税務署から「お尋ね」と書かれた書面が届くと、税務調査なのか、必ず回答しなければならないのか、不安になる方は多いと思います。
結論からいうと、税務署から届く「お尋ね」は、その名称だけで税務調査と決まるものではありません。
実務上は、行政指導として、申告内容の自主的な見直しや、基礎的な情報提供を求める書面であることも多くあります。
ただし、「お尋ね」という表題だけで安心してよいわけでもありません。内容や税務署とのやり取りによっては、実質的に税務調査として質問や資料提出を求められている場合もあります。
そのため、まず確認すべきことは、次の一点です。
今回の照会は、行政指導としてのお尋ねなのか、それとも国税通則法74条の2等に基づく税務調査なのか。
ここを確認せずに放置するのは危険です。
経営者
税務署から「お尋ね」が届きました。
これは税務調査ですか?
税理士
「お尋ね」という名前だけで、税務調査と決まるわけではありません。
税務署から届くお尋ねには、行政指導として、申告内容の自主的な確認や、基礎的な情報提供を求めるものがあります。
このような行政指導であれば、直ちに国税通則法74条の2等の質問検査権が行使されているわけではありません。
経営者
行政指導というのは、税務調査とは違うのですか?
税理士
はい。税務上は、行政指導と税務調査は区別されます。
国税庁の通達では、税務調査を、特定の納税義務者の課税標準や税額等を認定する目的で、職員が行う証拠収集、要件事実の認定、法令の適用などの一連の行為と整理しています。
一方で、申告書の計算誤りや転記誤りについて自主的な見直しを求めたり、税法適用の誤りの有無を確認するために基礎的情報の自発的な提供を求めたりする行為は、調査に該当しない行為として整理されています。
経営者
では、お尋ねに回答しなくても罰則はないのですか?
税理士
純粋な行政指導としてのお尋ねであれば、回答しなかったことだけで、直ちに国税通則法128条の罰則が科されるものではありません。
国税通則法128条の罰則は、国税通則法74条の2等に基づく質問検査権の行使を前提としています。
つまり、質問検査権に基づく調査として質問されているのか、それとも行政指導として任意の回答を求められているのかを分けて考える必要があります。
経営者
では、行政指導なら無視してよいのでしょうか?
税理士
そこは短絡的に考えない方がよいです。
行政指導のお尋ねに回答しなかっただけで、直ちに罰則が科されるわけではないとしても、税務署が把握している資料と申告内容との食い違いが解消されるわけではありません。
税務署側に、支払調書、法定調書、登記情報、資料せん、金融機関情報、取引先情報などがあり、申告内容との不一致が疑われている場合、無回答のままにしても問題は残ります。
その結果、電話連絡、来署依頼、資料確認、さらに質問検査権を伴う税務調査へ進む可能性があります。
経営者
「実地調査の事前通知」が来ていなければ、税務調査ではないと考えてよいですか?
税理士
それも危険です。
国税通則法74条の9は、原則として、質問検査権を行使する実地の調査について、日時、場所、目的、税目、対象期間などの事前通知を定めています。
ただし、これは実地の調査についての規定です。
電話や税務署への来署による確認など、実地調査以外の調査もあります。このような調査については、国税通則法74条の9の事前通知制度の対象外です。
そのため、「実地調査の事前通知がないから、絶対に調査ではない」とは言い切れません。
経営者
では、税務署に何を確認すればよいですか?
税理士
まず、税務署へ次のように確認してください。
「今回の照会は、行政指導としてのお尋ねでしょうか。それとも、国税通則法74条の2等に基づく調査でしょうか。」
国税庁は、具体的な手続に入る前に、調査なのか行政指導なのかを納税者に明示する運用を示しています。
この確認をすることは自然ですし、対応方針を決めるうえで重要です。
経営者
書面に「行政指導」と書いてあれば、必ず行政指導ですか?
税理士
そこも注意が必要です。
書面に行政指導と書かれていても、実際のやり取りの内容や経緯によっては、質問検査権の行使と評価される可能性があります。
参考になる裁判例として、東京高裁平成26年3月27日判決があります。
この事案では、税務署からの通知書末尾に「この文書による行政指導の責任者は税務署長です」という趣旨の記載がありました。
しかし、実際には帳簿の提示を繰り返し求め、提示しない場合の不利益も告知していたことなどから、裁判所は帳簿提示要求を旧法上の質問検査権の行使と認定しました。
つまり、行政指導と書いてあるかどうかだけでなく、実際に何を求められているのか、どのような経緯で求められているのかを確認する必要があります。
経営者
お尋ねに回答すると、かえって税務調査につながるのではないかと心配です。
税理士
たしかに、回答の内容によっては追加確認につながることはあります。
ただし、回答しないことが常に有利とは限りません。
実際に申告内容に誤りがある場合、行政指導の段階で自主的に修正申告をするのか、調査通知後に修正申告をするのかによって、過少申告加算税の取扱いが変わることがあります。
国税庁のFAQでも、行政指導に基づいて自主的に修正申告をした場合には、延滞税は生じ得るものの、原則として過少申告加算税は賦課されない旨が説明されています。
そのため、回答するかどうかだけではなく、申告誤りがあるか、修正申告をするならいつ行うかまで含めて判断する必要があります。
経営者
回答するときは、質問票を全部埋める必要がありますか?
税理士
行政指導であれば、税務署の疑問点を解消することが目的です。
質問票のすべての欄を機械的に埋めることと、税務署の疑問点を適切に説明することは、必ずしも同じではありません。
必要に応じて、税理士から事情を説明したり、必要な資料だけを提出したりする対応も考えられます。
ただし、調査として質問検査権が行使されている場合には、不答弁、虚偽答弁、検査拒否、正当な理由のない帳簿書類等の提示・提出拒否には罰則の問題があります。
そのため、行政指導なのか調査なのかを最初に確認することが重要です。
経営者
結局、お尋ねが届いたらどう対応するのが安全ですか?
税理士
まず、書面を確認します。
正式名称、行政指導と明記されているか、国税通則法74条の2等の法的根拠が記載されているか、回答期限、求められている資料、対象税目、対象期間、担当者名を確認します。
次に、税務署へ、今回の照会が行政指導なのか調査なのかを確認します。
そのうえで、税務署が把握している論点を確認し、手元資料と申告内容を照合します。
誤りがある場合は、自主修正のタイミングを検討します。誤りがない場合は、必要十分な範囲で説明します。
放置ではなく、確認して、整理して、必要な範囲で対応する。これが一番安全です。
町田・相模原で税務署からのお尋ね対応に不安がある方へ
税務署から「お尋ね」が届いた場合、それが行政指導なのか、税務調査なのか、書面だけでは判断しにくいことがあります。
特に、申告漏れの可能性がある場合、税務署が既に第三者資料を持っている場合、過去の申告内容との不一致がある場合には、回答の仕方や修正申告のタイミングが重要になります。
町田・相模原で、税務署から届いたお尋ね、税務調査、修正申告への対応に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の対応は、届いた書面の内容、税務署とのやり取り、対象税目、対象期間、申告誤りの有無、資料提出の求め方によって異なります。税務署からお尋ねが届いた場合は、書面を確認したうえで対応を検討してください。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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