社員旅行について、「1人いくらまでなら経費になりますか?」という相談を受けることがあります。
結論からいうと、社員旅行には「1人○万円までなら経費」という法律上の上限額はありません。
会社が従業員の慰安のために通常必要な範囲で負担する社員旅行費用は、法人税上、交際費等から除外され、福利厚生費等として損金処理できるのが基本です。
ただし、「会社の経費になるか」と「参加した社員に給与課税されないか」は、分けて考える必要があります。
経営者
社員旅行を考えています。
社員旅行はいくらまでなら経費になりますか?
税理士
社員旅行には、「1人○万円までなら経費になる」という法律上の明確な上限額はありません。
会社が従業員の慰安のために通常必要な範囲で負担する旅行費用であれば、法人税上は福利厚生費等として損金処理できるのが基本です。
ただし、金額だけで判断するのではなく、旅行の目的、日数、参加対象者、参加率、会社負担額、旅行内容の豪華さなどを総合的に見る必要があります。
経営者
「10万円までなら大丈夫」と聞いたことがあります。
10万円が上限ということですか?
税理士
いいえ。10万円は法律上の上限ではありません。
国税庁は、会社負担7万円の3泊4日旅行や、会社負担10万円の4泊5日旅行について、給与課税しなくてよい具体例を示しています。
しかし、これは「10万円以下なら必ず安全」という意味ではありません。
10万円はあくまで国税庁が示した具体例であり、最終的には旅行内容や会社負担額が社会通念上一般的な範囲かどうかで判断します。
経営者
会社の経費になることと、社員に給与課税されないことは違うのですか?
税理士
違います。
法人税上は、その社員旅行費用が会社の福利厚生費等として損金になるかを判断します。
一方、所得税、つまり源泉所得税の面では、参加した役員や従業員が会社から経済的利益を受けたとして、給与課税されるかどうかを判断します。
会社では経費になっても、旅行内容が高額すぎる場合や一部の人だけを対象にしている場合には、参加者に給与課税される可能性があります。
経営者
給与課税されない社員旅行の目安はありますか?
税理士
国税庁が示している代表的な目安は、旅行期間が4泊5日以内であること、海外旅行の場合は現地滞在日数が4泊5日以内であること、そして原則として従業員等の50%以上が参加することです。
ただし、この2つを満たせば必ず非課税というわけではありません。
旅行内容、旅行先、会社負担額、参加対象者、会社の福利厚生規程、全従業員に参加機会があったかどうかなどを総合的に判断します。
経営者
参加率が50%未満だと、必ず給与課税されますか?
税理士
必ず給与課税されるとは限りません。
国税庁の現在のQ&Aでは、全社員に参加を募集したものの、結果的に参加率が38%となった3泊4日旅行について、会社負担額が7万円で、福利厚生規程に基づく会社主催の旅行であることなどを総合して、給与課税しなくてよいとする事例が示されています。
つまり、50%は重要な目安ですが、「50%を1人でも下回れば即アウト」という機械的な基準ではありません。
逆に、50%以上参加していても、旅行内容が豪華すぎたり、会社負担額が高額すぎたりすれば、給与課税のリスクがあります。
経営者
役員だけで行く旅行でも、社員旅行として経費になりますか?
税理士
役員だけを対象にした旅行は、通常の従業員レクリエーション旅行とは扱いが異なります。
国税庁も、役員だけを対象とする旅行、取引先に対する接待旅行、実質的な私的旅行、金銭との選択ができる旅行については、通常の従業員レクリエーション旅行には該当しないとしています。
役員だけの旅行を福利厚生費として処理するのは危険です。
実態によっては、役員給与、役員賞与、交際費、または私的費用として問題になる可能性があります。
経営者
社員の家族も一緒に参加する場合、家族分も会社の経費にできますか?
税理士
家族同伴の社員旅行は注意が必要です。
従業員本人の慰安を目的とした通常の社員旅行であれば福利厚生費として処理できる可能性がありますが、家族分まで会社が負担する場合、その家族分が従業員本人への経済的利益として給与課税の対象になる可能性があります。
特に、役員家族の分を会社が負担する場合や、会社負担額が高額な場合は慎重に判断する必要があります。
経営者
社員旅行に行かなかった人に、代わりに現金を支給してもよいですか?
税理士
それは避けた方がよいです。
自分の都合で参加しなかった社員に、旅行の代わりとして現金を支給すると、単なる福利厚生ではなく、給与としての性格が強くなります。
国税庁も、金銭との選択ができる旅行や、不参加者に金銭を支給する場合には、通常の従業員レクリエーション旅行とは扱わない考え方を示しています。
この場合、不参加者だけでなく、旅行に参加した人についても給与課税の問題が生じる可能性があります。
経営者
旅行会社への請求書を保存しておけば十分ですか?
税理士
請求書だけでは不十分です。
社員旅行を福利厚生費として処理する場合は、次の資料を残しておくことが望ましいです。
旅行の案内、参加者名簿、全従業員に募集したことが分かる社内メール、旅程表、旅行会社の請求書、会社負担額と本人負担額の内訳、福利厚生規程などです。
税務調査では、「本当に従業員の慰安のための旅行だったのか」「一部の人だけを優遇していないか」「会社負担額が通常の範囲か」を説明できることが重要です。
経営者
では、実務上はどう判断すればよいですか?
税理士
まずは、1人当たりの総旅行費、会社負担額、本人負担額、旅行日数、参加予定人数、全従業員数、参加対象者、旅行先、旅程を整理してください。
そのうえで、4泊5日以内か、全従業員の50%以上が参加する予定か、会社負担額が社会通念上一般的な範囲か、役員だけや一部従業員だけの旅行になっていないかを確認します。
10万円という数字だけで判断するのは危険です。
社員旅行は、金額、日数、参加率、目的、対象者、旅行内容を総合して判断します。
町田・相模原で社員旅行や福利厚生費の処理に迷った方へ
社員旅行は、従業員の慰安や社内の親睦を目的とするものであれば、福利厚生費として処理できる可能性があります。
しかし、1人当たりの会社負担額が高い場合、海外旅行の場合、役員中心の旅行の場合、家族同伴の場合、不参加者へ現金を支給する場合は、給与課税や役員給与の問題が生じることがあります。
町田・相模原で、社員旅行費用、福利厚生費、役員給与、源泉所得税の処理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、旅行先、旅行日数、会社負担額、参加率、対象者、家族同伴の有無、福利厚生規程、証憑の保存状況などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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