前期に計上した売上について、決算後に返品や返金が発生することがあります。
この場合、「前期の売上を直すのか」「今期の経費にするのか」で迷うことがあります。
結論としては、決算日後に新たに返品・返金が確定したのであれば、原則として前期の売上を遡って直すのではなく、今期で処理します。
ただし、「今期の経費」というより、会計上は通常、今期の売上返品、売上値引きなどとして売上を減額する処理が自然です。
一方で、前期末までにすでに返品や返金が確定していたのに処理していなかった場合や、そもそも前期の売上計上自体が誤っていた場合は、前期の修正を検討する必要があります。
経営者
決算後に、前期に売上計上した商品の返品がありました。
この場合、前期の売上を直すのでしょうか?
それとも今期の経費にするのでしょうか?
税理士
原則として、決算日後に新たに返品・返金が確定したのであれば、前期の売上を遡って直すのではなく、今期で処理します。
ただし、「今期の経費にする」というより、通常は今期の売上返品、売上値引き、売上戻りなどとして、売上を減額する処理になります。
法人税上も、売上を計上した事業年度が終わった後に生じた事情によって販売対価が変動した場合には、その変動が確定した事業年度で処理するルールがあります。
経営者
前期の売上に関係する返品なのに、前期を直さなくてよいのですか?
税理士
前期末時点では返品や返金が確定しておらず、今期になって初めて返品・返金が決まったのであれば、後から発生した事情として今期で処理します。
税務では、前期の決算日に存在していた事実なのか、決算日後に新たに発生・確定した事実なのかを分けて考えます。
決算日後に顧客から返品の申し出があり、今期になって返品や返金が確定したのであれば、原則として今期の処理です。
経営者
では、どのような場合に前期を直すことになりますか?
税理士
前期末までに、すでに返品や返金が確定していた場合です。
たとえば、前期中に顧客との間で「返品する」「全額返金する」という合意が成立していたのに、前期決算で処理していなかった場合は、前期の決算に反映すべき事項だった可能性があります。
また、そもそも前期の売上計上自体が誤っていた場合も、翌期の返品処理ではなく、前期の売上計上誤りとして検討します。
経営者
「返品」と「売上計上ミス」は違うのですか?
税理士
違います。
前期には正しく売上が成立していて、今期になって返品や返金が決まったのであれば、原則として今期の売上返品などで処理します。
一方、前期の時点でまだ商品を引き渡していなかった、役務提供が完了していなかった、契約上まだ売上にすべきでなかったという場合は、そもそも前期の売上計上が誤っていた可能性があります。
この場合は、単なる翌期の返品ではなく、前期の売上計上誤りとして修正申告や更正の請求などを検討することになります。
経営者
会計処理としては、どう仕訳すればよいですか?
税理士
採用している会計処理や税込・税抜経理によって仕訳は変わりますが、考え方としては、今期の売上返品または売上値引きとして売上を減額します。
たとえば、今期に返品が確定し、売掛金を減額する場合は、売上返品などを借方に計上し、売掛金を貸方で減額する形になります。
すでに代金を受け取っていて、今期に返金した場合は、売上返品などを借方に計上し、普通預金などを貸方で処理するイメージです。
重要なのは、「前期の売上を何となく消す」のではなく、返品・返金がいつ確定したのかに基づいて処理時期を判断することです。
経営者
消費税はどうなりますか?
前期の消費税を直すのでしょうか?
税理士
原則として、消費税も実際に返品・返金をした課税期間で調整します。
課税売上について返品、値引き、割戻しなどをした場合には、その返品等をした日の属する課税期間に、売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を控除する仕組みです。
したがって、前期に売上を計上し、今期に返品・返金をした場合は、通常は今期の消費税計算で調整します。
ただし、前期と今期で課税事業者・免税事業者の区分が変わっている場合などは、通常どおりに調整できないケースがあるため注意が必要です。
経営者
インボイス制度では、返金したときに何か必要ですか?
税理士
適格請求書発行事業者が、売上について返品や値引きなどを行った場合には、原則として返還インボイスの交付が問題になります。
ただし、税込1万円未満の売上げに係る対価の返還等については、返還インボイスの交付義務が免除されています。
そのため、返金額、取引先、インボイス登録の有無、返還インボイスの交付要否を確認する必要があります。
経営者
返品された商品が戻ってきた場合、在庫も処理が必要ですか?
税理士
商品が実際に返品され、再販売できる状態で戻ってきた場合は、在庫の処理も確認が必要です。
売上だけを減額して、戻ってきた商品の在庫を全く反映しないと、棚卸資産の金額が実態とずれる可能性があります。
返品された商品が再販売できるのか、廃棄するのか、評価損の検討が必要なのかによって処理が変わります。
経営者
実務では、何を確認すればよいですか?
税理士
まず、返品・返金がいつ確定したのかを確認してください。
前期末時点では返品の話がなく、今期になって返品・返金が決まったのであれば、原則として今期処理です。
前期末までに返品や返金が確定していた場合は、前期決算に反映すべきだった可能性があります。
また、そもそも前期の売上計上自体が誤っていなかったかも確認します。
そのうえで、返品・返金額、元の売上計上日、請求書、返金日、返金方法、消費税区分、返還インボイスの要否、返品商品の在庫処理を整理してください。
町田・相模原で決算後の返品・返金処理に迷ったら
決算後の返品・返金は、金額が小さければ単純な処理で済むこともあります。
しかし、金額が大きい場合、前期末までに返金義務が確定していた場合、前期の売上計上自体に誤りがある場合、前期と今期で消費税の課税・免税区分が変わる場合は、慎重な判断が必要です。
特に、売上の計上時期や返品・返金の処理を誤ると、法人税だけでなく消費税にも影響します。
町田・相模原で、決算後の返品・返金処理、売上計上時期、消費税の調整に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、返品・返金が確定した時期、元の売上計上時期、決算・申告の状況、消費税の課税区分、インボイスの発行状況、返品商品の状態などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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