2026年度の最低賃金について、東京・神奈川で従業員を雇っている会社から、給与をいつから変更すべきかという相談が増えています。
2026年8月31日時点では、神奈川県最低賃金は時間額1,279円への改正が正式決定されており、2026年10月1日から適用されます。
一方、東京都については、東京地方最低賃金審議会が、現在の時間額1,226円から54円引き上げて1,280円とする答申を行っています。東京労働局の2026年8月31日時点の公表では、所定の手続きを経たうえで、早ければ2026年10月1日に改正発効される予定とされています。
| 地域 | 現在の最低賃金 | 2026年度の金額 | 引上げ額 | 現在の状況 | 発効日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京 | 1,226円 | 1,280円 | 54円 | 答申・改正手続中 | 2026年10月1日予定 |
| 神奈川 | 1,225円 | 1,279円 | 54円 | 正式決定 | 2026年10月1日 |
重要なのは、「10月支給給与から変更すればよい」という単純な話ではないことです。
神奈川県では、2026年10月1日以後に働いた時間について、新しい最低賃金である1,279円以上になるよう給与を計算する必要があります。
東京都についても、答申どおり2026年10月1日に1,280円へ改正発効された場合には、10月1日以後に働いた時間について、新しい最低賃金以上になるよう給与を計算する必要があります。
経営者
2026年の最低賃金はいくらになりますか?
東京と神奈川で従業員を雇っているのですが、いつから給与を変更しなければなりませんか?
税理士
2026年8月31日時点では、神奈川県は時間額1,279円への改正が正式に決定しています。
2026年10月1日から1,279円が適用されます。
東京都については、時間額1,226円から54円引き上げて1,280円とする答申が出ています。
東京労働局の公表では、所定の手続きを経たうえで、早ければ2026年10月1日から改正発効される予定です。
経営者
神奈川はもう確定していて、東京はまだ確定前ということですか?
税理士
はい。2026年8月31日時点では、そのような状況です。
神奈川県については、神奈川労働局が時間額1,279円への改正決定を行い、2026年8月31日を官報公示日、2026年10月1日を発効日としています。
一方、東京都については、東京地方最低賃金審議会から時間額1,280円への引上げが答申されていますが、東京労働局の最新公表では、まだ「早ければ2026年10月1日に改正」とされています。
そのため、東京については今後の改正決定・官報公示も確認する必要があります。
経営者
では、10月支給分の給与から変更すればよいのでしょうか?
税理士
そこは注意が必要です。
最低賃金は、原則として「いつ支給する給与か」ではなく、「いつ働いた分の賃金か」で考えます。
神奈川県では2026年10月1日から新しい最低賃金が発効しますので、10月1日以後に働いた時間について、1,279円以上になるようにする必要があります。
東京都についても、答申どおり10月1日に1,280円へ改正発効された場合には、10月1日以後に働いた時間について1,280円以上になるようにする必要があります。
たとえば、給与計算期間が9月21日から10月20日までの場合、9月30日までの労働と、10月1日以後の労働を分けて確認する必要があります。
経営者
東京で時給1,250円のアルバイトがいる場合はどうなりますか?
税理士
東京都最低賃金が答申どおり1,280円で発効した場合、10月1日以後の労働について、時給1,250円のままでは最低賃金を下回ります。
そのため、10月1日から1,280円で発効することが正式決定された場合には、10月1日以後の労働分について、少なくとも1,280円以上になるように時給を変更する必要があります。
神奈川県については1,279円への改正が正式決定していますので、2026年10月1日以後の労働分について、少なくとも1,279円以上にする必要があります。
経営者
月給の従業員は関係ありませんか?
税理士
月給の従業員も最低賃金の対象です。
「月給だから最低賃金は関係ない」ということにはなりません。
月給制の場合は、最低賃金の対象となる賃金を時間額に換算して、最低賃金以上になっているかを確認します。
たとえば、月給額を1か月平均所定労働時間で割って、時間当たりの賃金額を確認します。
月によって所定労働時間が異なる場合などは、年間の所定労働時間から1か月平均所定労働時間を算定して確認することがあります。
経営者
月給を時間単価に換算するとき、手当も全部入れてよいですか?
税理士
全部を入れてよいわけではありません。
最低賃金との比較では、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、時間外勤務手当、休日勤務手当、深夜勤務手当など、比較対象から除外される賃金があります。
また、臨時に支払われる賃金や、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金も原則として最低賃金との比較対象には含めません。
そのため、額面給与だけを見て「最低賃金を超えている」と判断するのは危険です。
月給者については、最低賃金の対象となる賃金だけを抜き出して、時間額に換算する必要があります。
経営者
パートやアルバイトにも当然適用されますか?
税理士
はい。最低賃金は、原則として年齢や雇用形態を問わず適用されます。
正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員なども対象です。
特に最低賃金に近い時給で雇用している場合は、9月中に対象者を洗い出しておく必要があります。
経営者
派遣社員の場合は、派遣元の所在地で見ればよいのでしょうか?
税理士
派遣労働者については、原則として派遣先事業場の所在地の地域別最低賃金を確認します。
たとえば、派遣元が別の県にあっても、派遣先が東京であれば、東京の地域別最低賃金を確認する必要があります。
最低賃金法第13条にも、派遣中の労働者について派遣先の事業場所在地の地域別最低賃金を適用する旨が定められています。
経営者
東京と神奈川の両方に事業所がある場合はどうしますか?
税理士
従業員が実際に勤務する事業場ごとに確認します。
東京の事業場で働く従業員は東京の最低賃金、神奈川の事業場で働く従業員は神奈川の最低賃金を確認します。
本社所在地だけで一律に判断しないようにしてください。
経営者
実務では、いつまでに何をすればよいですか?
税理士
まず、9月中に現在の時給・月給を確認してください。
神奈川勤務で時給1,279円未満の従業員については、2026年10月1日以後の労働分から1,279円以上となるよう変更が必要です。
東京勤務についても、答申どおり1,280円で10月1日に発効する場合に備えて、時給1,280円未満の従業員がいないか確認しておく必要があります。
月給者については、最低賃金の対象となる賃金を時間額に換算して確認します。
そのうえで、給与マスタ、雇用契約書、労働条件通知書、就業規則の賃金欄などの変更が必要か確認します。
神奈川県については10月1日からの改正が正式決定しています。
東京都については、東京労働局による今後の改正決定・官報公示も確認したうえで、発効日以後の労働分が新しい最低賃金を下回らないようにしてください。
町田・相模原で従業員を雇っている会社の方へ
町田・相模原で従業員を雇っている会社の場合、東京と神奈川の最低賃金をまたいで確認する場面があります。
町田市の事業場で働く従業員には東京都最低賃金、相模原市の事業場で働く従業員には神奈川県最低賃金が適用されます。
本社が町田、店舗が相模原、またはその逆のように、複数地域で従業員が働いている場合は、実際に勤務する事業場ごとに最低賃金を確認する必要があります。
2026年度は、神奈川県については10月1日から1,279円への引上げが正式決定しています。東京都についても1,280円への引上げが答申されているため、最低賃金に近い給与を設定している会社は、9月中に従業員ごとの給与額を確認しておくのが安全です。
また、最低賃金の改定は、給与計算、雇用契約、給与マスタ、年末調整前の給与データ整理にも関係します。
タクスリンク税理士事務所では、町田・相模原の中小企業・個人事業主向けに、給与計算や税務顧問を含めた実務整理をサポートしています。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、2026年8月31日時点の厚生労働省、東京労働局、神奈川労働局等の公表情報を前提にした一般的な制度解説です。神奈川県最低賃金については時間額1,279円への改正が正式決定され、2026年10月1日から適用されます。東京都については時間額1,280円への引上げが答申されていますが、2026年8月31日時点では改正手続中のため、今後の東京労働局による改正決定・官報公示も確認してください。個別の労務手続きや労働条件変更については、必要に応じて社会保険労務士等の専門家にも確認してください。
Author Profile
-
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
Latest entries
消費税2026年9月8日課税売上割合とは?95%未満の場合と個別対応・一括比例配分方式を税理士が解説
所得税2026年9月7日所得税の予定納税とは?減額申請の期限・方法を税理士が解説【2026年分対応】
所得税2026年9月6日給与や外注費の源泉徴収を忘れたら会社が払う?税理士が解説
税金あれこれ2026年9月6日サラリーマンの兼業農家、節税はどこまでできる?損益通算と経費のコツ




