給与支払報告書とは、会社が前年中に従業員や役員へ支払った給与の内容を、市区町村へ報告するための書類です。
源泉徴収票と記載内容はよく似ていますが、目的と提出先が違います。
大きく整理すると、給与支払報告書は住民税のために市区町村へ提出する書類、源泉徴収票は所得税のために作成する書類です。
特に注意が必要なのは、税務署へ源泉徴収票を提出しなくてよい人でも、市区町村への給与支払報告書は提出が必要になることがある点です。
経営者
給与支払報告書って何ですか?
源泉徴収票とは違うのでしょうか?
税理士
給与支払報告書は、会社が従業員や役員へ支払った前年1年間の給与額などを、市区町村へ報告するための書類です。
市区町村は、この給与支払報告書などをもとに、翌年度の住民税を計算します。
一方、源泉徴収票は、給与の支払額や源泉徴収税額などを示す書類で、所得税の手続に関係します。
つまり、記載内容は似ていますが、給与支払報告書は住民税、源泉徴収票は所得税のための書類と考えると分かりやすいです。
経営者
提出先も違うのですか?
税理士
はい、提出先が違います。
給与支払報告書は、従業員の住所地の市区町村へ提出します。
通常は、給与を支払った年の翌年1月1日現在の住所地の市区町村へ、翌年1月31日までに提出します。
一方、源泉徴収票は、本人へ交付するほか、一定の提出範囲に該当するものを会社の所轄税務署へ提出します。
同じ給与データを使って作ることが多いのですが、国税と地方税で提出先が分かれているということです。
経営者
源泉徴収票を税務署に出せば、給与支払報告書は出さなくてもよいのですか?
税理士
いいえ。その理解は誤りです。
源泉徴収票と給与支払報告書は、別の提出義務です。
税務署へ提出する源泉徴収票は、一定の金額基準などに該当する人が対象です。
たとえば、年末調整済みの一般従業員については、年間給与が一定額以下であれば、税務署への源泉徴収票の提出を要しないケースがあります。
しかし、市区町村へ提出する給与支払報告書は、原則として給与額の多寡にかかわらず提出が必要です。
そのため、税務署に源泉徴収票を提出しない人であっても、市区町村への給与支払報告書は提出する、というケースが普通にあります。
経営者
本人には、給与支払報告書も渡すのですか?
税理士
通常、本人へ渡すのは源泉徴収票です。
給与支払報告書は、市区町村へ提出する書類ですので、通常は本人へ交付するものではありません。
本人は、源泉徴収票を使って、確定申告や住宅ローン、各種手続などに利用します。
市区町村は、会社から提出された給与支払報告書をもとに、翌年度の住民税を計算します。
経営者
退職した従業員についても、給与支払報告書は出す必要がありますか?
税理士
退職者についても、基本的には給与支払報告書の提出対象になります。
ただし、前年中に退職した人については、退職した年の給与支払総額が30万円以下の場合、法律上は給与支払報告書の提出を省略できる取扱いがあります。
もっとも、自治体によっては正確な住民税課税のため、30万円以下の退職者についても提出を求める、または提出をお願いしているケースがあります。
そのため、実務上は提出先の市区町村の案内も確認した方が安全です。
経営者
退職者の場合、どこの市区町村へ提出するのですか?
税理士
在職者については、原則として翌年1月1日現在の住所地の市区町村へ提出します。
一方、前年中に退職した人については、退職日現在の住所地の市区町村へ提出する点に注意が必要です。
退職者がいる場合は、退職日、退職時の住所、退職年中の給与総額を確認しておきましょう。
経営者
給与支払報告書を出すと、住民税の特別徴収につながるのですか?
税理士
はい、関係します。
市区町村は、給与支払報告書や確定申告書などをもとに、翌年度の個人住民税を計算します。
その後、会社へ特別徴収税額決定通知書が届きます。
会社は、その通知された住民税を、原則として6月から翌年5月までの給与から毎月差し引き、市区町村へ納付します。
これが住民税の特別徴収です。
経営者
住民税を天引きしている従業員が退職した場合は、給与支払報告書だけでよいですか?
税理士
いいえ。給与支払報告書とは別に、給与所得者異動届出書の手続が必要です。
すでに住民税を特別徴収している従業員が退職した場合、市区町村へ異動届を提出し、残りの住民税をどう処理するかを届け出ます。
退職時期や本人の希望により、普通徴収へ切り替える、一括徴収する、転職先で特別徴収を継続する、といった処理があります。
年末の給与支払報告書と、退職時の異動届は別の手続として管理してください。
経営者
結局、年末調整の時期には何を確認すればよいですか?
税理士
年末調整の時期には、次の流れで確認すると分かりやすいです。
まず、従業員や役員の給与データを整理し、源泉徴収票を作成します。
次に、給与支払報告書を、各人の住所地の市区町村へ提出します。
退職者がいる場合は、退職日、退職時の住所、退職年中の給与総額、住民税の異動届の提出状況を確認します。
給与支払報告書は、翌年度の住民税計算や特別徴収に直結するため、提出漏れがあると従業員本人にも会社にも影響します。
町田・相模原で年末調整・給与支払報告書の対応に不安がある方へ
給与支払報告書と源泉徴収票は、どちらも給与に関する書類ですが、提出先、目的、提出対象が異なります。
特に、退職者、アルバイト、役員、普通徴収への切替、住民税の異動届が絡むと、処理が複雑になりやすいです。
町田・相模原で、年末調整、給与支払報告書、源泉徴収票、住民税の特別徴収に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※源泉徴収票については「法定調書とは?小さい会社でも提出が必要になるケースを税理士が解説」をご参照ください。
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の提出要否、普通徴収への切替、退職者の取扱い、提出様式は、従業員の状況や提出先自治体の運用により異なる場合があります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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