中古のアパートやマンションを購入したのに、確定申告の時期が近づいても減価償却費の計算で手が止まっていませんか。
新築なら法定耐用年数をそのまま使えばいいだけですが、中古物件は「築何年経っているか」によって計算の手順そのものが変わります。
ネットで調べても記事によって式の書き方が微妙に違って見え、結局自分の物件がどのパターンに当てはまるのか分からなくなった方も多いのではないでしょうか。
なぜ中古物件の減価償却は分かりにくいのか
新築物件の場合、減価償却費は「取得価額×定額法の償却率」というシンプルな式で計算できます。
使う償却率も、建物の構造ごとに決まっている法定耐用年数(木造22年、鉄骨鉄筋コンクリート造47年など)から一意に導けます。
ところが中古物件では、すでに使われた年数の分だけ「あとどれくらい価値が残っているか」を見積もり直す必要があります。
これが、法定耐用年数をそのまま使わず「見積もった耐用年数」を使う理由です。
そもそも減価償却が節税につながる仕組みを理解していないと、なぜ中古物件だけ計算がひと手間増えるのかが腑に落ちにくいはずです。
実務では、鑑定士などに個別評価してもらう「見積法」よりも、簡易的に計算できる「簡便法」が使われることがほとんどです。
次の章で、この簡便法の手順を具体的に見ていきます。
中古物件の耐用年数・減価償却費の計算手順
簡便法では、物件が法定耐用年数を「全部経過しているか」「一部だけ経過しているか」で式が変わります。
まずどちらに当てはまるかを確認しましょう。
1. 法定耐用年数をすでに経過している場合
計算式はシンプルです。
耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%
たとえば築25年の木造アパート(法定耐用年数22年)を1,000万円で取得した場合、法定耐用年数の22年をすでに経過しているのでこちらの式を使います。
22年 × 0.2 = 4.4年 → 4年(1年未満切り捨て)
耐用年数4年の定額法償却率は0.250なので、年間の減価償却費は次のとおりです。
1,000万円 × 0.250 = 250万円
2. 法定耐用年数の一部を経過している場合
耐用年数 =(法定耐用年数-経過年数)+経過年数 × 20%
築15年の鉄骨鉄筋コンクリート造マンション(法定耐用年数47年)なら、次のようになります。
(47年-15年)+15年 × 0.2 = 35年
ここで求めた耐用年数に対応する定額法の償却率を国税庁の償却率表から調べ、「取得価額×償却率」で年間の減価償却費を計算します。
どちらの式を使うかを間違えると、耐用年数も年間の経費計上額も大きくずれてしまいます。
まず築年数と法定耐用年数を見比べ、超えているか一部かを最初に判定する癖をつけておくと迷いません。
新築を含めた不動産投資全体での減価償却の考え方は、不動産投資の減価償却、結局いくら経費にできる?でも整理しているので、あわせて確認してみてください。
つまずきやすいポイント・よくある誤解
- 建物と土地を分けずに計算してしまう:土地は年数が経っても価値が減らないため、減価償却の対象になりません。
売買契約書に建物と土地の内訳が書かれていない場合は、消費税額から建物価格を逆算するなどの方法で按分する必要があります。
土地を含めたまま計算すると、経費が実際より大きく出てしまいます。 - 耐用年数が2年未満になったのに、そのまま使ってしまう:簡便法の計算結果が2年を下回った場合、耐用年数は2年として扱うルールになっています。
- 大規模なリフォーム費用(資本的支出)が取得価額の50%を超えているのに簡便法を使ってしまう:この場合は簡便法が使えず、法定耐用年数をそのまま適用するなど別のルールに従う必要があります。
取得後に大きなリノベーションを予定している方は、購入前にこの条件に当てはまらないか確認しておくと安心です。 - 耐用年数が過ぎたら急に経費が0円になると誤解してしまう:耐用年数が経過すると、その年以降は減価償却費として経費計上できなくなります。
長期保有を前提にした収支計画では、この「経費が減る年」をあらかじめ織り込んでおくことが欠かせません。
不動産投資全体でどこまで節税効果を見込めるかは、物件の種類や保有目的によっても差があります。
不動産投資の節税、本当に得する人・損する人の違いとはも、中古物件を選ぶかどうかを考えるときの材料になるはずです。
まとめ
中古物件の減価償却は、法定耐用年数を「全部経過」か「一部経過」かで式を使い分けるところが最初の関門です。
建物と土地を分ける、50%ルールを確認するといった細かい注意点を押さえておけば、確定申告のときに慌てずに済みます。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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