個人名義の車を会社の買い出しや納品に使っている場合、ガソリン代や車検代などの一部を会社で負担できることがあります。
ただし、法人では個人事業のように単純な「家事按分」をするのではなく、個人所有の車を法人業務に使った分について、合理的な基準で精算する形が基本です。
経営者
個人名義の車を、仕事の買い出しや納品にも使っています。
ガソリン代、車検代、自動車税、保険料は、何割くらいまで会社の経費にできますか?
税理士
税法上、「50%まで」「70%まで」などの一律の許容割合はありません。
法人で負担できるのは、原則として法人業務のために使用した部分です。そのため、最も説明しやすいのは、総走行距離に占める業務走行距離の割合を使う方法です。
業務使用割合 = 業務走行距離 ÷ 総走行距離
例えば、年間の総走行距離が10,000km、そのうち買い出しや納品などの業務走行が4,000kmであれば、業務使用割合は40%です。
経営者
その場合、ガソリン代も車検代も、すべて40%にすればよいですか?
税理士
必ずしも、すべての費用を同じ割合にする必要はありません。
ガソリン代は、業務走行距離、実際の燃費、ガソリン単価から業務分を直接計算できるため、可能であれば実績に基づいて精算する方が明確です。
一方、車検代、自動車税、任意保険料などの固定的な費用は、年間の業務走行割合で按分する方法が考えられます。
経営者
走行距離は、どのように記録すればよいですか?
税理士
毎月または利用の都度、次の内容を記録します。
・日付
・出発時と到着時のメーター
・訪問先
・移動目的
・業務走行距離
ガソリン代や車検代の領収書だけでなく、走行記録と経費精算書をセットで保存することが重要です。
経営者
自宅から会社までの通勤距離も、業務走行に含めてよいですか?
税理士
通常の通勤は、買い出しや納品などの法人業務のための走行とは区別して考えます。
通勤について会社が負担する場合は、業務使用割合に混ぜるのではなく、通勤手当として別に整理する方が明確です。
経営者
会社がガソリン代や車検代をいったん全額支払って、あとから40%だけ経費にする方法でもよいですか?
税理士
その方法は避けた方が安全です。
個人所有車の費用を会社が全額支払うと、私用部分まで会社が負担した状態になります。私用部分は、役員または従業員に対する給与や経済的利益と判断される可能性があります。
特に役員の場合は、私用部分が役員給与に該当し、会社側で損金にできないリスクがあります。
原則として、所有者本人が費用を支払い、走行記録と精算書に基づいて法人業務分だけを会社から精算する方法が明確です。
経営者
会社と個人の間で、契約書や規程も必要ですか?
税理士
必須とまではいえませんが、継続して精算するのであれば、「私有車業務使用規程」や車両使用に関する合意書を作成することを推奨します。
規程には、対象となる業務、走行記録の方法、ガソリン代の計算方法、固定費の按分方法、通勤や私用を対象外とすることなどを定めます。
代表者や役員の所有車である場合は、後から都合のよい割合を付けたのではないことを示すためにも、事前にルールを決めておくことが重要です。
経営者
これまで記録していませんでした。「仕事でもよく使うので50%」という処理では難しいですか?
税理士
走行記録がない状態で、感覚だけを根拠に50%とするのは説明力が弱くなります。
まず1~3か月程度、実際の走行状況を記録し、その期間が通常の使用状況を表しているか確認します。その実績をもとに年間割合を検討する方法が現実的です。
ただし、繁忙期と閑散期で使用状況が大きく異なる場合は、短期間の記録だけで年間割合を決めるのは適切ではありません。
経営者
個人名義の車そのものを、会社で減価償却することはできますか?
税理士
会社が所有していない車を、会社の固定資産として減価償却することはできません。
法人が継続的かつ大部分を業務で使うのであれば、個人から法人へ適正な金額で売却する方法や、個人と法人の間で賃貸借契約を結ぶ方法も検討できます。
ただし、売却価格や賃料が不相当に高い場合には別の税務問題が生じるため、実態に合った金額にする必要があります。
経営者
車検代の請求書を、そのまま40%で処理すればよいですか?
税理士
法人税上の費用負担割合とは別に、消費税の区分にも注意が必要です。
車検代の請求書には、整備費用、部品代、自動車重量税、自賠責保険料などが含まれていることがあります。これらは消費税の取扱いが同じではありません。
請求書の総額を一つの消費税区分で処理せず、明細ごとに確認したうえで、法人業務分を精算してください。
要点
主な根拠
今回確認した国税不服審判所の公表裁決事例では、個人名義の車両について、業務走行割合によりガソリン代・車検代・自動車税・保険料を法人が精算する本件に直接対応する裁決例は確認できませんでした。
※本記事は一般的な税務上の取扱いを解説したものです。代表者・役員の所有車について会社負担割合が高い場合、過年度から全額を会社負担している場合、賃貸借契約を結ぶ場合などは、個別の確認が必要です。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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