法人成りで固定資産を法人にいくらで引き継ぐ?時価譲渡・受贈益を税理士が解説

法人成り時の固定資産の引き継ぎ

法人成りをするとき、個人事業で使っていた車両、機械、器具備品などを、新しく設立した法人へ移すことがあります。

このとき、個人事業の帳簿に残っている金額のまま法人へ移したり、代表者本人の会社だからという理由で無償で移したりすると、税務上問題になることがあります。

特に注意が必要なのは、所得税法59条による時価譲渡、法人側の受贈益、消費税、法人取得後の減価償却です。

なお、この記事では、個人事業主から本人が設立した法人への通常の売買または単純な贈与を前提にしています。現物出資として資本金等に組み入れる場合は、資本等取引として別の整理が必要です。

通常売却・低額譲渡・無償譲渡の比較

前提は次のとおりです。

車両の時価は180万円、個人側の未償却残高は100万円、譲渡費用はないものとします。

移転方法 実際の代金 個人側の所得税上の収入金額 譲渡益の基本計算 法人側の受贈益の検討額 法人側の取得価額の基本
時価売却 180万円 180万円 80万円 0円 180万円
120万円売却 120万円 原則120万円 20万円 60万円 180万円程度
80万円売却 80万円 180万円 80万円 100万円 180万円
無償贈与 0円 180万円 80万円 180万円 180万円

※120万円売却のケースは、所得税法157条の適用リスクがあるため、最終判断には個別検討が必要です。

法人成り時には資産別の時価評価一覧表を作る

実務上は、法人成りの日現在で、資産ごとに次のような一覧表を作ることをおすすめします。

資産 取得日 当初取得価額 償却累計額 未償却残高 時価 時価資料 法人譲渡額
普通乗用車A 2022年4月1日 300万円 200万円 100万円 180万円 査定書2社 180万円
製造機械B 2020年6月1日 500万円 400万円 100万円 70万円 中古業者見積り 70万円
パソコンC 2025年4月1日 25万円 10万円 15万円 12万円 中古相場 12万円

この一覧表とあわせて、売買契約書、査定書、写真、個人事業の固定資産台帳、法人の固定資産台帳を保存します。

税務調査で問題になるのは、簿価で売ったこと自体よりも、なぜその金額が時価といえるのかを説明できないことです。

町田・相模原で法人成りを検討している方へ

法人成りでは、会社設立手続きだけでなく、個人事業から法人へ何をどの金額で引き継ぐかが重要です。

車両、機械、器具備品、棚卸資産、売掛金、借入金、預金、消費税、インボイス、減価償却の処理を曖昧にすると、法人設立後の決算や税務調査で問題になることがあります。

町田・相模原で法人成りを検討している方、個人事業から法人へ車両や機械を移す予定がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。

町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ

※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、資産の種類、取得価額、未償却残高、時価、法人への移転方法、債務引受の有無、消費税の課税事業者該当性、インボイス登録状況などにより異なります。

Author Profile

末廣 大地
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。