「公務員は節税なんてしてはいけないのでは」——そう感じたことはありませんか。
給与明細を開くたびに手取りの伸びなさにため息をつきつつも、副業が禁じられている自分には打てる手が少ない気がして、結局何もせずに一年を終えてしまう。
そんな声をよく耳にします。
実は公務員が使える節税の選択肢は、思っているよりも多く残されています。
しかもどれも法律で認められた制度を使うだけの、合法的な家計防衛策です。
まずは何につまずきやすいのか、そこから整理していきます。
公務員が「節税は自分には縁がない」と感じる理由
公務員には、国家公務員法第103条・第104条や地方公務員法第38条による「営利企業への従事等の制限」、いわゆる副業禁止規定があります。
会社員向けの節税記事でよく紹介される副業の赤字を使った損益通算や、副業の黒字を青色申告で圧縮する方法は、公務員には基本的に使えません。
この違いが「自分には節税の選択肢がない」という思い込みにつながりやすいのです。
もう一つの原因が、「公務員が節税するのはおかしい」という感情論と、合法的な制度活用である節税を混同してしまうことです。
節税は法律に基づいて認められた控除や非課税制度を利用する行為であり、所得を隠したり領収書を偽造したりする脱税とはまったく別物です。
制度が公務員も対象に含めて設計されている以上、使わない理由はありません。
さらに、iDeCoの節税やふるさと納税は本当に節税になるのかといった制度そのものは会社員と共通していても、掛金の上限額や運用時の注意点が公務員特有だったりするため、「調べても自分に当てはまるのか分からない」という声もよく聞きます。
副業禁止でも使える節税の手順
1. iDeCo(個人型確定拠出年金)から始める
iDeCoは資産運用であって副業ではないため、副業禁止規定に抵触しません。
掛金は全額が所得控除の対象になり、運用益も非課税、受け取り時にも控除が用意されています。
公務員の掛金上限は月2万円で、会社員(企業年金の有無などで上限が異なります)と比べても低めに設定されている点は押さえておきたいところです。
まずはiDeCoの節税の仕組みで拠出額に応じた控除額の目安を確認し、無理のない金額から始めるのが安全です。
2. ふるさと納税で自己負担2,000円の範囲を使い切る
ふるさと納税も副業には当たらない寄附の制度です。
年収や家族構成に応じた上限額の範囲内であれば、自己負担2,000円で寄附額のおおむね3割相当の返礼品を受け取れます。
公務員は住んでいる自治体の税収が減ることに引け目を感じる方もいますが、総務省が制度の意義として掲げているのは、納税者自身が税の使い道を選べるようにすることです。
仕組みや損をしないコツはふるさと納税は本当に節税になるのかで詳しく整理しています。
ワンストップ特例制度を使えば、寄附先が5自治体以内なら確定申告なしで手続きが完結します。
3. 年末調整・確定申告の控除を取りこぼさない
医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除、小規模企業共済等掛金控除(iDeCoの掛金はここに該当します)など、公務員でも使える所得控除は数多くあります。
生命保険料控除や住宅ローン控除は年末調整で申告できますが、医療費控除や寄附金控除は年末調整では完結せず、確定申告が別途必要です。
会社員の節税でも触れているとおり、年末調整だけで終わらせてしまうと、本来受けられる控除を取りこぼしたままになりがちです。
4. NISAで運用益への課税を避ける
NISAは投資で得た利益が非課税になる制度で、こちらも資産運用であり副業には該当しません。
節税というより「税金がかからない運用の器」というイメージに近い制度ですが、iDeCoと並んで公務員が安心して使える選択肢のひとつです。
5. 不動産投資は「5棟10室基準」を確認してから検討する
不動産投資に関心がある場合は、人事院規則14-8の運用通知にある「独立家屋なら5棟未満・区分所有なら10室未満」「年間の家賃収入(経費控除前の総額)が500万円未満」「入居者募集や維持管理を管理会社に委託し、自主管理をしない」という3つの基準を満たせば、任命権者の許可を得ずに行えるとされています。
この基準を超えると懲戒処分の対象になり得るため、始める前に所属先の服務担当に確認しておくと安心です。
得する人・損する人の違いは不動産投資の節税も参考にしてください。
つまずきやすいポイント・よくある誤解
- 副業禁止=節税もできない、という誤解: 禁止されているのはあくまで営利企業への従事等であり、iDeCoやNISA、ふるさと納税、確定申告での控除活用は制度として認められています。
- 不動産投資は公務員には一切無理という思い込み: 実際には5棟10室・家賃収入500万円未満・管理委託という基準内であれば、許可なく行える場合があります。
ただし基準や運用は自治体・省庁によって細部が異なることもあるため、自己判断だけで進めず確認を挟むと安心です。 - iDeCoの掛金上限を会社員と同じだと思ってしまう: 公務員の上限は月2万円で、企業年金のない会社員などより低めです。
上限を勘違いしたまま拠出限度額を設定すると、後から修正の手間が生じます。 - ふるさと納税の効果を実感しづらい: 控除は翌年の住民税から天引きという形で反映されるため、「得している実感がない」という声もありますが、仕組み自体は正しく機能しています。
- 確定申告が必要な控除を年末調整だけで済ませてしまう: 医療費控除やふるさと納税(6自治体以上に寄附した場合など)は確定申告が前提です。
申告し忘れると、本来受けられるはずの控除を逃してしまいます。
まとめ
公務員だからといって節税の選択肢が閉ざされているわけではありません。
副業に当たらないiDeCo・NISA・ふるさと納税、そして年末調整と確定申告での控除の取りこぼし防止から、無理のない範囲で一つずつ手をつけてみてください。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。







