2026年10月1日から、カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラへの対策が、事業主の義務になります。
これは、改正後の労働施策総合推進法に基づくもので、厚生労働省や労働局の資料でも、施行日が令和8年10月1日と示されています。
注意すべきなのは、大企業だけの話ではないという点です。
労働者を1人でも雇っていれば、小さい会社や個人経営の店舗も対象になります。たとえば、店主とアルバイト1人で営業している飲食店、美容室、小売店なども、原則として対応が必要です。
一方、店主本人だけで営業しており、雇用している労働者がまったくいない一人店については、労働者の就業環境を守るための雇用管理上の措置義務の直接の対象には、通常はならないと考えられます。
ただし、他社の従業員や取引先の担当者に対して、自社側がカスハラに当たる行為をしないよう注意する責務などは別に問題になります。
この記事では、2026年10月から義務化されるカスハラ対策について、小規模事業者や個人経営のお店が何を確認すべきかを整理します。
なお、本記事は2026年8月27日時点で公表されている厚生労働省・労働局資料を前提とした一般的な解説です。具体的な就業規則、社内規程、対応マニュアルの作成・適法性確認については、社会保険労務士または弁護士への確認をおすすめします。
店舗経営者
2026年10月からカスハラ対策が義務化されると聞きました。
小さい会社や個人経営のお店でも対応が必要なのでしょうか?
税理士
はい。労働者を1人でも雇っていれば、小さい会社や個人経営のお店でも対応が必要です。
今回のカスハラ対策義務は、会社の規模による猶予や除外が基本的にありません。
たとえば、店主とアルバイト1人で営業している飲食店、美容室、小売店なども対象になります。
店舗経営者
正社員がいなくても対象ですか?
パートやアルバイトだけの場合はどうなりますか?
税理士
パートやアルバイトを雇っている場合も対象になります。
ここで問題になるのは、正社員かどうかではなく、労働者を雇用しているかどうかです。
パート、アルバイト、契約社員なども、雇用されて働いているのであれば労働者に含まれます。
そのため、正社員ゼロの小規模店舗でも、アルバイトを1人雇っていれば、カスハラ対策の対象になると考えてください。
店舗経営者
店主1人だけで営業しているお店も対象になりますか?
税理士
店主本人だけで営業していて、雇用している労働者がまったくいない場合は、今回の雇用管理上の措置義務の直接の対象には、通常はならないと考えられます。
今回の義務は、顧客等の言動によって、労働者の就業環境が害されないようにするためのものだからです。
ただし、従業員を雇っていないから何もしなくてよい、という意味ではありません。
取引先や他社の従業員に対して、自分がカスハラに当たるような言動をしないこと、トラブルが起きた場合の対応方針を持っておくことは、事業者として重要です。
店舗経営者
そもそも、どこからがカスハラになるのでしょうか?
普通のクレームもカスハラ扱いしてよいのですか?
税理士
普通の苦情や正当な申入れまで、すべてカスハラになるわけではありません。
厚生労働省の指針では、カスハラは大きくいうと、顧客や取引先などの言動で、業務の性質や内容から見て社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するものと整理されています。
たとえば、暴言、脅迫、長時間の拘束、土下座の強要、人格を否定する発言、正当な理由のない過度な要求などは、カスハラに該当し得ます。
一方で、商品の不具合に対する通常の苦情や、サービス改善のための合理的な申入れまで、一律にカスハラとして拒否する運用は危険です。
「クレーム=カスハラ」と考えるのではなく、正当な苦情と、社会通念上許容される範囲を超えた言動を切り分ける必要があります。
店舗経営者
小さいお店でも、就業規則や大きなマニュアルを作らなければいけませんか?
税理士
小規模店舗だからといって、大企業並みの分厚いマニュアルを作らなければならない、という話ではありません。
ただし、最低限の対応方針と、従業員が相談・報告できる体制は必要です。
たとえば、従業員数名の店舗であれば、次のようなルールを決めて、従業員へ周知することが考えられます。
カスハラが疑われる言動を受けたら、店長や事業主へすぐ報告する。
従業員1人だけで長時間対応させない。
暴言、脅迫、長時間拘束が続く場合は、責任者が対応を引き継ぐ。
悪質な場合は対応を打ち切る。
暴力や脅迫がある場合は警察へ連絡する。
このように、小規模事業者でも、実態に応じた現実的な対応ルールを作ることが重要です。
店舗経営者
具体的には、何を準備すればよいですか?
税理士
まず、次の5つを確認してください。
1つ目は、カスハラに毅然と対応し、従業員を守るという方針を明確にすることです。
2つ目は、従業員が相談・報告できる担当者や窓口を決めることです。小規模店舗であれば、店長や事業主本人を相談担当者にすることも考えられます。
3つ目は、実際にカスハラが発生した場合の事実確認、被害を受けた従業員の保護、再発防止の流れを決めることです。
4つ目は、悪質なカスハラを抑止するため、対応の打切り、出入り禁止、警察への通報などの方針を整理しておくことです。
5つ目は、相談した従業員のプライバシーを守り、相談したことを理由に不利益な取扱いをしないことです。
店舗経営者
「カスハラお断り」のポスターを貼らないといけませんか?
税理士
ポスターを貼ること自体が、法律上そのまま義務とされているわけではありません。
ただし、従業員を守る方針を顧客に示すことは、被害防止のために有効です。
たとえば、店頭やレジ横、予約ページなどに、暴言、脅迫、長時間拘束、過度な要求がある場合には対応を中止することがある、という方針を掲示することは考えられます。
もっとも、書き方には注意が必要です。
正当な苦情や相談まで拒否しているように見える表現は避け、従業員を守りながら、通常の問い合わせや苦情には適切に対応する姿勢を示すことが大切です。
店舗経営者
お客様に強く出ると、口コミが悪くなりそうで不安です。
税理士
その不安は現実的です。
ただ、従業員を守る体制がないまま、悪質な言動に従業員をさらし続けると、退職、メンタル不調、人手不足、採用難につながります。
小規模店舗では、従業員1人が辞めるだけでも大きなダメージです。
カスハラ対策は、単なる法令対応ではなく、従業員の定着、店舗運営の安定、サービス品質の維持にも関係します。
特に飲食店、美容室、小売店、介護、医療、士業、問い合わせ対応が多い事業では、事前に対応ルールを決めておく意味があります。
店舗経営者
障害のあるお客様への対応や、合理的配慮との関係はどう考えればよいですか?
税理士
ここは慎重に考える必要があります。
カスハラ対策は、正当な申入れや合理的配慮を拒むための道具ではありません。
厚生労働省の指針でも、正当な苦情との切り分けや、障害者差別解消法上の合理的配慮、業法上のサービス提供義務などへの配慮が求められています。
そのため、単に「大きな声を出したからカスハラ」「何度も説明を求めたからカスハラ」と決めつけるのではなく、要求内容、言動の態様、時間、頻度、従業員への影響などを総合的に見ます。
個別の法的判断が必要な場合は、弁護士や社会保険労務士に確認した方が安全です。
店舗経営者
税理士事務所に相談してよい内容なのでしょうか?
税理士
カスハラ対策そのものは、税務ではなく労務・雇用法令の話です。
そのため、就業規則、社内規程、具体的な対応マニュアル、個別トラブルの法的判断まで税理士が行うものではありません。
ただし、小規模事業者にとって、労務コンプライアンス、人手不足、採用、従業員定着、店舗運営は、経営全体に関わる問題です。
税理士としても、制度の概要や、事業者が早めに確認すべき論点をお伝えすることは重要だと考えています。
具体的な規程整備や法的判断が必要な場合は、社会保険労務士や弁護士と連携して進めるのが安全です。
町田・相模原で従業員を雇っている小規模事業者の方へ
2026年10月からのカスハラ対策義務化は、大企業だけの話ではありません。
町田・相模原で、飲食店、美容室、小売店、建設業、士業、サービス業などを営み、パートやアルバイトを1人でも雇っている場合は、早めに対応を考える必要があります。
小規模事業者にとって、従業員を守る体制は、単なる法令対応ではなく、人手不足対策、離職防止、店舗運営の安定にもつながります。
タクスリンク税理士事務所では、町田・相模原の小規模事業者・個人事業主・法人向けに、税務顧問、経理体制、資金繰り、法人化後の管理体制などを支援しています。
カスハラ対策の具体的な規程整備は社会保険労務士・弁護士の専門領域になりますが、経営全体のリスク整理や、専門家へ相談すべきタイミングの確認は重要です。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、2026年8月27日時点で公表されている情報を前提とした一般的な解説です。カスハラ対策は税務ではなく労務・雇用法令の分野です。具体的な就業規則、規程、対応マニュアル、個別事案の法的判断については、社会保険労務士または弁護士にご確認ください。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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