開業したときに、家族や友人、取引先などから現金や物品をいただくことがあります。
「開業祝いだから税金はかからない」と考えたくなるところですが、税務上は、誰が、誰に、どのような関係で渡したものかによって扱いが変わります。
経営者
開業祝いでもらったお金や物に税金はかかりますか?
税理士
開業祝いだから一律に非課税、とはいえません。
受け取った人が個人事業主なのか法人なのか、贈った人が個人なのか法人なのか、さらに取引との関係があるのかによって、贈与税、所得税、法人税のどれで見るかが変わります。
経営者
家族や友人など、個人から純粋なお祝いとしてもらった場合はどうなりますか?
税理士
まず、社会通念上相当な範囲の開業祝いであれば、贈与税がかからないものとして扱える可能性があります。
相続税法では、個人から受ける祝物、見舞いなどの金品で、社会通念上相当と認められるものは、贈与税の非課税財産とされています。
ただし、高額な現金や高額な物品など、通常のお祝いの範囲を超える場合には、贈与税の対象として考える必要があります。
経営者
贈与税の対象になる場合、いくらまでなら税金がかからないのですか?
税理士
暦年課税の場合、その年に個人から受けた贈与の合計額が110万円以下であれば、通常は贈与税はかかりません。
ここで注意すべきなのは、110万円は贈った人ごとではなく、受け取った人ごとの年間合計額だという点です。
たとえば、Aさんから50万円、Bさんから40万円、Cさんから30万円をもらった場合、合計120万円です。贈り主一人ひとりは110万円以下でも、受け取った人の年間合計では110万円を超えます。
経営者
個人事業主が、会社から開業祝いをもらった場合も贈与税ですか?
税理士
いいえ。法人から個人が受け取った金品は、贈与税ではなく、所得税の対象として考えます。
事業と関係のない一回限りの贈与であれば、原則として一時所得になる可能性があります。一時所得には最高50万円の特別控除があり、その控除後の金額の2分の1が、他の所得と合算されます。
ただし、取引や業務に関して受け取ったものは、一時所得ではなく、事業所得として処理する可能性があります。
経営者
取引先から「開業祝い」として現金をもらった場合はどうですか?
税理士
ここは慎重に判断します。
名前が「開業祝い」でも、主要な取引先から高額な祝金を受け取った場合や、今後の取引継続、広告掲載、紹介、役務提供などと実質的に結び付いている場合は、事業の収入として扱う可能性があります。
所得税基本通達では、事業の遂行に付随して生じた収入は、事業所得の総収入金額に算入する考え方が示されています。
したがって、取引先からの祝金については、金額、関係性、反対給付の有無、今後の取引との関係を確認する必要があります。
経営者
現金ではなく、胡蝶蘭、家電、パソコン、備品のような物をもらった場合はどうなりますか?
税理士
物品でも判定は必要です。
税務上は、お金だけでなく、物品や経済的利益も課税関係の対象になります。所得税法でも、収入すべき金額には金銭以外の物や権利その他経済的利益の価額が含まれるとされています。
少額の花や通常のお祝い品で、社会通念上相当な範囲であれば、贈与税がかからないものとして扱える可能性があります。
一方、高額な備品や事業で使用する資産を受け取った場合は、誰から受け取ったのか、誰の名義で受け取ったのか、事業で使うのかを確認し、固定資産計上や減価償却の処理もあわせて検討します。
経営者
法人として受け取った場合はどうなりますか?
税理士
法人が受取人であれば、法人税の問題になります。
法人が現金を受け取った場合は、その受取額を益金に算入する方向で考えます。物品を受け取った場合も、原則として受領時の価額を益金として認識する方向になります。
法人税法では、無償による資産の譲受けも益金を構成するものとされています。
経営者
法人宛てなのか、代表者個人宛てなのかが曖昧な場合はどうなりますか?
税理士
実務上はここも重要です。
たとえば、法人設立直後に「代表者様へ」と書かれた祝金を受け取った場合でも、実質的に法人の開業・取引開始に対するものなのか、代表者個人への純粋なお祝いなのかで処理が変わります。
受領名義、入金口座、送り状、メッセージ、贈り主との関係、今後の取引の有無などを見て判断します。
法人の口座に入金したものを、あとから代表者個人の贈与だったと説明するのは難しくなることがあります。
経営者
実際には、どのような記録を残しておけばよいですか?
税理士
次の情報を一覧で残しておくことをおすすめします。
贈り主の氏名または会社名、受領日、金額、物品名、おおよその価額、受取人の名義、贈り主との関係、事業との関係、メッセージや送り状の有無です。
特に、金額が高い場合、贈り主が主要取引先の場合、法人宛てか個人宛てか曖昧な場合、今後の取引と関係しそうな場合は、税理士に確認した方が安全です。
要点
主な根拠
開業祝いは、気持ちとしてはお祝いでも、税務上は「誰から」「誰が」「何を」「どのような関係で」受け取ったかによって扱いが変わります。
町田・相模原で開業時の税務処理や、個人事業主・法人の経理についてお困りの方は、タクスリンク税理士事務所へご相談ください。
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、金額、贈り主との関係、受取名義、事業との関連性、他の贈与の有無などによって異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




