別会社で創業融資を受けることは可能か
先日、「別会社を設立した場合、その別会社でまた日本政策金融公庫の創業融資を受けることは可能か」というご相談がありました。
つまり、「別会社で受けた創業融資を、既存の会社で使いたい」ということです。
結論からいえば、この場合の別会社は、創業融資の対象外となります。
全ての別会社が創業融資の対象外となるわけではない
とはいえ、全ての別会社が、創業融資の対象外となるわけではありません。
日本政策金融公庫では、
- 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
を、創業融資、すなわち新創業融資制度の対象となる「創業者」としています。
また、
- ① 既に税務申告を2期行なっている個人事業主が、法人成りをして同じ事業を行う場合
- ② 既に税務申告を2期行なっている法人の経営者が、別会社を設立して同じ事業を行う場合
には、上記の「新たに事業を始める」、または「事業開始後税務申告を2期終えていない」には該当しないものとして取り扱われています。
換言すれば、この①及び②に該当しない別会社であれば、創業融資を受けられる可能性があるということです。
では、なぜ、日本政策金融公庫は、上記①及び②を、創業融資の対象となる「創業者」から除外しているのでしょうか。
別会社で創業融資を受けるには、既存会社から独立した会社でなければならない
もし、全ての別会社が創業融資を受けられることとなれば、別会社を設立した数だけ無担保・無保証人の創業融資を受けられることとなってしまいます。
そして、その融資金は少なからず、冒頭の例のように、実質一社である複数の会社間で回して使われることとなります。
このため、日本政策金融公庫では、別会社で創業融資を受けるためには、既存会社と異種の事業を営むものであること等、既存会社から独立した会社でなければならないこととしているのです。
別会社が既存会社から独立した会社として取り扱われるには
別会社が、既存会社から独立した会社として取り扱われるには、
A. 当該別会社を設立するには合理的な理由があること
B. 融資金を当該別会社のみで使うこと
を、日本政策金融公庫に理解してもらうことが必要となります。
具体的には、
- 別会社では、既存会社と全く異なる事業を営むこと(A対策)
- 返済期間にわたり、既存会社の決算書も提出する意思があること(B対策)
- 別会社と既存会社との間では、原則として取引を行わないこと(B対策)
を、日本政策金融公庫に説明することが有効です。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
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