従業員が扶養控除等申告書を提出してくれない場合、給与計算で「甲欄」と「乙欄」のどちらを使えばよいのか迷うことがあります。
結論として、扶養控除等申告書を提出していない従業員については、原則として「乙欄」で源泉徴収します。
本人が「この会社が本業です」と言っている場合でも、扶養控除等申告書が未提出のままでは甲欄を適用できません。
経営者
扶養控除等申告書を提出してくれない従業員がいます。
この場合、給与計算では甲欄と乙欄のどちらを使えばよいですか?
税理士
扶養控除等申告書を提出していない従業員については、原則として乙欄で源泉徴収します。
甲欄を適用できるのは、給与所得者の扶養控除等申告書を提出している従業員です。
そのため、提出がないまま給与を支払う場合は、原則として乙欄で給与計算を行います。
経営者
本人は「この会社が本業です」と言っています。
それでも乙欄ですか?
税理士
はい。本人が本業だと言っているだけでは、甲欄にはできません。
甲欄を適用するには、会社がその従業員から扶養控除等申告書の提出を受けている必要があります。
実務上は、「主たる勤務先かどうか」だけではなく、「扶養控除等申告書が提出されているか」を確認して、甲欄・乙欄を判断します。
経営者
扶養家族がいない独身の従業員でも、扶養控除等申告書は必要ですか?
税理士
必要です。
ここは誤解が多いところです。
扶養控除等申告書という名前なので、扶養家族がいる人だけが提出する書類のように見えます。
しかし、扶養親族がいない独身の従業員であっても、甲欄を適用するためには扶養控除等申告書の提出が必要です。
扶養家族がいないから提出しなくてよい、という扱いにはなりません。
経営者
提出してくれないまま甲欄で計算してしまうと、何が問題になりますか?
税理士
源泉徴収税額が不足する可能性があります。
乙欄は、扶養控除等申告書を提出していない人に対する給与について使う税額欄です。
本来は乙欄で源泉徴収すべきところを甲欄で計算してしまうと、会社が預かるべき源泉所得税が少なくなります。
その場合、後から不足分を納付する必要が生じることがあります。
経営者
では、提出されるまでは乙欄で計算しておけばよいですか?
税理士
はい。給与計算時点で扶養控除等申告書が未提出であれば、原則として乙欄で計算します。
実務上は、次のように管理すると分かりやすいです。
未提出であれば乙欄。
提出済みであれば原則として甲欄。
この管理を徹底しておくと、給与計算の判断ミスを防ぎやすくなります。
経営者
後から扶養控除等申告書を提出してくれた場合は、どうなりますか?
税理士
提出後の給与について、甲欄を適用する整理になります。
すでに乙欄で計算した過去分を、会社の通常の給与計算だけで安易にさかのぼって直すのは避けた方がよいです。
実務上は、提出された時点以後の給与から甲欄で計算し、年末調整の対象になるかどうか、過去分の扱いをどうするかを個別に確認します。
経営者
他社にも勤めている従業員の場合はどう考えますか?
税理士
扶養控除等申告書は、原則として主たる給与の支払者に提出する書類です。
そのため、他社に扶養控除等申告書を提出している従業員については、自社では原則として扶養控除等申告書を提出できません。
この場合、自社で支払う給与は乙欄で源泉徴収することになります。
従業員から「どちらが主たる勤務先なのか」「他社に扶養控除等申告書を提出していないか」を確認しておくことが重要です。
経営者
日雇いのアルバイトでも同じですか?
税理士
日雇給与に該当する場合は、別途「丙欄」の検討が必要です。
今回の話は、通常の月給、時給、日給などの従業員で、日雇給与の丙欄に該当しないケースを前提にしています。
日雇い、短期アルバイト、単発勤務などの場合は、給与の支払形態や雇用期間によって判断が変わることがあります。
経営者
実務上、会社としてはどう対応すればよいですか?
税理士
まず、扶養控除等申告書の提出を依頼してください。
提出がない場合は、提出されるまで乙欄で源泉徴収することを従業員に説明します。
あわせて、扶養家族がいない人でも提出が必要であること、他社に提出している場合は自社では提出できないことも確認します。
給与計算上は、従業員ごとに「提出済み」「未提出」「他社提出済み」を管理しておくと安全です。
町田・相模原で給与計算や源泉徴収に不安がある方へ
扶養控除等申告書は、給与計算の基本書類です。
しかし実務では、提出漏れ、記載漏れ、他社との重複提出、扶養家族がいない従業員の未提出などが起こりやすく、甲欄・乙欄の判断を誤ることがあります。
町田・相模原で、給与計算、年末調整、源泉所得税の処理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、通常の給与所得者を前提とした一般的な取扱いを解説したものです。日雇給与、短期アルバイト、複数勤務先、過去分の修正、年末調整の可否などは、個別の状況により判断が異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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