開業届を出す前に、すでに商品販売やサービス提供による売上が発生しているケースがあります。
この場合、「開業届を出す前だから、その売上は申告しなくてよいのではないか」と考える方もいます。
しかし、開業届を提出する前の売上であっても、原則として申告の計算から除外することはできません。
開業届は、事業を開始したことを税務署へ届け出る手続です。開業届を出した日によって、売上が課税対象になるかどうかが決まるわけではありません。
相談者
開業届を出す前に売上がありました。
まだ正式に開業届を出していなかったので、この売上は申告しなくてもよいのでしょうか?
税理士
開業届を出す前の売上であっても、原則として申告の計算に含める必要があります。
開業届は「事業を開始したことを税務署へ届け出る手続」です。
開業届を出したかどうかで、売上が課税対象になるかどうかが決まるわけではありません。
相談者
でも、開業届を出していない時点では、まだ事業者ではないのではありませんか?
税理士
税務上は、届出書を出した日だけで判断するのではなく、実際にどのような活動をしていたかを見ます。
たとえば、商品を販売した、サービスを提供した、報酬を受け取る仕事をしたという実態があれば、その収入は所得税の計算対象になります。
継続的・反復的に行う事業であれば事業所得、事業とまではいえない規模や態様であれば雑所得として整理する可能性があります。
相談者
開業届を出す前の売上は、事業所得ではなく雑所得になるのですか?
税理士
必ず雑所得になるわけではありません。
所得区分は、開業届を出した日だけで決まるものではなく、実際の業務内容、継続性、反復性、営利性、帳簿や資料の保存状況などを踏まえて判断します。
開業届の提出前であっても、すでに事業として商品販売やサービス提供を開始していたのであれば、事業所得として整理する余地があります。
一方、単発的な取引や副業的な収入で、事業といえるほどの規模や実態がない場合は、雑所得として整理することがあります。
相談者
売上を計上するタイミングは、入金日で判断すればよいですか?
税理士
入金日だけで判断するとは限りません。
所得税では、原則として、その年に「収入すべき金額」を収入金額として計算します。
そのため、商品を引き渡した日、サービスを提供した日、請求権が確定した日などを確認する必要があります。
開業届の提出日ではなく、実際に売上が発生した時期に基づいて整理します。
相談者
ということは、開業届に書いた開業日より前の売上も、申告に入れることがあるのですね。
税理士
はい。開業届に記載した開業日より前に実際の売上が発生していた場合、その売上も申告の計算に含める必要があります。
開業届に書いた日付と、実際に事業活動を始めた日がずれているケースは珍しくありません。
重要なのは、いつ届出書を出したかではなく、いつ商品販売やサービス提供を行い、いつ収入を得る権利が発生したかです。
相談者
ただ、売上といっても少額です。それでも確定申告が必要ですか?
税理士
そこは分けて考える必要があります。
「開業届前の売上を除外してよいか」と、「確定申告義務があるか」は別の問題です。
開業届前の売上も含めて、その年の所得を計算します。
そのうえで、給与所得の有無、年末調整の有無、所得控除、源泉徴収税額、所得税額などを踏まえて、確定申告が必要かどうかを判断します。
相談者
会社員の副業で、所得が20万円以下なら申告しなくてよいと聞いたことがあります。
税理士
給与所得者について、一定の場合に、給与以外の所得が20万円以下であれば所得税の確定申告が不要となる取扱いがあります。
ただし、これは「開業届前の売上を除外してよい」という意味ではありません。
開業届前の売上も含めて所得を計算した結果、一定の要件を満たす場合に、所得税の確定申告が不要となることがある、という整理です。
また、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。
相談者
売上に対応する経費はどうなりますか?
税理士
売上を得るために直接必要となった仕入れ、決済手数料、送料、交通費、広告費などは、必要経費として整理できる可能性があります。
開業届前だから売上を除外できないのと同じように、開業届前の支出だから必ず経費にできないというわけでもありません。
ただし、支出の内容によって、必要経費になるもの、開業費として繰延資産に整理するもの、固定資産として扱うものがあります。
領収書、請求書、注文履歴、カード明細などを保存して、売上との関係を説明できるようにしておくことが重要です。
相談者
青色申告は、開業届前の売上にも使えますか?
税理士
青色申告を適用できるかどうかは、開業届とは別に、青色申告承認申請書の提出期限を確認する必要があります。
開業届を出しただけで、自動的に青色申告になるわけではありません。
開業日、青色申告承認申請書の提出日、その年から適用できるかどうかを確認してください。
相談者
消費税やインボイスも関係しますか?
税理士
所得税とは別に確認が必要です。
今回の論点は主に所得税ですが、売上規模や過去の課税売上高、インボイス登録の有無によっては、消費税の課税事業者該当性やインボイスの問題が生じることがあります。
特に、インボイス登録をしている場合は、登録日以後の消費税の取扱いにも注意が必要です。
相談者
結局、何を確認すればよいですか?
税理士
まず、開業届を提出した日、開業届に書いた開業日、実際に事業を始めた日を確認します。
次に、開業届前に発生した売上の日付、金額、商品やサービスの内容、入金日を整理します。
あわせて、その売上に対応する仕入れ、手数料、交通費などの経費資料も確認してください。
そのうえで、事業所得か雑所得か、所得税の確定申告が必要か、住民税の申告が必要か、青色申告が使えるかを判断します。
町田・相模原で開業直後の確定申告に不安がある方へ
開業直後は、開業届の提出日、実際の事業開始日、初回売上の発生日、入金日がずれることがあります。
この整理を曖昧にしたまま確定申告をすると、売上の計上漏れ、所得区分の誤り、開業費や必要経費の処理誤りにつながります。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、売上発生日、入金日、業務内容、継続性、給与所得の有無、所得控除、青色申告承認申請書の提出状況などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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