クラウドファンディングで集まった資金は、募集ページで「支援金」「応援金」と表示されていても、その名称だけで税務処理が決まるわけではありません。
支援者に商品やサービスを提供するのか、返済義務があるのか、株式や利益分配を与えるのかなど、契約の実態によって法人税・消費税の取扱いが大きく変わります。
経営者
新商品の開発のためにクラウドファンディングを実施したところ、目標を大きく超えて500万円の支援金が集まりました。
応援してもらったお金なので、全額を会社の売上に計上しなくてもよいですよね?
税理士
一律に売上から除外することはできません。
一般的な購入型クラウドファンディングのように、支援者へ商品やサービスを提供する場合は、原則として、その支援金は会社の売上・益金になります。
目標額を超えたことや、支援者に応援の気持ちがあることだけでは、寄付金や借入金にはなりません。
経営者
購入型というのは、完成した新商品を支援者へ送る形式のことですか?
税理士
そのとおりです。
支援金の支払いと引き換えに、新商品、試作品、サービス、イベント参加権などを提供する場合は、通常は商品やサービスの販売取引として扱います。
法人税では原則として益金となり、消費税でも対価性があるため、課税事業者であれば原則として課税売上になります。
経営者
500万円が入金された時点で、すぐに売上として計上するのですか?
税理士
商品をまだ発送していない場合は、入金時にいったん前受金として処理し、原則として商品を引き渡した時点で売上へ振り替えることが考えられます。
特に、クラウドファンディングの入金日と商品の発送日が決算期をまたぐ場合は、売上計上時期を慎重に確認する必要があります。
募集成立日、決済確定日、入金日、発送日、検収条件などを整理してください。
経営者
プラットフォーム手数料として50万円を引かれ、実際の振込額が450万円だった場合は、450万円だけを売上にすればよいですか?
税理士
通常は、支援総額500万円を売上等として計上し、差し引かれた50万円を支払手数料として別に計上します。
振込額450万円だけを売上とするのではなく、手数料控除前の総額で処理するのが原則です。
消費税の課税売上についても、原則として、支援者から受け取る対価の総額を基礎に判定します。
経営者
商品を渡さない、純粋な寄付型であれば、税金はかかりませんか?
税理士
法人税では、売上ではなくても課税対象になるのが原則です。
返礼品やサービスの提供がなく、純粋な寄付として受け取った場合は、受贈益や雑収入などとして益金に算入される可能性があります。
一方、消費税は、商品やサービスの提供との対価関係がなければ、原則として課税対象外です。
経営者
では、融資型や株式投資型はどうなりますか?
税理士
融資型で返済義務がある資金の元本は、通常は借入金であり、受け取った時点の収益にはなりません。
株式投資型で株式等を交付する場合は、資本金や資本剰余金などの資本取引として処理するのが基本です。
いずれも元本の受入れ自体は、通常、消費税の課税売上にはなりません。
ただし、利息、配当、利益分配、匿名組合契約などが絡む場合は、契約内容に応じた個別判断が必要です。
経営者
支援額の一部だけが商品の代金で、それを超える部分は純粋な応援金という場合はどうなりますか?
税理士
購入対価部分と純粋な寄付部分を、募集ページ、利用規約、金額設定、支援者への表示などから明確に区分できるかを確認します。
単に「応援金を含みます」と書いただけでは十分とは限りません。
通常販売予定価格とリターン内容、任意の上乗せ支援の仕組み、返礼品の価値などを踏まえて、実態に応じて判断します。
経営者
結局、会社では何を確認すればよいですか?
税理士
最低限、次の資料と事実を確認してください。
募集ページ、利用規約、支援契約、支援金額ごとのリターン内容、通常販売予定価格、目標未達時の返金条件、募集終了日、決済確定日、入金日、商品発送日、プラットフォーム手数料、支援者への請求書・インボイスの発行方法などです。
「支援」「応援」「寄付」という名称ではなく、返済義務、リターン、株式交付、利益分配、対価関係などの実態で判定します。
類型別の基本的な取扱い
実務上の重要ポイント
主な根拠
クラウドファンディングを直接扱った国税不服審判所の公開裁決事例は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。
そのため、本記事では、法人税法・消費税法・法人税基本通達及び国税庁税務大学校の研究資料を主な根拠としています。
※本記事は一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、募集ページ、利用規約、リターン内容、決済条件、入金時期、商品引渡時期、消費税の課税区分などによって異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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