実家の親に毎月いくらか仕送りをしている。
そんな方から「これって税金の控除に使えるんですか?」と聞かれることがあります。
答えは「条件を満たせば使える」です。
ただし仕送りをしているという事実だけでは扶養控除は受けられません。
所得や生活実態など、いくつかの条件をクリアして初めて税負担が軽くなります。
逆に言えば、条件を知らずに「うちは対象外だろう」と思い込んで、本来受けられるはずの控除を見逃している人も少なくありません。
この記事では、親への仕送りがなぜ節税になるのか、どんな条件を満たせばよいのか、そして手続きでつまずきやすいポイントを整理してお伝えします。
なぜ「仕送り=節税」と誤解されやすいのか
仕送りと税金の話でよく混同されるのが、「贈与税がかからないこと」と「扶養控除が受けられること」です。
親族間で生活費を送ること自体は、そもそも贈与税の対象外とされています。
扶養義務者から生活費や教育費として送られたお金は、常識的な範囲であれば課税されません。
ここまでは多くの人が知っているところです。
ただし、これは「税金を取られない」という話であって、「税金が安くなる」話とは別物です。
仕送りをしたことで実際に所得税・住民税が軽くなるには、扶養控除という別の制度の要件を満たす必要があります。
この違いを混同したまま「仕送りしているから節税になっているはず」と思い込んでしまうのが、つまずきの正体です。
扶養控除を受けるための3つの条件
扶養控除を使うには、主に次の条件を満たす必要があります。
- 親族関係があること 実の親であれば当然対象になります。
- 生計を一にしていること 同居している必要はありません。
定期的な仕送りによって親の生活費を実質的に支えている実態があれば、別居でも「生計を一にする」と認められます。
逆に、たまに数千円を送る程度では、実態として認められない可能性があります。 - 親の所得が一定以下であること 2025年(令和7年)の税制改正により、扶養親族として認められる所得の上限は合計所得金額58万円以下(改正前は48万円以下)に引き上げられました。
給与収入だけならおおむね123万円以下、年金収入のみの65歳以上の親であれば、公的年金等控除を考慮して同程度の水準までが目安になります。
この3つがそろって初めて、年末調整や確定申告で扶養控除を申告できます。
実際にいくら安くなるのか
控除額は親の年齢と同居の有無で変わります。
- 69歳以下の親:所得税38万円、住民税33万円の控除
- 70歳以上で別居の親:所得税48万円、住民税38万円の控除
- 70歳以上で同居の親(同居老親等):所得税58万円、住民税45万円の控除
たとえば別居している71歳の親を扶養に入れた場合、所得税と住民税を合わせて年間で数万円〜十数万円ほど税負担が軽くなるケースがあります。
実際の金額は自分の所得税率によって変わるため、正確な数字は勤務先の年末調整担当者や税理士に確認するのが確実です。
つまずきやすいポイント・よくある誤解
- 仕送りの証拠を残していない 現金手渡しだと、税務調査で生計を一にしている実態を説明しづらくなります。
銀行振込にして記録を残しておくと安心です。 - 金額が少なすぎる・不定期すぎる 「思い出したときにだけ数千円」では、生活費を支えている実態として弱いと判断されることがあります。
毎月一定額を継続的に送るほうが、実態として認められやすくなります。 - 兄弟姉妹で重複して申告してしまう 扶養控除は、同じ親に対して兄弟姉妹のうち誰か1人しか適用できません。
共働きの兄弟間で相談せずにそれぞれ申告してしまうと、後から訂正が必要になることがあります。 - 仕送りの使い道が生活費以外になっている 生活費や医療費としての仕送りは非課税ですが、株式や不動産の購入資金など目的外に使われていることが明らかな場合は、贈与税の対象になり得る点にも注意が必要です。
節税の考え方の基本をあらためて押さえておきたい方は、節税の基本と失敗しない考え方も参考になります。
会社員の方であれば、サラリーマンの節税、何から始める?にも年末調整で見落としがちな控除をまとめています。
まとめ
親への仕送りは、生計を一にしている実態と親の所得要件を満たせば扶養控除の対象になり、確実に税負担を軽くできます。
振込記録を残す・兄弟姉妹で重複しないようにするなど、基本を押さえたうえで年末調整や確定申告で申告してみてください。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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