残業している従業員に、会社からピザやコンビニ弁当、夜食を差し入れることがあります。
このような残業食は、通常の夜食として相当な範囲であり、実際の残業に伴って現物で提供されたものであれば、原則として会社の福利厚生費等として損金算入でき、従業員への給与課税も不要と考えられます。
経営者
遅くまで残業してくれた従業員に、ピザやコンビニ弁当を差し入れました。これは福利厚生費として会社の経費にできますか?
税理士
実際に通常の勤務時間を超えて残業している従業員に対し、その残業に伴って食事を現物で提供したのであれば、一般的なピザ、弁当、夜食の範囲では、原則として福利厚生費等として全額損金算入して差し支えないと考えられます。
また、従業員側でも、残業に伴う食事の現物支給については、原則として給与課税しない取扱いが定められています。
経営者
1人当たり何円まで、月に何回までという上限はありますか?
税理士
残業食の現物支給について、「1人1回○円まで」「月額○円まで」という明確な金額上限は設けられていません。
ただし、上限がないからといって、どれだけ高額でも認められるわけではありません。社会通念上、残業時の食事として相当な範囲であることが前提です。
経営者
食事補助は、従業員が半分以上負担し、会社負担が月額7,500円以下でないと非課税にならないと聞きました。
税理士
その基準は、通常の昼食などに対する食事補助の基準です。
通常の食事補助では、従業員が食事価額の50%以上を負担し、会社負担額が月額7,500円以下であることが非課税要件になります。
一方、残業や宿日直に伴って支給する食事は、この通常の食事補助の基準から明示的に除外されています。そのため、残業食に月額7,500円の上限が適用されるわけではありません。
経営者
少し高めの食事を出したり、お酒も一緒に注文したりしても大丈夫ですか?
税理士
高級店のコース料理、酒類を伴う飲食、打上げや慰労会に近いものは、通常の残業食とは評価されない可能性があります。
食事の内容、金額、提供頻度、参加者、提供目的などから、残業に必要な夜食なのか、懇親会や個人的な利益の供与なのかを判断されます。
一般的なピザ、弁当、軽食であれば問題になりにくいですが、著しく高額なものは避けるべきです。
経営者
会社が食事を注文せず、従業員に夜食代として現金を渡す場合も同じですか?
税理士
同じではありません。
残業食として非課税になりやすいのは、会社が食事そのものを提供する現物支給です。従業員へ一律の夜食手当を現金で支給する場合は、原則として給与課税の検討が必要になります。
例外として、正規の勤務時間の一部または全部が午後10時から翌日午前5時までとなる深夜勤務者について、現物支給が著しく困難な場合には、勤務1回当たり650円以下の定額金銭支給を非課税とする取扱いがあります。
これは通常の残業食の上限ではなく、深夜勤務時に現物支給できない場合の特例です。
経営者
従業員が自分で弁当を買い、あとで会社に精算を求めた場合はどうなりますか?
税理士
従業員が個人的に選んで購入した食事代を会社が補助する形では、現金による食事代補助として給与課税が問題になります。
一方、会社の指示で従業員が残業者全員分の弁当を立替購入し、領収書に基づいて実費精算した場合は、会社が食事を購入したものとして整理できる余地があります。
その場合は、会社からの購入指示、対象者、数量、購入日、領収書などを残し、個人の食事代補助と区別できるようにしてください。
経営者
一部の従業員だけに差し入れると、不平等な福利厚生になりませんか?
税理士
実際に残業した従業員だけを対象にすることは、その支給目的に照らして合理的です。
全従業員へ一律に提供する必要はありません。ただし、残業の有無と関係なく特定の従業員だけに継続的に食事を提供している場合や、役員だけに提供している場合は、福利厚生費ではなく給与や役員給与として扱われる可能性があります。
経営者
税務調査に備えて、何を残しておけばよいですか?
税理士
領収書だけでなく、実際の残業と食事提供が対応していることが分かる記録を残してください。
領収書や経費精算書の余白に、「○月○日、残業者5名への夜食」などと記載しておくと整理しやすくなります。
残業記録、購入日、対象者、人数、食事内容、金額、会社による購入指示などを保存しておけば、通常の食事補助や個人的な飲食費との違いを説明しやすくなります。
要点
主な根拠
※「残業・食事・福利厚生費」に直接該当する公表裁決は確認できなかったため、本記事では法令及び所得税基本通達を主な根拠としています。
※本記事は一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、勤務実態、提供方法、金額、対象者、頻度などによって異なります。
Author Profile
-
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




