ふるさと納税は、一般に「節税」と説明されることが多い制度です。
ただし、税務上は、純粋に税金だけが安くなる制度というより、「自治体に先に寄附をして、そのうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税の負担を軽減してもらう制度」と理解した方が正確です。
たとえば、2026年1月1日から12月31日までに、自己負担2,000円で済む上限内で10万円をふるさと納税した場合、原則として約9万8,000円が2026年分の所得税と2027年度の個人住民税から控除されます。
つまり、
10万円寄附
税金が約9万8,000円軽減
現金ベースでは2,000円の持ち出し
その代わり返礼品を受け取れる
というのが基本構造です。
経営者
ふるさと納税って、結局、節税になるんですか?
2026年度は何か変わったのでしょうか?
税理士
一般には「節税」と言われますが、厳密には少し違います。
ふるさと納税は、税金が魔法のように減る制度ではありません。
本来納める所得税・住民税の一部を、希望する自治体への寄附に振り替え、一定の上限内であれば、寄附額から2,000円を差し引いた部分が所得税・住民税から控除される制度です。
そのうえで返礼品を受け取れるため、家計上はメリットが出やすい、という仕組みです。
経営者
10万円寄附したら、10万円分税金が安くなるわけではないんですね。
税理士
はい。そこは誤解しやすいところです。
上限内で10万円を寄附した場合、基本的には10万円から2,000円を差し引いた9万8,000円が、所得税と翌年度の住民税から控除されます。
つまり、返礼品を無視すれば、
10万円の支出
9万8,000円の税負担軽減
差し引き2,000円の自己負担
という関係です。
ですので、「10万円寄附したら9万8,000円儲かる」という制度ではありません。
経営者
では、なぜお得と言われるのでしょうか?
税理士
自己負担2,000円で、自治体から返礼品を受け取れるためです。
たとえば、上限内で10万円を寄附して、結果として税金が約9万8,000円軽減されれば、現金ベースの自己負担は約2,000円です。
そのうえで返礼品を受け取れるため、返礼品の経済的価値まで考えると、家計上のメリットが生じます。
したがって、お客様に説明する場合は、「税金そのものを単純に減らす制度」ではなく、「本来納める税金の一部を希望する自治体への寄附に振り替え、自己負担2,000円で返礼品等のメリットを受けられる制度」と説明するのが正確です。
ふるさと納税で何税が減るのか
ふるさと納税で関係する主な税金は、所得税、復興特別所得税、個人住民税です。
確定申告をする場合は、大きく次の3段階で控除されます。
経営者
ふるさと納税をすると、どの税金が減るのですか?
税理士
確定申告をする場合は、まず所得税の寄附金控除があります。
所得税法78条により、地方公共団体に対する寄附金は、原則として特定寄附金に該当します。
所得税では、寄附額から2,000円を差し引いた金額が、寄附金控除という所得控除になります。
所得税の税額控除ではなく所得控除なので、実際の軽減額は、おおむね、
寄附額から2,000円を差し引いた金額
掛ける
その人の所得税率
というイメージです。
復興特別所得税も所得税に連動します。
経営者
住民税も減るのですか?
税理士
はい。住民税では、基本分と特例分があります。
まず、住民税の基本分として、原則として、
寄附額から2,000円を差し引いた金額
掛ける
10%
が翌年度の住民税から控除されます。
さらに、ふるさと納税特有の特例分があります。
この特例分があるため、一定の上限内であれば、所得税、住民税基本分、住民税特例分を合わせて、寄附額から2,000円を差し引いた金額に近い控除を受けられる設計になっています。
経営者
たとえば10万円寄附したら、どのようなイメージになりますか?
税理士
上限内で10万円を寄附した場合、控除対象となる基本額は、10万円から2,000円を差し引いた9万8,000円です。
所得税率5%の方を例にすると、概算では、
所得税・復興特別所得税で約5,003円
住民税基本分で9,800円
住民税特例分で約83,197円
合計で約98,000円
というイメージです。
結果として、現金ベースの自己負担は約2,000円になります。
ただし、実際の金額は所得、所得控除、住宅ローン控除、医療費控除などによって変わります。
ワンストップ特例を使った場合
経営者
ワンストップ特例を使うと、所得税からは控除されないのですか?
税理士
ワンストップ特例を使った場合は、確定申告をした場合と見え方が変わります。
確定申告をする場合は、所得税と住民税に分かれて控除されます。
一方、ワンストップ特例では、所得税から直接還付されるのではなく、所得税相当額も含めて、翌年度の住民税からまとめて控除されます。
つまり、
確定申告の場合は所得税と住民税に反映
ワンストップ特例の場合は原則として住民税にまとめて反映
という違いです。
経営者
ワンストップ特例は誰でも使えますか?
税理士
誰でも使えるわけではありません。
確定申告をしない一定の給与所得者等で、寄附先の自治体が年間5団体以内である場合に利用できます。
また、ワンストップ特例を申請した後に、医療費控除や副業所得などの関係で確定申告をする場合は注意が必要です。
確定申告をするとワンストップ特例は適用されないため、ふるさと納税分も確定申告書にすべて入れ直す必要があります。
自己負担2,000円で済む限度額
ふるさと納税には、「これ以上寄附してはいけない」という意味の上限があるわけではありません。
問題は、どこまでなら自己負担2,000円程度で済むかです。
経営者
ふるさと納税の限度額は、年収だけで決まりますか?
税理士
年収だけでは決まりません。
ふるさと納税の自己負担2,000円で済む上限は、主に住民税所得割額によって決まります。
ただし、その住民税所得割額は、所得、扶養親族、社会保険料、生命保険料控除、地震保険料控除、iDeCo、医療費控除、住宅ローン控除、株式や不動産所得などによって変わります。
そのため、ふるさと納税サイトの「年収だけ」で出るシミュレーションは、あくまで目安です。
経営者
上限を超えて寄附すると、どうなりますか?
税理士
上限を超えて寄附しても、その寄附が全部無効になるわけではありません。
ただし、ふるさと納税の特例控除を十分に受けられなくなるため、自己負担が2,000円を超えます。
たとえば、本来の自己負担2,000円で済む上限が10万円なのに、15万円寄附した場合、15万円全額について自己負担2,000円で済むわけではありません。
超えた部分については、通常の寄附金控除に近い扱いとなり、結果として持ち出しが増えます。
返礼品の30%基準と課税関係
ふるさと納税で非常に誤解されやすいのが、返礼品の30%基準です。
経営者
返礼率30%までなら、返礼品は非課税なのですか?
税理士
いいえ。そこは明確に違います。
30%というのは、寄附者側の非課税限度額ではありません。
自治体が返礼品を用意する場合に、返礼品等の調達費を寄附額の30%以下にするという、自治体側の指定基準です。
たとえば10万円の寄附であれば、自治体の調達費ベースで3万円以下という意味です。
これは、寄附者が受け取った返礼品について「30%までなら非課税」という意味ではありません。
経営者
では、返礼品には税金がかかるのですか?
税理士
税務上、ふるさと納税の返礼品は原則として一時所得に該当します。
ただし、一時所得には年間最高50万円の特別控除があります。
そのため、他に生命保険の満期金、懸賞金、競馬の払戻金などの一時所得がなく、返礼品の経済的利益もそれほど大きくなければ、結果として課税が生じないケースが多いです。
正確には、「返礼率何%まで非課税」ではなく、「返礼品を含む一時所得全体に年間最高50万円の特別控除がある」ということです。
経営者
年間166万円くらいまで寄附しても返礼品は非課税、という話を聞いたことがあります。
税理士
それは目安として語られることがありますが、断定は危険です。
仮に返礼品の経済的利益をすべて寄附額の30%と仮定すると、
50万円
割る
30%
イコール
約166万6,667円
という計算になります。
しかし、実際には、
返礼品が必ず30%とは限らない
税務上評価する経済的利益が単純な寄附額30%と一致するとは限らない
他の一時所得も50万円枠を共有する
返礼品を受け取った年で判定する
という問題があります。
そのため、「寄附額166万円までなら必ず非課税」と説明してはいけません。
経営者
年末に寄附して、返礼品が翌年に届いた場合はどうなりますか?
税理士
返礼品の一時所得は、原則として返礼品を実際に受け取った年で判定します。
たとえば、2026年12月にふるさと納税をして、返礼品が2027年2月に届いた場合、返礼品については原則として2027年分の一時所得として考えます。
寄附金控除の年と、返礼品の一時所得の年がずれることがある点に注意してください。
2026年のふるさと納税は何が変わるのか
経営者
2026年度のふるさと納税は、何か変わるのですか?
税理士
まず、「2026年度」という表現には注意が必要です。
所得税は年度ではなく、2026年1月1日から12月31日までの暦年で判定します。
2026年中のふるさと納税は、基本的に2026年分の所得税と、2027年度の個人住民税に反映されます。
制度変更としては、2025年10月1日以後、ふるさと納税ポータルサイトが寄附に直接連動して独自ポイントを付与する募集方式が規制されています。
また、2026年10月1日からは、自治体側の指定基準について見直しが予定されています。
ただし、これらは主として自治体側の募集方法や指定基準に関する変更です。
一般の寄附者について、上限内であれば実質自己負担2,000円程度になるという基本的な控除構造が、2026年10月からなくなるという話ではありません。
経営者
では、2026年も普通にふるさと納税をしてよいのでしょうか?
税理士
はい。ただし、次の点を確認してください。
まず、寄附先自治体が総務大臣の指定を受けていること。
次に、2026年の所得や控除を見込んで、自己負担2,000円で済む上限額を確認すること。
さらに、高額寄附をする場合や、生命保険満期金など他の一時所得がある場合は、返礼品の一時所得も確認することです。
特に2026年10月以後の自治体側の基準については、具体的な返礼品や自治体の取扱いを判断する場合、総務省の最新情報を確認する必要があります。
町田・相模原でふるさと納税や個人の税金に不安がある方へ
ふるさと納税は、単に「年収いくらなら何円まで」と決められる制度ではありません。
給与、事業所得、扶養、社会保険料、iDeCo、医療費控除、住宅ローン控除、株式や不動産の所得、退職所得、他の一時所得などによって、実際に自己負担2,000円で済む寄附上限額は変わります。
また、返礼品の一時所得についても、高額寄附者や保険満期金などがある方は注意が必要です。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際のふるさと納税上限額は、2026年の所得、扶養、所得控除、税額控除、住宅ローン控除、医療費控除、他の一時所得などにより異なります。高額寄附や返礼品の一時所得が問題になる場合は、個別に確認してください。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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