「今期は利益が出そうだけど、節税って結局何をすればいいんだろう」。
決算が近づくたびにそう感じる中小企業の経営者は少なくありません。
ネットで調べると節税策はいくらでも出てきますが、どれが自社に合うのか、どこまでやっていいのかが分からず、結局何もしないまま決算日を迎えてしまう、ということもよくあります。
この記事では、中小企業がまず押さえておきたい節税の考え方と、具体的にどこから手をつければいいのかを整理します。
節税でつまずきやすい理由
中小企業の節税が分かりにくく感じられるのには理由があります。
まず、会社にかかる法人税と、経営者個人にかかる所得税・住民税は別々の制度で、両方のバランスを見ながら判断する必要があります。
役員報酬を増やせば会社の税金は減っても、個人の税負担が増えることがあり、どちらか一方だけを見ていると損をしてしまうのです。
もう一つのつまずきポイントは、節税と脱税は全く別物だということです。
節税は法律の範囲内で税負担を軽くする方法ですが、経費として認められないものを無理やり計上したり、実態のない取引を作ったりすれば、それは脱税とみなされるリスクがあります。
「知り合いから聞いた話」を自己流で実行してしまい、後から税務署の指摘を受けるケースも少なくありません。
さらに、節税のために不要な物を買ったり、使わないサービスに加入したりすると、税金は減っても手元の現金はそれ以上に減ってしまいます。
節税だけを目的にすると、かえって経営が苦しくなることもあるのです。
中小企業がまず取り組みたい節税の手順
1. 月次で数字を把握する
節税は決算直前に慌てて考えるものではありません。
毎月の収支をきちんと確認していれば、今期の利益がどれくらいになりそうか早い段階で見通せます。
決算の3か月ほど前から利益をシミュレーションし、残りの期間でどんな対策が実行できるかを検討するのが基本の流れです。
2. 役員報酬の設計を見直す
役員報酬は、会社の法人税と経営者個人の所得税・住民税の両方に影響する重要な項目です。
報酬を上げれば法人税は下がりますが、個人の税率が上がりすぎると、結果的に世帯全体の手取りが減ってしまうこともあります。
詳しい判断のポイントは役員報酬で節税できるって本当?損しない決め方と3つの落とし穴で整理しているので、あわせて確認してみてください。
3. 使える経費・控除を洗い出す
中小企業が使いやすい経費・控除には、次のようなものがあります。
- 30万円未満の少額減価償却資産:取得した年に全額を経費にできる特例
- 決算賞与:一定の要件を満たせば、従業員への支給額を経費として計上できる
- 出張旅費規程に基づく旅費日当:適切に規程を整えれば非課税で支給できる
- 社宅の活用:役員・従業員の家賃の一部を会社負担にし、経費として計上する方法
これらは特別な準備がなくても取り組みやすい一方、金額や要件を誤ると否認されるリスクもあるため、規程や記録をきちんと残しておくことが大切です。
4. 制度を活用する
中小企業経営強化税制や賃上げ促進税制、倒産防止共済(経営セーフティ共済)など、中小企業向けに用意された税制優遇や共済制度もあります。
特に倒産防止共済は掛金を経費にできる一方、将来解約した際の返戻金は益金として課税されるため、「今の節税」と「将来の税負担」をセットで考える必要があります。
制度ごとに対象業種や要件が異なるので、自社が使えるかどうかは事前に確認しておきましょう。
より広い節税の考え方は節税の基本と失敗しない考え方|経営者・個人事業主が知っておきたい注意点、法人ならではの視点は法人の節税、何から手をつける?経営者が知っておきたい基本と落とし穴でも詳しく解説しています。
つまずきやすいポイント・よくある誤解
- 「節税額」だけを見て判断してしまう:経費を増やせば税金は減りますが、その分キャッシュも出ていきます。
節税で減った税金より、支出そのものが大きければ本末転倒です。 - 共済や保険を「掛けっぱなし」にする:将来の解約時に課税されることを忘れ、出口の計画を立てずに加入してしまうケースがあります。
- 自己流で進めてしまう:ネットの情報だけを頼りに実行し、要件を満たさず経費が否認される、ということも起こり得ます。
判断に迷う項目は、早めに税理士へ相談するのが結局は近道です。
まとめ
中小企業の節税は、思いつきで経費を増やすことではなく、月次の数字を把握したうえで、役員報酬・経費・制度活用を組み合わせて計画的に進めるものです。
自社の状況に合った方法を選び、無理のない範囲から取り組んでみてください。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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