会社を設立した後、最初に迷いやすいのが役員報酬の金額です。
特に、会社設立1期目は、売上の見通しがまだ固まっていないことも多く、「少し様子を見てから決めたい」と考える方も少なくありません。
しかし、法人税上、役員報酬を会社の経費として損金算入するためには、原則として定期同額給与の要件を満たす必要があります。
そのため、実務上は、設立日から3か月以内を目安に役員報酬の月額を決定し、その後は毎月同額で支給する運用が安全です。
経営者
会社設立1期目の役員報酬は、いつまでに決めればよいですか?
税理士
原則として、設立日から3か月以内を目安に役員報酬の月額を決定しておく運用が安全です。
そのうえで、決定した金額を毎月同額で支給することで、法人税上の定期同額給与として整理します。
経営者
なぜ3か月以内なのですか?
税理士
法人税法上、役員給与は何でも自由に損金算入できるわけではありません。
通常の月額役員報酬については、法人税法34条1項1号の定期同額給与に該当する形にする必要があります。
そして、法人税法施行令69条では、定期給与の通常改定について、原則として会計期間開始の日から3月を経過する日までに行うものとされています。
新設法人の場合も、この考え方を踏まえて、設立日から3か月以内を目安に役員報酬を決める運用が一般的です。
経営者
会社設立1期目の最初の役員報酬決定について、法律に直接「3か月以内」と書いてあるのですか?
税理士
ここは正確に分けて考える必要があります。
条文上の3か月以内という規定は、厳密には定期給与の通常改定に関する規定です。
つまり、新設法人の最初の役員報酬決定そのものについて、条文で直接「設立から3か月以内に決議しなければならない」と書かれているわけではありません。
ただし、法人税上の定期同額給与として安全に処理するためには、実務上、設立日から3か月以内に月額を決定し、その後は毎月同額で支給する形にしておくのが安全です。
経営者
たとえば4月10日に会社を設立した場合は、いつまでに決めればよいですか?
税理士
4月10日設立であれば、7月10日までを一つの目安として役員報酬を決議します。
そのうえで、決議した月額を、原則として毎月同額で支給します。
たとえば月額30万円と決めたのであれば、その後は毎月30万円を継続して支給する形です。
途中で利益が出そうだから増額する、資金繰りが厳しいから減額する、ということを安易に行うと、定期同額給与の要件を満たさない部分が出てくる可能性があります。
経営者
3か月以内に決めれば、過去の月分もまとめて支給できますか?
税理士
そこは注意が必要です。
3か月以内に決めれば、過去の月分まで自由に遡ってまとめて支給できる、という意味ではありません。
国税庁の質疑応答でも、定期給与の増額改定に伴って過去分の増額差額を一括支給するケースについて、その一括支給部分は定期同額給与に該当しないとされています。
役員報酬は、あらかじめ定めた支給基準に基づき、毎月など規則的に反復・継続して支給することが重要です。
経営者
会社設立後、しばらく役員報酬をゼロにして、後から支給を始めることはできますか?
税理士
設立直後は資金繰りの都合で、役員報酬をゼロにすること自体はあり得ます。
ただし、設立から3か月を過ぎてから初めて役員報酬を決定したり、途中から支給を始めたりする場合は、定期同額給与として損金算入できるかを個別に確認した方がよいです。
決議日、支給開始日、実際の支給実績、職務執行の開始時期、会社の状況などを確認する必要があります。
特に、すでに設立から3か月を超えている場合は、自己判断で処理せず、税理士に確認することをおすすめします。
経営者
役員賞与を出したい場合も、3か月以内に決めればよいですか?
税理士
役員賞与は、通常の月額役員報酬とは別のルールです。
役員賞与を損金算入したい場合は、原則として事前確定届出給与の手続が必要になります。
新設法人の場合には、原則として設立の日以後2か月を経過する日までなど、月額役員報酬の3か月とは別の期限があります。
月額の役員報酬と役員賞与は、期限も手続も違うため、混同しないようにしてください。
経営者
役員報酬を決めるときは、何を残しておけばよいですか?
税理士
株式会社であれば、株主総会議事録や取締役会議事録など、会社の機関設計に応じた決議書類を残します。
合同会社の場合も、社員の同意書や決定書など、役員報酬をいつ、いくらに決めたのかが分かる資料を残しておくことが重要です。
あわせて、実際の支給日、支給金額、源泉所得税の処理、社会保険の手続も整えておきます。
税務調査では、役員報酬を本当にその時期に決めていたのか、毎月同額で支給していたのかが確認されることがあります。
経営者
結局、会社設立1期目はどう動けば安全ですか?
税理士
会社設立後、できるだけ早い段階で年間の利益予測と資金繰りを確認し、設立日から3か月以内を目安に役員報酬の月額を決めてください。
その後は、原則として毎月同額を支給します。
過去月分をまとめて支給する処理や、設立3か月経過後の初回決定、役員賞与を出す場合には、通常より慎重な確認が必要です。
会社設立1期目は、役員報酬の決め方を間違えると、会社の経費として認められない部分が出る可能性があります。
町田・相模原で会社設立後の役員報酬に不安がある方へ
会社設立1期目は、役員報酬、資金繰り、源泉所得税、社会保険、消費税、融資の見通しなどを同時に考える必要があります。
特に役員報酬は、一度決めた後に自由に増減できるものではないため、設立直後の段階で慎重に設計することが重要です。
町田・相模原で会社設立後の役員報酬、創業融資、税務顧問に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、設立日、決算日、決議日、支給開始日、支給実績、法人形態、役員賞与の有無などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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