フリーランス本人の希望により、業務委託契約を結び、外注費として処理している会社もあります。
しかし、契約書の名称や本人の希望だけで、税務上の外注費になるわけではありません。
実際の働き方が会社の指揮命令を受けて継続的に労務を提供する形であれば、税務調査で「給与」と判断される可能性があります。
経営者
うちの仕事を専属で手伝ってくれているフリーランスの人がいます。
本人の希望で業務委託契約にして、外注費として処理しています。請求書でも消費税を区分していますが、税務調査で給与だと言われることはありますか?
税理士
はい。実際の働き方によっては、給与と判断される可能性があります。
業務委託契約書を作っていること、本人が外注扱いを希望していること、請求書に消費税が記載されていることだけでは、外注費であることの決め手にはなりません。
税務上は、契約書の名称よりも、実際にどのような働き方をしているかが重視されます。
経営者
本人が給与ではなく、フリーランスとして働きたいと言っていても関係ないのでしょうか?
税理士
本人の希望は、税務上の判断を決めるものではありません。
会社と本人が業務委託で合意していても、実態として会社が勤務時間や勤務場所を決め、日々の仕事の進め方を具体的に指示している場合には、給与と判断される可能性があります。
税務署は、契約書や請求書だけでなく、チャットでの指示、シフト表、タイムカード、報酬計算表、使用しているパソコンや備品なども確認して実態を判断します。
経営者
「専属」でうちの仕事だけをしていることは、かなり不利になりますか?
税理士
専属であるという事情だけで、直ちに給与になるわけではありません。
ただし、本人がほかの会社の仕事を受ける自由がないことや、収入を御社だけに依存していることは、会社への従属性を示す一つの事情になります。
特に、専属であることに加えて、勤務時間や仕事の進め方まで御社が管理している場合には、給与認定リスクが高くなります。
経営者
具体的には、どのような働き方だと給与と判断されやすいのでしょうか?
税理士
次のような事情が重なるほど、給与と判断されるリスクが高くなります。
・勤務日、勤務時間、勤務場所を会社が指定している
・日々の作業内容や仕事の進め方を会社が具体的に指示している
・本人以外の人に業務を代わってもらうことができない
・成果物ではなく、勤務時間や勤務日数に応じて報酬を支払っている
・パソコン、ソフト、備品、アカウントなどを会社が用意している
・仕事が完成しなくても、働いた時間分の報酬を請求できる
・休暇、欠勤、遅刻について会社の承認が必要となっている
・作業ミスややり直しに伴う損失を本人が負担しない
一つの条件だけで決まるのではなく、これらを総合的に判断します。
経営者
反対に、外注費として説明しやすいのはどのような場合ですか?
税理士
成果物や業務単位で仕事を発注し、仕事の進め方や時間配分を本人が決めている場合は、外注費として説明しやすくなります。
例えば、次のような状態です。
・成果物や業務ごとに報酬額を決めている
・納期までの作業時間や作業場所を本人が決めている
・本人の責任と費用でパソコンやソフトを用意している
・本人の判断で補助者を使ったり、再委託したりできる
・仕事のやり直しや損失を本人が負担する
・御社以外の顧客から仕事を受けることができる
ただし、契約書にこのように書いてあるだけでは足りません。実際の運用も契約内容と一致している必要があります。
経営者
税務調査で給与と判断された場合、どのような問題が起きますか?
税理士
主に、源泉所得税と消費税の問題が生じます。
まず、給与を支払う会社には、給与から所得税を源泉徴収して納付する義務があります。
過去の支払いについて給与と認定されると、源泉徴収していなかった所得税を会社が追加で納付することになり、不納付加算税や延滞税が課される可能性があります。
また、給与は消費税の課税仕入れには該当しません。
外注費として仕入税額控除をしていた場合には、その控除が否認され、消費税の追加納付が必要になる可能性があります。
経営者
請求書に消費税が書いてあれば、仕入税額控除できるのではないですか?
税理士
請求書に消費税が記載されているだけでは、仕入税額控除が認められるとは限りません。
実際の支払いが給与に該当する場合、その役務提供は消費税の課税仕入れから除外されます。
そのため、請求書の形式やインボイス登録の有無にかかわらず、給与と認定された支払いについては、原則として仕入税額控除を受けられません。
経営者
外注費として認められた場合は、源泉徴収しなくてよいのでしょうか?
税理士
必ずしもそうではありません。
正しく業務委託に該当する場合でも、支払う報酬が原稿料、デザイン料、講演料、士業報酬など、所得税法第204条に定められた報酬料金に該当する場合には、別途源泉徴収が必要です。
したがって、まず給与か外注費かを判断し、そのうえで外注費であれば、所得税法第204条の源泉徴収対象報酬に該当するかを確認します。
経営者
今の働き方が給与に近い場合、契約書だけ直せばよいですか?
税理士
契約書だけを修正しても、実際の働き方が変わらなければ十分ではありません。
例えば、契約書に「勤務時間は自由」「再委託可能」と書いていても、実際には毎日決まった時間に出勤し、社員から具体的な指示を受けている場合には、外注費として説明することは困難です。
現状が給与寄りであれば、働き方そのものを業務委託に適した形へ変更するか、給与への切替えを検討する必要があります。
経営者
まず、どのような資料を確認すればよいでしょうか?
税理士
少なくとも、次の資料と実態を確認してください。
・業務委託契約書
・直近の請求書
・報酬の計算方法
・勤務日、勤務時間、勤務場所の決め方
・タイムカード、シフト表、スケジュール表
・普段の指示内容が分かるチャットやメール
・パソコン、ソフト、備品をどちらが用意しているか
・再委託や代替が実際に可能か
・本人がほかの会社の仕事を受けているか
・過去の支払額と支払期間
給与認定リスクが高い場合は、過去の源泉所得税と消費税への影響額も試算したうえで、今後の対応を判断します。
要点
主な根拠
※税務上の給与該当性と、労働法・社会保険上の労働者性は、それぞれの制度に基づいて判断されます。社会保険や労働保険の取扱いについては、必要に応じて社会保険労務士等への確認が必要です。
※本記事は一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の判断は、契約内容、勤務実態、報酬の計算方法、指揮命令の程度などによって異なります。
フリーランスへの支払いが外注費か給与かの判断でお悩みの際は、町田・相模原の税理士「タクスリンク税理士事務所」までお気軽にご相談ください。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




