iDeCoを月1万円で始めても節税効果はある?年収別の目安と長期シミュレーション

「iDeCoを始めたいけれど、月1万円くらいだと節税効果が薄くて意味がないのでは」と迷っていませんか。
SNSや比較記事では「月1万円は意味ない」という言葉も見かけるので、少額から始めようとしている人ほど不安になりやすいところです。

実際には、月1万円でも所得控除(課税対象になる所得そのものを減らす仕組み)という形でちゃんと節税効果が出ます。
ただ、効果の大きさは年収や税率によって差があり、仕組みを知らないまま始めると「思ったより少ない」と感じてしまうのも事実です。
この記事では、月1万円という金額に絞って、節税額の目安・長期的な資産形成への影響・注意しておきたい落とし穴を順番に整理します。

「月1万円は意味ない」と言われる理由

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、全額が所得控除の対象になります。
つまり掛けた分だけ、所得税・住民税の計算のもとになる所得が減るということです。
この仕組み自体は、拠出額が1万円でも3万円でも変わりません。

では、なぜ「月1万円は意味ない」と言われるのでしょうか。
理由は主に2つあります。

1点目は、節税額が掛金に比例するため、少額だと節税できる金額自体も小さくなることです。
年収300万円台の人であれば、年間の節税額は1万円台後半にとどまることもあり、月3万円を拠出する人と比べると差が目立ちます。

2点目は、毎月かかる固定の口座管理手数料です。
iDeCoには国民年金基金連合会への手数料などがあり、最低でも月171円程度(年間2,000円を超える水準)が拠出額から差し引かれます。
拠出額が月1万円と少ないほど、この固定費が占める割合は相対的に大きくなり、「せっかくの節税効果が手数料で削られている」と感じやすくなるわけです。

ただしこれは「効果がゼロ」という意味ではありません。
ゼロで積み立てない場合と比べれば、月1万円でも長期では無視できない差になります。
順を追って見ていきましょう。

iDeCoの節税効果はどうやって決まるのか

節税額の計算の仕組み

iDeCoの節税額は、次の式でおおよそ計算できます。

年間の掛金 ×(所得税率+住民税率)= 年間の節税額のおおよその目安

住民税率は多くの人で一律10%なので、差が出るのは所得税率の部分です。
所得税率は所得が高くなるほど段階的に上がる仕組み(累進課税)のため、同じ月1万円でも年収によって節税額は変わってきます。

年収別の節税額の目安

月1万円(年間12万円)を拠出した場合の、年間の節税額の目安は次のようになります。

年収のめやす 所得税率 年間の節税額のめやす
300万円前後 5% 約1.8万円
500万円前後 10%〜20% 約2.4万〜3.6万円
700万円前後 20% 約4.8万円

年収700万円の人は年収300万円の人の2倍以上、節税額が大きくなる計算です。
これは掛金が同じでも、税率が高い人ほど1円あたりの節税効果が大きくなるためです。

ただし、この表はあくまで目安です。
扶養家族の有無や住宅ローン控除など他の控除との組み合わせによって、実際の節税額は変わります。
自分の正確な節税額を知りたい場合は、源泉徴収票や住民税決定通知書に記載されている課税所得を確認したうえで、各金融機関が公開しているシミュレーターを使うのが確実です。

月1万円を続けるとどうなるか(長期シミュレーション)

節税効果に加えて、iDeCoでは拠出したお金を運用するため、運用益も期待できます。
ここでは年利3%で運用できた場合の目安(過去の実績に基づく一例であり、将来の運用成果を保証するものではありません)を見てみます。

積立期間 積立元本 運用益のめやす(年利3%) 合計のめやす
10年 120万円 約20万円 約140万円
20年 240万円 約88万円 約328万円
30年 360万円 約223万円 約583万円
40年 480万円 約446万円 約926万円

積立期間が長くなるほど、運用益が元本に対して占める割合が大きくなっているのが分かります。
これは運用で得た利益がさらに運用に回る「複利」の効果です。
積立期間が40年になると、運用益だけで元本に近い金額まで積み上がる計算になります。

ここに、前の章で見た節税額が毎年積み重なっていきます。
たとえば年収500万円前後で30年間続けた場合、節税額だけでも70万円前後になる計算で、運用益と合わせると資産形成への効果は決して小さくありません。

つまずきやすいポイント

手数料が利益を圧迫しやすい

月1万円という少額の場合、手数料の影響は特に意識しておきたいところです。
運営管理機関によっては口座管理手数料が無料のところと、毎月数百円かかるところがあり、30年という長期で見ると数万円〜十数万円の差になることもあります。
ネット証券を含め、口座管理手数料が無料の金融機関を選ぶだけで、この影響をかなり抑えられます。

60歳まで原則引き出せない

iDeCoは老後資金づくりを目的とした制度のため、原則60歳になるまで引き出すことができません。
急な出費に備えるお金とは別に、「使わない前提のお金」として拠出額を決めることが大切です。
月1万円という金額は、無理のない範囲で長く続けやすい設定ともいえます。

「節税にならない」と感じる人の共通点

iDeCoに加入しても「思ったほど節税になっていない」と感じる人もいます。
多くの場合、そもそも所得税をほとんど納めていない(所得が少なく課税所得がゼロに近い)方や、他の控除を使い切っていて所得控除の効果を実感しにくい方に起こりやすいパターンです。
どのような原因が考えられるか、対処法とあわせてiDeCoが「節税にならない」と感じたら?よくある原因と今からできる対処法で詳しく整理しています。

iDeCoそのものの仕組みや落とし穴をもう少し広く知りたい場合は、iDeCoの節税、結局いくら得なの?仕組みと落とし穴をやさしく解説も参考になります。

なお、会社に企業型の確定拠出年金がある方は、iDeCoと企業型でルールや節税の考え方が異なります。
両方の違いが気になる方は確定拠出年金の節税、結局いくらお得?仕組みとiDeCo・企業型の違いもあわせてご覧ください。

まとめ

月1万円のiDeCoでも、所得控除による節税効果はしっかり発生します。
金額の小さい手数料や60歳までの制限に気をつけながら、無理なく続けられる金額として選ぶのであれば、長期的には決して「意味のない」選択ではありません。

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