「不動産投資は節税になる」と勧められて始めてみたものの、思ったほど税負担が軽くならない、あるいは数年経ってむしろ納税額が増えて戸惑った、という経験はないでしょうか。
これから始めようとしていて、ネットで「不動産投資は節税にならない」という声を目にして不安になっている方もいるかもしれません。
実はこの声の裏には、いくつかのはっきりした仕組み上の理由があります。
ここでは、なぜ「節税にならない」と言われるのかを整理したうえで、後悔しないための考え方を順を追って見ていきます。
なぜ「不動産投資は節税にならない」と言われるのか
不動産投資の節税は、主に不動産所得の赤字を給与所得などと相殺する「損益通算」という仕組みで成立しています。
つまり、不動産所得が黒字であれば、そもそも損益通算による節税効果は発生しません。
順調に家賃収入が入り、収支がプラスになっている物件ほど、節税効果は薄いという逆説的な状態になりやすいのです。
さらに、赤字になっている場合でも、その効果は年々小さくなっていきます。
物件購入時にかかる仲介手数料や登記費用などの初期費用は、物件価格の15%程度にのぼることもありますが、これは初年度しか経費に計上できません。
2年目以降は計上できる経費が減り、赤字幅も縮小していきます。
加えて、建物の減価償却には決まった期間があります。
木造なら22年、鉄筋コンクリート造なら47年といった法定耐用年数を過ぎると、それ以上は経費として計上できなくなります。
ローンの元利均等返済では返済が進むほど利息部分(経費になる部分)が減っていくため、経費計上額の減少と元金返済額の増加が逆転する「デッドクロス」が起きると、帳簿上は黒字なのに手元の現金は苦しいという状態に陥ることがあります。
ここまで来ると、節税どころか自己資金からの持ち出しが発生しかねません。
節税効果を正しく見極める3つの手順
ステップ1: 自分の課税所得の水準を確認する
損益通算による節税効果は、税率が高い人ほど大きくなります。
目安として、課税所得が900万円を超え、所得税・住民税の合計税率が33%以上になる層で効果を実感しやすいとされています。
この水準に届いていない場合、手続きの手間に見合うほどの節税効果は見込みにくいという点を、まず押さえておきましょう。
ステップ2: 初年度だけでなく耐用年数全体で収支を見る
初年度の還付額の大きさだけを見て判断するのは危険です。
減価償却できる期間、ローンの返済スケジュール、デッドクロスが起きそうな時期までを含めて、複数年にわたる収支シミュレーションを立てておくことをおすすめします。
金融機関や管理会社に相談すれば、長期の収支表を作ってもらえることもあります。
ステップ3: 売却時の税負担まで含めて考える
保有中に減価償却で経費計上した分だけ、物件の取得費(税務上の帳簿価額)は下がっていきます。
将来売却する際は、この下がった取得費をもとに譲渡所得(売却益)が計算されるため、保有中に節税できた分が売却時の税負担として跳ね返ってくることがあります。
売って初めて「節税どころか合計では損をしていた」と気づくケースもあるため、出口までを見通しておくことが欠かせません。
つまずきやすいポイント・よくある誤解
「赤字なら得」という誤解
帳簿上の赤字は税金を減らしますが、その分だけ実際の家賃収入も少ない、あるいは持ち出しが発生しているということでもあります。
節税額だけを見て「得している」と判断せず、キャッシュフロー全体で得か損かを見る必要があります。
「初年度の還付額がずっと続く」という誤解
初年度に大きな還付を受けると、翌年以降も同じ水準が続くと思い込みがちですが、経費計上できる項目は年々減っていきます。
継続的な節税効果を前提にした資金計画は見直しておいた方が安全です。
「節税と収益性は両立しなくていい」という誤解
そもそも不動産投資で優先すべきは、空室が出にくく安定した家賃収入が見込める物件かどうかです。
節税効果を強調する営業トークに引っ張られて、収益性の低い物件を選んでしまうと、節税分を差し引いても損失が残ることがあります。
判断に迷う場合は、税理士など専門家に早めに相談しておくと安心です。
なお、物件タイプによって節税の効き方が変わる点はマンション投資の節税の仕組みと落とし穴でも整理していますので、あわせて確認してみてください。
どんな人が節税効果を得やすいのかという全体像は、不動産投資の節税で得する人・損する人の違いでも詳しく解説しています。
まとめ
不動産投資の節税は、赤字であること・初期費用があること・減価償却期間内であることという条件がそろって初めて成立する、期間限定の効果です。
目先の還付額だけでなく、耐用年数全体や売却時の税負担まで含めて収支を見極めることが、後悔しないための第一歩になります。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。







