を誤ると、その後の会計処理にも影響します。
タクスリンク税理士事務所では、町田・相模原の中小企業・個人事業主の方に向けて、パソコン、ソフトウェア、IT設備の経費処理や減価償却の判断も含めてサポートしています。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、法人・個人の別、青色申告の有無、取得価額、税込経理・税抜経理、新品・中古、サーバー該当性、ソフトウェアや周辺機器の内訳、事業供用日などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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