「確定拠出年金は節税になるらしい」——そう聞いて調べ始めたものの、iDeCoと企業型でどう違うのか、実際に自分がいくら得をするのか、途中でよく分からなくなった経験はありませんか。
確定拠出年金には「個人型(iDeCo)」と「企業型」の2種類があり、どちらも掛金・運用・受け取りの3つの場面で税金が優遇される仕組みを持っています。
ただし優遇の受け方は加入形態によって変わるため、自分がどちらに該当するのかを整理しないまま調べると、情報が混ざって混乱しやすいのです。
この記事では、確定拠出年金の節税がどういう仕組みで成り立っているのかを、iDeCoと企業型の違いを整理しながら順番に見ていきます。
なぜ「結局いくら得なのか」が分かりにくいのか
確定拠出年金の節税効果が分かりにくい最大の理由は、優遇が一度きりではなく「掛金を出すとき」「運用しているとき」「受け取るとき」の3段階に分かれていることです。
しかも、掛金を誰が負担するか(自分か会社か)によって、同じ「節税」でも中身が変わります。
- iDeCo(個人型):加入者本人が掛金を拠出し、確定申告や年末調整で所得控除を受ける
- 企業型:会社が掛金を拠出するため、そもそも給与として支給される前の所得(課税対象に含まれない状態)から積み立てられる
iDeCoは「払った分が後から控除されて戻ってくる」感覚がありますが、企業型は「最初から課税対象に含まれていない」ため、還付という形では実感しにくい仕組みです。
この違いを知らずに検索すると、自分のケースに合わない情報にたどり着いてしまうことがあります。
節税の仕組みを3段階で整理する
1. 掛金を出すとき — 所得控除
iDeCoの場合、掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になります。
課税所得からその年に拠出した掛金分がまるごと差し引かれるため、所得税・住民税の負担が軽くなります。
たとえば月2万円(年24万円)を拠出した場合、所得税率ごとの年間軽減額の目安は次のとおりです。
| 課税所得のめやす | 所得税率 | 年間の軽減額 |
|---|---|---|
| 195万円未満 | 5% | 約3.6万円 |
| 195万〜330万円 | 10% | 約4.8万円 |
| 330万〜695万円 | 20% | 約7.2万円 |
| 695万〜900万円 | 23% | 約7.9万円 |
課税所得が高い人ほど、同じ掛金でも軽減額が大きくなるのが所得控除の特徴です。
これは住民税(一律10%)分も含めた目安で、実際の税額は他の控除の有無によって前後します。
企業型の場合は、会社が拠出する掛金がそもそも給与として支給される前に積み立てられるため、個人型のような確定申告での還付という形ではなく、最初から課税対象の所得に含まれないという形で税負担が軽くなります。
2. 運用しているとき — 運用益が非課税
通常の投資信託や株式の運用益には20.315%の税金がかかりますが、確定拠出年金の中で得た運用益(iDeCo・企業型とも)はこの課税がありません。
運用益が非課税のまま再投資に回るため、長期になるほど複利の効果が大きくなります。
ただし、これは「運用益が出ていること」が前提です。
定期預金のように利回りがほとんど付かない商品を選んだ場合、非課税メリットを実感しにくい点は覚えておく必要があります。
3. 受け取るとき — 退職所得控除・公的年金等控除
60歳以降に積み立てたお金を受け取る際も税制優遇があります。
- 一時金(まとめて受け取る):退職所得控除が適用される
- 年金(分割で受け取る):公的年金等控除が適用される
どちらの控除を使うかで手取りが変わってくるため、受け取り方は加入者自身が選べるケースが多いですが、後述するとおり選び方を誤ると恩恵が薄れることがあります。
つまずきやすいポイント・よくある誤解
- そもそも所得税を払っていない人には効果が薄い:専業主婦(夫)や所得の少ない方は、掛金控除による軽減効果を実感しにくい仕組みです。
運用益非課税のメリットは残りますが、「節税」を主目的に加入するかどうかは検討が必要です。 - 退職金と受け取り時期が重なると控除が薄まることがある:一時金として受け取る場合の退職所得控除は、勤続年数や加入年数に応じた枠が決まっています。
会社の退職金と同じ年にまとめて受け取ると、控除枠を分け合う形になり、期待したほどの軽減にならないケースがあります。 - 60歳まで引き出せない:確定拠出年金は老後資産形成のための制度であり、原則として60歳になるまで途中で引き出すことができません。
掛金を出しすぎて手元資金が不足しないよう、無理のない金額から始めることが大切です。
iDeCoならではの落とし穴をより詳しく知りたい方はiDeCoが「節税にならない」と感じたら?よくある原因と今からできる対処法で具体的なケースを整理しています。
企業型に加入している方は企業型確定拠出年金は節税にならない?よくある誤解と本当のメリットを解説も参考になります。
なお、拠出できる金額の上限は職業区分によって異なり、たとえば企業年金のない会社員は月2.3万円、自営業者は月6.8万円が目安です(2026年12月には上限額の見直しが予定されています)。
最新の限度額は加入予定の金融機関や公式情報で確認しておくと安心です。
iDeCoの節税をもっと深く知りたい方へ
ここまでは確定拠出年金全体の仕組みを整理しましたが、個人で加入するiDeCoについて、掛金の決め方や具体的な節税額のシミュレーションをより詳しく知りたい方は、iDeCoの節税、結局いくら得なの?仕組みと落とし穴をやさしく解説で掘り下げています。
まとめ
確定拠出年金の節税は「掛金」「運用」「受け取り」の3段階で成り立っており、iDeCoか企業型かによって恩恵の受け方が変わります。
仕組みを段階ごとに理解しておけば、自分にとってどれくらいの効果があるのか判断しやすくなるはずです。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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