2026年7月31日時点では、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる制度は、まだ法律として成立していません。
報道等によれば、政府は、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、一定の飲食料品の消費税率を現行8%から1%へ引き下げる方針を示しているとされています。
ただし、現時点ではあくまで政府方針の段階であり、今後の大綱、法案、国会審議、成立法の内容を確認する必要があります。
そのうえで、仮に現在公表されている方針どおりに法制化された場合、飲食店には、店内飲食とテイクアウトの税率差、食材仕入れの仕入税額控除、レジ・会計ソフト、価格表示、資金繰りなどの面で大きな影響が出る可能性があります。
飲食店経営者
飲食店を経営している個人事業主です。
来年4月から飲食料品の消費税を1%にするという議論があるようですが、もしそうなったら、うちの店に影響はありますか?
税理士
影響はあります。
ただし、最初に注意が必要です。2026年7月31日時点では、飲食料品の消費税率1%は、まだ成立した制度ではありません。
報道されている内容では、2027年4月1日から2年間、一定の飲食料品の消費税率を現行8%から1%に引き下げる方針とされています。
今後、法案が提出され、国会で審議され、実際に成立した法律の内容を確認する必要があります。
飲食店経営者
では、まだ決まったわけではないのですね。
税理士
はい。現時点では「決定済みの制度」ではなく、「政府方針として報じられている段階」と考えるべきです。
そのため、記事やお客様への案内では、「1%になります」と断定するのではなく、「方針どおり法制化された場合」と表現する必要があります。
税制改正は、最終的な法律、政令、省令、国税庁の取扱いが公表されてから、具体的な処理を確定させます。
飲食店経営者
もし方針どおりになった場合、店内飲食も1%になりますか?
税理士
現在公表されている方針が、現行の軽減税率対象品目を1%にするものだとすると、店内飲食は1%にならない可能性が高いです。
現行制度では、酒類と外食を除く飲食料品の譲渡が軽減税率8%の対象です。
一方、飲食設備のある場所で顧客に飲食させる取引、つまり一般的な店内飲食は「食事の提供」に該当し、軽減税率の対象外です。そのため、店内飲食は引き続き10%となる可能性があります。
飲食店経営者
では、テイクアウトや宅配は1%になる可能性があるということですか?
税理士
はい。現在の軽減税率と同じ考え方が維持されるなら、テイクアウトや宅配の飲食料品は1%の対象になる可能性があります。
一方、店内飲食は10%、酒類も10%のままと考えられます。
ただし、最終的な対象品目や経過措置は、法案や国税庁資料を確認する必要があります。
飲食店経営者
店内飲食とテイクアウトで、税込価格の差がかなり大きくなりそうですね。
税理士
そのとおりです。
たとえば、税抜1,000円の商品を考えます。
店内飲食が10%のままであれば、税込価格は1,100円です。
一方、テイクアウトが1%になれば、税込価格は1,010円です。
現在の10%と8%の差よりも、税込価格差が大きくなります。価格表示を税込で統一するのか、店内飲食とテイクアウトで税込価格を分けるのか、メニュー表示をどうするのかを検討する必要があります。
飲食店経営者
食材の仕入れはどうなりますか?
税理士
食材が1%の対象になると、仕入時に支払う消費税額は下がる可能性があります。
ただし、一般課税で消費税を申告している飲食店の場合、食材仕入れに係る仕入税額控除も減ります。
たとえば、税抜300万円の食材を仕入れる場合、現在の8%なら消費税相当額は24万円です。
仮に1%になれば、消費税相当額は3万円です。
そのため、他の条件が同じなら、申告時に控除できる仕入税額は21万円減る計算になります。
飲食店経営者
ということは、消費税の納税額が増えるのですか?
税理士
一般課税では、納付税額だけを見ると増えて見える可能性があります。
ただし、税率引下げ分が仕入価格にきちんと反映されれば、仕入時の支払額も減ります。
つまり、税抜価格が変わらず、税率分だけ税込仕入価格が下がるのであれば、仕入時の支払額減少と、申告時の仕入税額控除減少は基本的には対応関係にあります。
ただし、仕入時の支払いと消費税の納税時期は異なるため、資金繰りには注意が必要です。
飲食店経営者
仕入先が値段を下げてくれない場合はどうなりますか?
税理士
その場合は、飲食店側の利益を圧迫する可能性があります。
食材の税率が8%から1%になっても、仕入先が税込価格を同じ水準に維持した場合、飲食店側は仕入税額控除だけが減り、実質的な負担が増える可能性があります。
制度が成立した場合は、仕入先が税率引下げ分を納入価格にどのように反映するのかを確認する必要があります。
飲食店経営者
簡易課税を使っている場合も同じですか?
税理士
簡易課税の場合は、影響の出方が異なります。
簡易課税では、実際の食材仕入れに含まれる消費税額ではなく、売上に係る消費税額にみなし仕入率を掛けて納付税額を計算します。
飲食店業は、原則として第4種事業に該当し、みなし仕入率は60%です。
そのため、店内飲食売上が10%のままであれば、食材の税率が下がっても、簡易課税による納付税額には直接反映されません。
一方、テイクアウト売上が1%になれば、その売上に対応する売上税額と納付税額は減少します。
飲食店経営者
レジや会計ソフトも対応が必要ですか?
税理士
必要になる可能性が高いです。
店内飲食10%、テイクアウト1%、酒類10%のように複数税率を区分する必要が出ます。
また、個人事業者の場合、2027年分の消費税申告では、同じ課税期間の中に8%、1%、10%の取引が混在する可能性があります。
レジ、POS、会計ソフト、レシート、インボイス、帳簿の税率区分が対応できるかを確認する必要があります。
飲食店経営者
結局、今の段階で何をしておけばよいですか?
税理士
まずは、まだ制度が確定していないことを前提に、現在の売上構成を把握しておくことです。
具体的には、店内飲食、テイクアウト、宅配、酒類売上の割合を整理します。
次に、一般課税か簡易課税か、食材仕入額がどのくらいあるか、メニュー価格が税込表示か税抜表示か、レジ・会計ソフトが複数税率に対応できるかを確認します。
制度が正式に成立した段階で、税額、価格設定、資金繰り、レジ対応を具体的に試算するのが現実的です。
町田・相模原で飲食店の消費税対応に不安がある方へ
飲食店では、店内飲食、テイクアウト、宅配、酒類、食材仕入れが混在し、消費税の税率区分が複雑になりやすい業種です。
仮に飲食料品の消費税率1%が法制化された場合、税率の変更だけでなく、レジ設定、会計ソフト、インボイス、価格表示、資金繰りにも影響が出る可能性があります。
町田・相模原で飲食店を経営していて、消費税やインボイス対応に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、2026年7月31日時点の公表情報を前提に、一般的な税務上・実務上の影響を解説したものです。飲食料品の消費税率1%は、現時点では成立済みの制度ではありません。実際の対応は、今後の法案、成立法、政令、省令、国税庁資料、個別の売上構成や申告方法により異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




