個人事業を子に承継すると贈与税・相続税はいくら?個人版事業承継税制を税理士が解説

個人事業を子供に引き継いだら税金はいくらかかる?

個人事業を子どもに引き継ぐ場合、法人のように「会社の株式」を渡すわけではありません。

店舗の土地・建物、機械、車両、器具備品など、親が所有している事業用資産そのものを子どもへ贈与・相続することになります。

これらを無償で引き継げば、原則として贈与税または相続税の対象です。

一方、一定の要件を満たす場合には「個人版事業承継税制」を利用し、対象となる事業用資産に対応する贈与税・相続税について、100%の納税猶予を受けられる可能性があります。

ただし、最初から完全に非課税になる制度ではありません。

あくまで納税を猶予し、後継者の死亡など一定の免除事由が生じた場合に、猶予されている税額の全部または一部が免除される仕組みです。

5,000万円の事業用資産を子どもへ贈与すると贈与税はいくら?

項目 金額
贈与する事業用資産 5,000万円
基礎控除 110万円
基礎控除後の課税価格 4,890万円
税率 55%
控除額 640万円
贈与税 2,049万5,000円

個人版事業承継税制なら贈与税を100%払わなくてよい?

どんな資産が個人版事業承継税制の対象になる?

対象資産 主な範囲
宅地等 合計400㎡以下
建物 床面積合計800㎡以下
減価償却資産 機械、器具備品、一定の営業用車両、一定の無形固定資産等

現金や売掛金も100%納税猶予の対象?

贈与する場合は対象となる事業用資産を全部渡す必要がある?

青色申告をしていない個人事業主でも使える?

不動産賃貸業を子どもへ引き継ぐ場合も使える?

子どもなら誰でも使える?

相続なら自社の事業用資産に相続税はいくらかかる?

単純化した例 金額
相続財産 事業用資産5,000万円のみ
法定相続人 子1人
基礎控除 3,600万円
課税遺産総額 1,400万円
相続税 160万円

相続の場合も100%納税猶予できる?

小規模宅地等の特例とどちらを使う?

個人版事業承継税制 小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)
対象 土地・建物・一定の減価償却資産 宅地等
土地の面積 400㎡まで 400㎡まで
効果 対応する相続税を100%納税猶予 土地の課税価格を80%減額
事前計画 必要 不要
事業継続 原則終身 原則として相続税申告期限まで等

2026年から検討しても間に合う?

手続 2026年9月現在の期限
個人事業承継計画の提出 2028年9月30日
対象となる贈与・相続等 2028年12月31日

納税猶予を受けた後は何もしなくてよい?

途中で廃業したらどうなる?

贈与した後に親が亡くなったらどうなる?

相続時精算課税を使った方がよい場合もある?

個人事業を子どもへ引き継ぐなら何から始める?

順番 確認すること
1 事業用資産を一覧化する
2 土地・建物・機械等の税務上の評価額を計算する
3 通常贈与した場合の贈与税を計算する
4 相続した場合の相続税を試算する
5 個人版事業承継税制の対象資産・猶予税額を確認する
6 小規模宅地等の特例・相続時精算課税等と比較する
7 承継時期と個人事業承継計画のスケジュールを決める

町田・相模原で個人事業の承継を検討している方へ

個人事業を子どもへ引き継ぐ場合には、事業そのものではなく、土地・建物・機械・車両などの事業用資産をどのように引き継ぐかを考える必要があります。

個人版事業承継税制を利用できれば、一定の事業用資産に対応する贈与税・相続税について100%の納税猶予を受けられる可能性があります。

一方で、小規模宅地等の特例や相続時精算課税など、別の制度を利用した方がシンプルかつ有利になる場合もあります。

2026年9月現在、個人事業承継計画の提出期限は2028年9月30日、対象となる贈与・相続等の期限は2028年12月31日です。

タクスリンク税理士事務所では、町田・相模原を中心に東京都・神奈川県の個人事業主について、事業承継、贈与税、相続税、事業用資産の評価に関する税務相談に対応しています。

個人事業をお子様へ引き継ぐ予定がある場合は、まず直近の確定申告書・青色申告決算書と土地・建物・固定資産の資料から、通常課税の場合にいくら税金が発生するのかを確認することをおすすめします。

※本記事は、2026年9月現在の法令・国税庁・中小企業庁公表資料に基づき、個人事業を子ども等の後継者へ承継する場合の一般的な贈与税・相続税及び個人版事業承継税制について解説したものです。実際の税額・制度適用可否は、事業内容、青色申告の状況、承継資産の種類・評価額・面積、後継者の年齢・事業従事歴、贈与・相続の時期、他の相続財産・債務、法定相続人、個人事業承継計画、小規模宅地等の特例その他の税制の適用状況等によって大きく異なります。個人版事業承継税制は長期間の継続管理を伴うため、実際の承継前に通常課税や他制度との比較を行うことをおすすめします。

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末廣 大地
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。