保険料や保険金については、「消費税がかかるのか」「税込で処理するのか」「保険金を受け取ったら課税売上になるのか」と迷うことがあります。
結論からいうと、生命保険、火災保険、自動車保険などの保険料は、消費税上、原則として非課税取引です。
一方、事故や災害などにより受け取る保険金・共済金は、非課税ではなく、不課税、つまり課税対象外です。
どちらも「消費税10%を計算しない」という結果は同じですが、消費税申告上の意味は異なります。
経営者
支払う保険料や、受け取る保険金には、消費税はかかりますか?
税理士
通常の保険料と保険金については、どちらも消費税10%を計算しません。
ただし、理由が違います。
生命保険、火災保険、自動車保険などの保険料は、消費税上、非課税取引です。
一方、事故や災害などで受け取る保険金・共済金は、そもそも商品販売やサービス提供の対価ではないため、不課税、つまり課税対象外です。
経営者
保険料は非課税で、保険金は不課税ということですか?
どちらも消費税がかからないなら、同じではないのでしょうか。
税理士
日常的には「どちらも消費税がかからない」で済むこともあります。
ただし、消費税申告では、非課税と不課税を分ける必要があります。
非課税は、本来は消費税の課税対象になり得る取引について、法律上、特に消費税を課さないものです。
不課税は、そもそも消費税の課税対象となる取引に該当しないものです。
保険料は非課税、保険金は不課税と整理します。
経営者
例えば、会社で事業用自動車の保険料として11万円を支払った場合は、どう処理しますか?
税理士
その場合、11万円を「保険料10万円、仮払消費税1万円」とは考えません。
保険料11万円そのものが非課税取引です。
そのため、本則課税で消費税を計算している会社でも、この保険料について仕入税額控除は取れません。
会計ソフトでは、課税仕入れではなく、非課税仕入れまたは対象外など、ソフトの仕様に応じた適切な税区分で処理します。
経営者
事故で保険金100万円を受け取った場合はどうなりますか?
100万円を課税売上にする必要がありますか?
税理士
保険金100万円は、消費税上の課税売上にはしません。
保険金は、事故や災害などによる損害の補填として受け取るものであり、受取人が保険会社に商品を売ったり、サービスを提供したりした対価ではありません。
そのため、消費税上は不課税、つまり課税対象外です。
100万円を「保険金90万9,091円、消費税9万909円」のように分けることはしません。
経営者
保険料は非課税で、保険金は不課税。
この違いは、実務上どこで問題になりますか?
税理士
特に問題になるのは、課税売上割合を計算する場合です。
非課税売上は、原則として課税売上割合の分母に入ります。
一方、不課税収入は、原則として課税売上割合の分母にも分子にも入りません。
したがって、受取保険金を誤って非課税売上に入れてしまうと、課税売上割合の計算を誤る可能性があります。
通常の中小企業では大きな問題にならないこともありますが、本則課税で課税売上割合を使って仕入税額控除を計算する事業者では注意が必要です。
経営者
保険金を受け取って、そのお金で車や建物を修理した場合はどうなりますか?
税理士
保険金の受取りと、修理代の支払いは別々に考えます。
例えば、事故による保険金110万円を受け取り、修理業者へ修理代110万円を支払ったとします。
保険金110万円は不課税です。
一方、修理業者への修理代110万円は、修理サービスの対価なので、通常は課税取引です。
つまり、「保険金で支払った修理だから、修理代も不課税になる」ということではありません。
修理代が事業上の課税仕入れに該当し、インボイス等の保存要件を満たしていれば、本則課税では仕入税額控除の対象になり得ます。
経営者
保険に関係するお金は、全部非課税と考えてよいですか?
税理士
そこは危険です。
保険料そのものは非課税ですが、保険に関係するお金がすべて非課税になるわけではありません。
例えば、保険代理店が保険会社から受け取る代理店手数料は、保険募集などの役務提供の対価です。
そのため、原則として消費税の課税対象になります。
また、保険会社から委託を受けて行う損害調査の手数料や、鑑定手数料なども、原則として課税資産の譲渡等の対価になります。
経営者
会社が従業員の生命保険料を給与天引きして、保険会社へ送金する場合はどうですか?
税理士
会社が従業員から保険料を預かり、そのまま保険会社へ送金するだけであれば、その預かり自体について会社に消費税の課税関係は生じません。
ただし、会社が生命保険会社から給与天引き事務の手数料を受け取る場合は別です。
その手数料は、会社が行う事務処理という役務提供の対価ですので、原則として消費税の課税対象になります。
経営者
満期保険金や解約返戻金を受け取った場合も、消費税はかからないと考えてよいですか?
税理士
消費税については、通常の商品販売やサービス提供の対価ではないため、消費税が上乗せされる取引とは考えません。
ただし、「消費税がかからない」ということと、「税金が何もかからない」ということは別です。
生命保険の満期保険金、解約返戻金、給付金などは、保険料負担者と受取人の関係によって、所得税、法人税、贈与税などの課税関係が生じることがあります。
今回のテーマは消費税ですが、満期保険金や解約返戻金は、消費税以外の税目も含めて確認する必要があります。
経営者
会計処理では、どの税区分にすればよいですか?
税理士
大きく整理すると、次のようになります。
支払保険料は、原則として非課税です。
受取保険金・共済金は、不課税、つまり課税対象外です。
保険代理店が受け取る代理店手数料や、損害調査・鑑定手数料などは、原則として課税です。
保険金を使って支払った修理代は、修理業者による役務提供なので、通常は課税取引です。
会計ソフトでは、「保険だから全部同じ税区分」とせず、お金の性質ごとに区分してください。
町田・相模原で消費税区分に不安がある方へ
保険料、保険金、修理代、代理店手数料は、いずれも保険に関係するお金ですが、消費税区分は同じではありません。
特に本則課税で消費税を計算している事業者は、課税仕入れ、非課税、不課税、課税売上の区分を誤ると、仕入税額控除や課税売上割合の計算に影響することがあります。
町田・相模原で、消費税区分、インボイス対応、会計ソフトの税区分設定に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な消費税上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、保険契約の内容、受取金の性質、代理店手数料の有無、修理費の支払い、消費税の計算方法、課税売上割合への影響などにより異なります。
Author Profile
-
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
Latest entries
消費税2026年8月21日従業員への出張日当は消費税の課税仕入れ?インボイス不要の特例を税理士が解説
税金あれこれ2026年8月20日確定拠出年金の節税、結局いくらお得?仕組みとiDeCo・企業型の違い
消費税2026年8月20日保険料・保険金に消費税はかかる?非課税と不課税の違いを税理士が解説
所得税2026年8月19日タイミーの収入は確定申告が必要?20万円基準・源泉徴収・住民税を税理士が解説




