融資は受けられる時に受けられるだけ受ける
業績が悪化して資金繰りが悪化してから融資を申し込むことには大きなリスクがあります。
たとえば、銀行の融資審査には相応の時間がかかるため、資金需要に融資が間に合わない可能性があります。
また、業績が悪化した状態では、そもそも融資が受けられない可能性もあります。
「融資は受けやすい時に受けられるだけ受ける」が鉄則です。
売上が増加した時は、まさに融資を「受けやすい時」です。
この機を逃さずに、「受けられるだけ」融資を受けておきましょう。
融資を受けるには、資金使途が必要
とはいえ、銀行にただ「貸してくれ」と頼んでも融資は受けられません。
銀行は、会社の資金需要(≒資金使途)に対し融資を行いますが、そもそも、売上が増加し、事業が好調にある会社(=現預金が潤沢にある時)には、基本的にこの資金需要がありません。
このため、売上の増加時に融資を受けるためには、相応の根拠を用意する必要があるのです。
売上増加時には、「増加運転資金」で融資を受ける
その根拠となるのが、「増加運転資金」です。
売掛金や受取手形はいずれ回収され、また棚卸資産はいずれ売上となり、現金化されますが、それまでに買掛金や支払手形の支払いがある場合には、その分の資金需要(=経常運転資金)が生じます。
売上が増加すれば、通常、売掛金も増加しますので、この資金需要はより大きくなります。
この大きくなった資金需要を「増加運転資金」といいます。
売上増加時に融資を申し込む際には、
「前期比で受注が増加し、売掛金も増加している。今後もその傾向が続く見込みであるため、増加運転資金としてご支援をお願いしたい。」
と伝えましょう。
増加運転資金は、短期継続融資で調達する
増加運転資金は、売掛金等の回収サイトと買掛金等の支払サイトとのズレにより生ずる資金需要です。
したがって、増加運転資金は、事業が継続する限り、恒常的に生ずる資金需要といえます。
この増加運転資金につき、毎月元本返済が必要な証書貸付等で融資を受けてしまうと、回収した売上代金は返済に回さざるを得ず、結局、次の仕入代金の支払いに支障をきたしてしまいます。
このため、増加運転資金につき融資を受ける際には、借入期間中に元本返済の必要のない「短期継続融資」を受けられるよう、交渉しましょう。
短期継続融資を受けるためには、
- 融資申込日から1年分の資金繰り表
- 融資申込日から過去1年分の得意先ごとの取引履歴(得意先ごとに毎月いくらの売掛金が発生し、いつ回収が行われているかがわかる資料)
を提出し、交渉することが有効です。
ポイント ・売上が増加した時は、銀行融資を受ける最大のチャンス。 ・売上が増加した時は、増加運転資金として融資を受ける。 ・増加運転資金は、短期継続融資で調達する。 |
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
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