個人事業主として免税事業者だった方が、法人を設立して事業を引き継ぐ、いわゆる「法人成り」をした場合、消費税がどうなるのかは非常によくある相談です。
結論からいうと、法人成り後の法人は、一定の例外に該当しなければ、設立1期目・2期目について消費税が免税となる可能性があります。
ただし、「必ず丸2年間免税」という意味ではありません。
資本金、インボイス登録、課税事業者選択届出書、特定期間の売上・給与、大規模事業者との支配関係などにより、設立直後または2期目から課税事業者になることがあります。
個人事業主
免税事業者の個人事業主が法人成りしたら、また2年間消費税が免除されるって本当ですか?
税理士
おおむね本当ですが、「必ず丸2年間免税」という意味ではありません。
法人成り前の個人事業主と、法人成り後の法人は、消費税では別の事業者として判定します。
そのため、個人事業時代の課税売上高は、原則として新しく設立した法人の基準期間や特定期間の課税売上高には引き継がれません。
個人事業主
個人事業の売上が1,000万円以下だったから、法人にしても最初は免税になりやすいということですか?
税理士
はい。新しく設立した法人には、通常、設立1期目・2期目について「基準期間」がありません。
消費税では、原則として基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば納税義務が免除されます。
新設法人はこの基準期間がないため、一定の例外に該当しなければ、設立1期目・2期目は免税事業者となる可能性があります。
個人事業主
では、法人成りすれば必ず2年間は消費税を払わなくてよいのですか?
税理士
いいえ。そこが重要です。
法人成りによって免税となる可能性はありますが、次のような場合は、設立直後または2期目から課税事業者になることがあります。
資本金または出資金が1,000万円以上の場合、法人でインボイス登録をする場合、課税事業者選択届出書を提出する場合、1期目の特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合、大規模事業者等に50%超支配される特定新規設立法人に該当する場合などです。
個人事業主
資本金1,000万円以上だと、最初から消費税がかかるのですか?
税理士
基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金または出資金の額が1,000万円以上である場合は、原則として免税事業者にはなれません。
そのため、法人成りで消費税の免税期間を考える場合、資本金をいくらにするかは非常に重要です。
単に会社の見栄えや信用だけで資本金を決めるのではなく、消費税への影響も確認しておく必要があります。
個人事業主
インボイス登録をした場合はどうなりますか?
税理士
法人で適格請求書発行事業者、いわゆるインボイス発行事業者として登録した場合、その登録日以後は課税事業者になります。
つまり、基準期間がない新設法人であっても、インボイス登録をすれば免税事業者のままではいられません。
取引先からインボイス登録を求められる場合もありますが、登録するかどうかは、取引先との関係、売上規模、納税額の試算を踏まえて判断する必要があります。
個人事業主
2期目から課税になることもあるのですか?
税理士
あります。
基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合は、免税規定が適用されないことがあります。
法人の場合、原則として前事業年度開始の日から6か月間が特定期間になります。
ただし、国内事業者については、課税売上高に代えて給与等支払額で判定することもできます。つまり、特定期間の売上が1,000万円を超えていても、給与等支払額が1,000万円以下であれば、2期目も免税となる余地があります。
個人事業主
「2年間免税」と聞くと、24か月免税になるイメージがあります。
税理士
実務上、ここも誤解が多いところです。
ここでいう「2年間」は、通常、24か月という意味ではなく、「設立1期目と2期目」の2事業年度を指します。
たとえば、設立1期目が6か月の法人で、1期目・2期目が免税になる場合でも、実際の免税期間は約18か月です。
設立日と決算月の設定によって、免税となり得る期間や2期目の特定期間判定が変わるため、会社設立前に確認しておくべきです。
個人事業主
1期目を短くすると有利になることがあるのですか?
税理士
消費税だけを見ると、影響が出る場合があります。
特に、設立1期目が長い法人では、1期目の前半6か月の売上や給与額によって、2期目から課税事業者になる可能性があります。
一方、設立1期目が7か月以下の場合には、通常、1期目を用いた特定期間判定が生じにくくなります。
ただし、決算月は消費税だけで決めるものではありません。法人税、資金繰り、繁忙期、役員報酬の設定、融資、事業計画も含めて決める必要があります。
個人事業主
大きな会社に出資してもらう場合も注意が必要ですか?
税理士
はい。資本金が1,000万円未満でも、一定の大規模事業者等に50%超支配される法人は、特定新規設立法人として免税にならない場合があります。
たとえば、課税売上高が5億円を超える事業者や、一定の総収入金額が50億円を超える事業者との支配関係がある場合には注意が必要です。
通常の小規模な法人成りでは問題にならないことも多いですが、親会社、出資者、関連会社がある場合は必ず確認します。
個人事業主
結局、法人成り前に何を確認すればよいですか?
税理士
最低限、次の点を確認してください。
法人の設立予定日、決算月、1期目の月数、資本金、インボイス登録の予定、1期目の前半6か月の売上見込み、給与・役員報酬の見込み、課税事業者選択届出書を出す予定があるかどうかです。
また、高額な設備や建物を取得する場合、あえて課税事業者を選択した方がよいケースもあります。
「免税になりそうだから」という理由だけで判断せず、納税額、取引先との関係、設備投資、資金繰りまで含めて検討する必要があります。
町田・相模原で法人成りを検討している方へ
法人成りは、所得税・法人税・社会保険だけでなく、消費税にも大きな影響があります。
特に、消費税については「法人成りすればまた2年間免税」という言葉だけが独り歩きしやすく、実際には資本金、決算月、インボイス登録、特定期間の売上や給与額によって結論が変わります。
町田・相模原で法人成りを検討している個人事業主の方は、会社設立前に、消費税の免税期間、インボイス登録、役員報酬、資金繰りをまとめて確認することをおすすめします。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の判定は、法人の設立日、決算月、資本金、インボイス登録日、売上・給与見込み、出資関係、高額設備投資の有無などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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