ETC料金について、「クレジットカード明細があるから、それだけでインボイス対応は大丈夫」と考えてしまうことがあります。
しかし、原則として、クレジットカード会社の利用明細だけではインボイスにはなりません。
クレジットカード会社の明細は、高速道路会社等が発行した書類ではなく、通常、適格請求書や適格簡易請求書に必要な記載事項を満たさないためです。
一方で、ETC料金については、国税庁のインボイス制度Q&Aで、実務上の簡便な保存方法が示されています。
経営者
ETC料金のインボイスは、クレジットカード明細だけでよいですか?
税理士
原則として、クレジットカード明細だけではインボイスにはなりません。
ETC料金について仕入税額控除を受ける場合、原則として、ETC利用照会サービスから取得できる「利用証明書」を保存する必要があります。
カード明細は、支払った事実を確認する資料にはなりますが、高速道路会社等が発行したインボイスそのものではありません。
経営者
カード明細には、利用日や金額が載っています。それでも足りないのですか?
税理士
はい。消費税の仕入税額控除では、支払ったことが分かるだけでは足りません。
原則として、一定事項を記載した帳簿と、適格請求書または適格簡易請求書などの保存が必要です。
クレジットカード会社の明細は、カード会社が作成した請求明細であり、高速道路会社等が発行した適格簡易請求書ではありません。
そのため、「カード明細があるからインボイスも保存している」とは扱いにくいです。
経営者
では、ETCを使うたびに利用証明書を毎回ダウンロードしないといけませんか?
税理士
必ずしも、毎回すべての利用証明書をダウンロードしなければならないわけではありません。
ETC料金については、国税庁のインボイス制度Q&Aで、実務上の簡便な保存方法が示されています。
高速道路を頻繁に利用して、全件の利用証明書を保存することが困難な場合には、次の2つを保存する方法で差し支えないとされています。
1つ目は、個々の高速道路利用が分かるクレジットカード利用明細書です。
2つ目は、利用した高速道路会社等ごとに、任意の1取引分の利用証明書です。
この方法であれば、利用証明書を毎月取得する必要はありません。
経営者
高速道路会社ごとに1件でよい、ということですか?
税理士
はい。国税庁Q&Aでは、高速道路会社等ごとに任意の1取引に係る利用証明書を保存する方法が示されています。
たとえば、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本、首都高速道路など、利用している高速道路会社等が複数ある場合には、それぞれについて任意の1取引分の利用証明書を保存するイメージです。
そのうえで、日々の利用については、個々の利用が分かるクレジットカード明細を保存します。
経営者
では、実務上は「カード明細+高速道路会社ごとの利用証明書1件」が安全ということですか?
税理士
はい。実務上は、その運用が分かりやすく安全です。
「クレジットカード明細だけで大丈夫」と一律に判断するより、まずは利用している高速道路会社等ごとに1件ずつ利用証明書を取得して保存しておく方が説明しやすいです。
特に、税務調査で確認された場合には、カード明細だけでなく、利用証明書との対応関係を説明できる状態にしておくことが重要です。
経営者
でも、クレジットカード明細だけでもよい場合があると聞いたことがあります。
税理士
一定の条件を満たす場合には、結果としてクレジットカード利用明細書の保存だけでも仕入税額控除が可能とされています。
国税庁Q&Aでは、ETC利用照会サービスで利用証明書を確認・ダウンロードできる15か月間に、同じ高速道路会社等を繰り返し利用しており、いつでも利用証明書を確認できる状態が継続している場合には、利用証明書を実際にダウンロードしなくても、クレジットカード利用明細書の保存で差し支えないとされています。
ただし、利用間隔が15か月を超える場合には、過去の利用証明書を確認・ダウンロードできなくなるため、利用証明書の取得・保存が必要になります。
経営者
つまり、毎月利用している高速道路なら、カード明細だけでも認められる可能性があるということですか?
税理士
条件を満たす場合には、その可能性があります。
ただし、事務所の実務としては、「カード明細だけでOK」と雑に処理するのは避けた方が安全です。
ETC利用照会サービスで本当に利用証明書を確認できる状態が継続しているか、同じ高速道路会社等を15か月以内の間隔で継続利用しているか、カード明細から個々の利用内容が分かるかを確認する必要があります。
不安がある場合は、高速道路会社等ごとに一度、利用証明書を取得して保存しておく方法をおすすめします。
経営者
ETC利用照会サービスからPDFで利用証明書を保存した場合は、紙に印刷すればよいですか?
税理士
PDFなどの電子データで取得した場合は、電子帳簿保存法上の電子取引データとしての保存にも注意が必要です。
単に紙に印刷してファイルするだけではなく、元の電子データを保存し、検索や保存場所などのルールを整えておく必要があります。
ETC利用証明書やカード明細をPDFで取得している場合は、電子データとして保存しておく運用にしてください。
経営者
うちは簡易課税です。それでも利用証明書は必要ですか?
税理士
簡易課税で消費税を計算している場合は、原則として実際の課税仕入れに係るインボイスをもとに仕入税額控除を積み上げるわけではありません。
そのため、一般課税の場合とは重要性が異なります。
ただし、会計処理上、ETC料金が事業経費であることを説明するためには、カード明細や利用明細などの資料を保存しておくべきです。
また、将来、一般課税に戻る可能性がある場合や、法人の内部管理を整える意味でも、ETC利用照会サービスを使った保存体制を整えておく方が安全です。
経営者
結局、実務ではどう運用すればよいですか?
税理士
実務上は、次の運用が分かりやすいです。
まず、ETC利用照会サービスに登録します。
次に、利用している高速道路会社等ごとに、任意の1取引分の利用証明書を取得して保存します。
そのうえで、日々の利用については、個々の高速道路利用が分かるクレジットカード明細を保存します。
PDFで取得した利用証明書やカード明細は、電子データのまま保存します。
この方法であれば、「カード明細だけで本当に大丈夫か」という不安を減らしながら、過度に毎月すべての利用証明書を集める手間も避けられます。
町田・相模原でインボイス対応や経理整理に不安がある方へ
ETC料金のように、日常的には小さな支出でも、インボイス制度では保存資料の判断に迷いやすい取引があります。
クレジットカード明細、ETC利用証明書、電子データ保存、一般課税・簡易課税の違いなどを曖昧にしたまま処理すると、税務調査時に説明が難しくなることがあります。
町田・相模原で、インボイス対応、経理整理、クレジットカード明細やETC料金の処理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、ETCカードの種類、利用している高速道路会社等、ETC利用照会サービスへの登録状況、消費税の申告方式、電子データの保存状況などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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