決算書を見て「思ったより税金が高い」と感じたことはありませんか。
経費もそれなりに使っているつもりなのに、法人税・法人住民税・法人事業税とまとめて請求書のように税額が並ぶと、正直どこから手をつければいいのか分からなくなります。
節税と聞くと、何か特別な商品を買ったり、詳しい税理士だけが知っている裏ワザを使ったりするイメージがあるかもしれません。
ですが実際に効果があるのは、順番を間違えないことと、やりすぎないことです。
この記事では、会社の節税を何から始めればいいのか、お金を使わない対策から使う対策までの順番と、経営者がつまずきやすいポイントを整理します。
なぜ経費を増やしても税金が思ったほど減らないのか
会社にかかる税金は法人税だけではありません。
法人住民税・法人事業税を合わせて考える必要があり、なかでも見落とされやすいのが法人住民税の「均等割」です。
均等割は資本金や従業員数に応じて決まる定額の税金で、たとえ赤字で法人税がゼロでも、原則として支払い義務が発生します。
「今期は赤字だから税金はかからないはず」と思っていると、想定外の請求に驚くことになりかねません。
もう一つの誤解が、経費を増やせば増やすほど得だという考え方です。
無計画に物を買ったり交際費を使ったりしても、支出した分だけ会社の現金は減ります。
節税で浮いた税額より支出のほうが大きければ、手元に残るお金はむしろ減ってしまいます。
節税の目的は税金を減らすことではなく、会社に残るお金を増やすことだと考えると、判断を間違えにくくなります。
全体の考え方や基本の流れは法人の節税、何から手をつける?経営者が知っておきたい基本と落とし穴でも整理しているので、あわせて読んでみてください。
お金を使わない節税から手をつける
節税の順番として最初に確認したいのが、追加の支出をせずにできる対策です。
ここを飛ばしていきなり支出を伴う対策に走ると、本来使えたはずの制度を見逃したまま無駄なお金を使うことになりかねません。
- 未払費用の計上漏れがないか確認する:決算日までに発生しているが支払いがまだの費用(社会保険料の会社負担分、水道光熱費など)は、支払っていなくてもその期の経費にできます。
計上を忘れているケースは意外と多いです。 - 少額減価償却資産の特例を使う:青色申告をしている中小企業であれば、取得価額30万円未満の資産を、年間合計300万円まで購入した年に一括で経費にできる特例があります。
本来なら数年かけて減価償却(資産の購入費用を耐用年数に応じて分割して経費にする仕組み)する備品も、この特例で一度に費用化できます。 - 不要な在庫・固定資産を整理する:使っていない設備や売れる見込みのない在庫を処分すると、その損失を経費にできます。
ただし廃棄した事実を証明する書類は必ず残しておく必要があります。 - 欠損金の繰越控除を確認する:過去に赤字を出した年がある場合、その赤字(欠損金)は最大10年間繰り越して、黒字の年の利益と相殺できます。
忘れていると使えたはずの控除を取りこぼします。
次に、使うなら「会社の力になる」お金の使い方を選ぶ
お金を使わない対策をひと通り確認したら、次は支出を伴う対策です。
ここで大事なのは、単に経費を作るためではなく、将来の会社や社員のためになる使い方を選ぶことです。
- 役員報酬を見直す:役員報酬は「定期同額給与」として、毎月同じ金額を支給していれば経費にできます。
定期同額給与とは、事業年度を通じて毎月一定額を支払う給与のことで、これが原則です。
期の途中で金額を変えると、変更後の増額分が経費として認められないことがあるため、見直すなら事業年度開始から3か月以内に行うのが基本です。
役員報酬の決め方や落とし穴は役員報酬で節税できるって本当?損しない決め方と3つの落とし穴で詳しく解説しています。 - 社宅制度を活用する:会社が住宅を借りて役員・社員に貸し出し、家賃の一部を給与から天引きする仕組みです。
会社が支払う家賃を経費にしつつ、本人の所得税・住民税の負担も抑えられます。
ただし本人負担分があまりに低いと、差額が給与とみなされて課税される点には注意が必要です。
仕組みと失敗例は社宅を経費にするには?家賃を節税につなげる仕組みとよくある失敗にまとめています。 - 決算賞与を支給する:事業年度が終わってから1か月以内に支払えば、その事業年度の経費にできます。
社員への還元と節税を両立できる方法です。 - 経営セーフティ共済に加入する:正式には中小企業倒産防止共済といい、取引先の倒産に備える制度です。
掛金は月20万円まで、掛金総額800万円までを損金(税務上の経費)にできる一方、40か月以上納め続ければ解約時にほぼ全額が戻ってくる積立の性質も持っています。
やりすぎると損をする、よくある誤解とつまずきポイント
節税を進めるうえで、経営者が特につまずきやすいポイントを3つ挙げます。
1つ目は、交際費の上限です。
資本金1億円以下の会社であれば、年間800万円までの交際費(または接待飲食費の50%相当額)を経費にできますが、この枠を超えた分は経費として認められません。
上限を意識せずに使ってしまうと、想定していた節税効果が出ないことになります。
2つ目は、節税と脱税の境界線です。
証拠となる書類を残さない、実態のない取引を作るといったやり方は、たとえ節税のつもりでも税務調査で否認され、追加の税金とペナルティを課される可能性があります。
「合法かどうか怪しい」と感じる商品や手法には手を出さないのが安全です。
3つ目は、節税対策の多くが「課税の繰り延べ」にすぎないという点です。
たとえば決算期の変更や一部の共済・保険は、今期の税金を減らす代わりに将来の税金を増やす仕組みになっていることがあります。
今だけを見て判断すると、数年後に「思ったほど得していなかった」と気づくことになりかねません。
自分の会社にどの対策が合うか迷ったら、節税は税理士に相談すべき?メリット・費用相場・失敗しない選び方も参考にしながら、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ
会社の節税は、まずお金を使わない対策で取りこぼしをなくし、そのうえで会社の力になる支出を選ぶという順番で考えると、無理なく進められます。
上限やルールを正しく理解し、書類の裏付けを残しながら、一つずつ着実に実行していきましょう。
関連記事
Author Profile
-
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
Latest entries
所得税2026年9月19日個人事業を残して法人設立は可能?所得分散・消費税の注意点を税理士が解説
税金あれこれ2026年9月18日医師の節税、何から始める?勤務医と開業医で対策はここまで変わる
税金あれこれ2026年9月18日アパート経営は節税になる?仕組みと知っておきたい注意点
税金あれこれ2026年9月18日中小企業の節税、何から始める?経営者が知っておきたい基本と失敗しない考え方







