「マンション投資をすれば節税になる」。
そう聞いて、なんとなく資料請求だけしてみたものの、結局モヤモヤしたまま話を終えた——という方は少なくないのではないでしょうか。
不動産会社の担当者は「節税効果」を前面に出してきますが、実際のところ何がどう安くなるのか、腑に落ちないまま契約を迫られたという相談も耳にします。
この記事では、マンション投資でなぜ税金が安くなるのか、その仕組みと、どんな人に向いていて、どんな人には向かないのかを整理します。
契約印を押す前に、一度落ち着いて確認しておきたい内容です。
なぜマンション投資で税金が安くなるのか
マンション投資の節税効果は、主に2つの仕組みで成り立っています。
1つ目は減価償却費です。
建物は年数が経つほど価値が下がっていくものとみなされ、その下がった分を毎年「経費」として計上できます。
ポイントは、この経費が実際にお金が出ていくものではないという点です。
手元のキャッシュフローはプラスでも、確定申告上は不動産所得が赤字になる、ということが起こり得ます。
2つ目は損益通算です。
この不動産所得の赤字を、給与所得と合算できる制度で、結果として課税対象になる所得全体が圧縮されます。
給与から天引きされていた源泉徴収税額が「納めすぎ」の状態になり、確定申告によって差額が還付される、という流れです。
あわせて、マンションの相続税評価額は現金でそのまま持っているときより低く算定されるケースが多く、資産を現金からマンションに組み替えることで相続税の負担を抑える、という使われ方をすることもあります。
ただし2024年以降は、評価額が時価に対して著しく低くなる場合に評価水準を引き上げる見直しが行われており、以前ほど単純な節税効果は見込みにくくなっている点は押さえておく必要があります。
「節税効果が出やすい人」と「出にくい人」の分かれ目
ここが一番のつまずきポイントです。
マンション投資の節税は、誰にでも同じだけ効くわけではありません。
効果の大きさを左右するのは、給与所得にかかる実効税率です。
所得税は所得が上がるほど税率が上がる仕組みになっているため、課税所得がおおむね900万円を超え、実効税率が高い層ほど節税の恩恵を受けやすいとされています。
逆に、課税所得がそれほど高くない場合は、赤字を作ってまで節税を狙う意味が薄く、住宅ローン控除など他の制度で十分な還付を受けられていることも少なくありません。
また、同じマンションでも新築か中古かで話は変わってきます。
新築は建物の耐用年数が長く設定されるため、1年あたりの減価償却費が小さくなりがちで、節税目的では効果を感じにくいと言われています。
一方、中古物件は残りの耐用年数が短くなる分、1年あたりの減価償却費を大きく計上できる可能性があり、節税を重視するなら選択肢に入りやすいとされています。
節税を活かすための進め方
節税効果を得るために押さえておきたい流れを整理します。
- 必要経費を漏れなく計上する:管理費、修繕積立金、火災保険料、固定資産税、ローン利息(建物部分)など、計上できる経費は多岐にわたります。
何が経費にできるかは事前に確認しておきましょう。 - 確定申告を必ず行う:節税効果は自動的に反映されるものではなく、確定申告をして初めて還付や税額の軽減という形になります。
- 契約内容を確認する:減価償却費の計算は、建物と土地の価格をどう按分するかで変わります。
契約書に建物価格が明記されているかどうかを確認しておくと安心です。 - 法人化の要否も視野に入れる:規模が大きくなってきた場合、個人ではなく法人で保有したほうが税負担を抑えられることもあります。
これは物件数や収支の状況次第で判断が分かれるため、早い段階で一度相談しておくとよいでしょう。
見落としがちな注意点
節税という言葉だけを見て契約すると、後になって「聞いていた話と違う」となりがちな部分があります。
まず、減価償却による節税は税金が消えるのではなく「先送り」になっているという側面があることです。
保有中に計上した減価償却費は、売却時の譲渡所得の計算に反映されるため、将来の売却時にまとめて課税される形になります。
保有中の税率と売却時の税率の差をどう活かすか、という長期的な視点が欠かせません。
次に、減価償却期間が終わると、それまで赤字を作っていた経費がなくなり、不動産所得が急にプラスへ転じることがあります。
「節税になっていたはずが、ある年から急に税金が増えた」という戸惑いは、この仕組みを知らないまま投資を始めた場合に起こりやすいものです。
さらに、賃貸需要が乏しい地域では空室が続き、家賃収入が想定より入らないことで資金繰りが苦しくなるケースもあります。
加えて、不動産所得の赤字が続くと、住宅ローンなど他の融資審査に影響する可能性がある点も見逃せません。
節税はあくまで投資全体のなかの一要素であり、立地や賃貸需要といった収益性の見極めを後回しにしてはいけません。
節税や税金対策全般の基本的な考え方は、節税の基本と失敗しない考え方でも整理していますので、あわせて確認しておくと判断の軸が持ちやすくなります。
マンション投資に限らず不動産投資全体でどんな人が得をしやすいかは不動産投資の節税、本当に得する人・損する人の違いとはで詳しく解説していますし、相続対策としての側面が気になる方は相続税の節税、何から始める?今のうちにできる対策と落とし穴も参考になるはずです。
まとめ
マンション投資の節税は、減価償却と損益通算という仕組みで成り立ちますが、効果の大きさは所得水準や物件の選び方次第で変わり、税金の先送りという性質も持っています。
節税だけを目的にせず、収益性と合わせて冷静に見極めることが、後悔しない投資の第一歩です。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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