従業員への結婚祝い・出産祝い・香典・見舞金は給与課税される?税理士が解説

従業員への結婚祝い・出産祝い等は給与課税される?

従業員が結婚したときや子どもが生まれたときに、会社から結婚祝金や出産祝金を支給することがあります。

また、従業員やその家族に不幸があった場合の香典、病気や災害に遭った場合の見舞金などを支給する会社もあります。

会社から従業員へ現金を渡す以上、

「給与として源泉徴収しないといけないのでは?」

と考えるかもしれません。

しかし、結婚祝金・出産祝金・香典・見舞金については、通常の給与や賞与とは異なる取扱いがあります。

結論からいうと、社会通念上相当な金額であれば、給与課税しなくて差し支えない場合があります。

ただし、

「結婚祝いなら○万円まで」

「出産祝いなら○万円まで」

という一律の非課税限度額が税法で決められているわけではありません。

結婚祝金・出産祝金は「本来は給与、ただし相当額なら非課税」

したがって、

「お祝いという名前を付ければ非課税」

なのではありません。

支給理由と金額の妥当性を確認する必要があります。

結婚祝い・出産祝いには「○万円まで」という非課税限度額はない

例えば、

・一般社員の結婚祝金として数万円

・出産祝金として数万円

といった一般的な慶弔金であれば、通常は制度趣旨を説明しやすいでしょう。

一方、

「結婚祝金」として特定の従業員に100万円を支給する

といった場合には、名称だけで非課税になるわけではありません。

通常の慶弔金として社会通念上相当といえるのかを個別に検討する必要があります。

香典・弔慰金も社会通念上相当なら非課税

したがって、従業員本人やその親族の死亡に伴い、会社の慶弔制度として一般的な範囲の香典・弔慰金を支給する場合には、通常は給与として源泉徴収する必要はありません。

病気や災害の見舞金も非課税になる場合がある

国税庁は、被災した従業員や役員について、

・住宅や家財の被害の程度

・従業員等と被災した親族との関係

・被災の程度

などに応じて一定の基準で見舞金を支給し、その金額が社会通念上相当である場合には、給与として源泉徴収する必要はないとしています。

つまり、見舞金についても、

「会社から従業員へ現金を渡したから給与」

と機械的に判断するわけではありません。

慶弔見舞金規程がないと非課税にできない?

慶弔見舞金規程があると、

・どのような場合に支給するのか

・誰を対象にするのか

・いくら支給するのか

・役職等によって金額を変えるのか

といった基準を明確にできます。

また、国税庁は法人税上の福利厚生費について、従業員やその親族等のお祝いや不幸などに際して「一定の基準に従って支給される金品」を福利厚生費の例として挙げています。

したがって、所得税の非課税判定だけでなく、会社側の経理処理を説明するうえでも、慶弔見舞金規程を整備しておくメリットがあります。

全員まったく同じ金額でなければダメ?

重要なのは、

「全員が同額でなければならない」

ことではなく、

「一定の合理的な基準に基づいており、その金額が社会通念上相当である」

ことです。

特定の従業員だけ100万円ではどうなる?

特に、

・通常の慶弔見舞金規程を大幅に超える

・一部の従業員だけ特別扱いする

・業績や会社への貢献度によって金額を決める

・通常の賞与の代わりとして支給する

といった事情があれば、給与・賞与としての課税を検討する必要があります。

役員への結婚祝金・見舞金はどうなる?

役員への支給について非課税要件を満たさず給与と判断された場合には、所得税・源泉所得税だけでなく、法人税上の役員給与の損金算入要件も問題になる可能性があります。

例えば、役員だけに通常の慶弔金の範囲を大きく超える金額を支給する場合には、

「本当に慶弔見舞金なのか」

「実質的な役員賞与ではないか」

という点まで確認する必要があります。

会社側では福利厚生費にできる?

ただし、

「会社側で福利厚生費になるか」

と、

「従業員側で給与課税されるか」

は、本来別の論点です。

勘定科目を「福利厚生費」にしただけで、従業員側の所得税が非課税になるわけではありません。

支給目的、金額、支給基準などから、それぞれ判断する必要があります。

慶弔見舞金規程はどう作ればよい?

実務では、少なくとも次のような項目をあらかじめ定めておくと整理しやすくなります。

項目 規程例
結婚祝金 本人が結婚した場合 ○万円
出産祝金 本人または配偶者が出産した場合 ○万円
弔慰金・香典 本人・配偶者・父母・子等の死亡に応じて○万円
傷病見舞金 一定期間以上入院した場合 ○万円
災害見舞金 全壊・半壊・床上浸水等、損害程度に応じて○万円

金額を決める場合は、

「税務上○万円まで非課税だから」

ではなく、

会社規模、一般的な慶弔制度、対象者の地位、支給理由などを考慮し、社会通念上相当な範囲で設定します。

また、実際に支給した際には、

・対象者

・支給日

・支給理由

・支給金額

・適用した規程の条項

などを記録しておくと、後から支給内容を説明しやすくなります。

町田・相模原で福利厚生・給与課税にお悩みの方へ

結婚祝金、出産祝金、香典、見舞金などの慶弔見舞金は、会社から従業員へ現金を支給する制度であっても、一定の場合には給与課税しない取扱いがあります。

一方で、支給額が著しく高額な場合や、通常の給与・賞与の代わりとして支給している場合には、名称が「祝金」「見舞金」であっても給与課税の問題が生じます。

タクスリンク税理士事務所では、町田・相模原を中心に東京都・神奈川県の個人事業主・中小企業の税務顧問、源泉所得税、福利厚生制度に関する税務相談に対応しています。

慶弔見舞金規程を作成する際の税務上の支給基準や、実際の支給について給与課税が必要か判断に迷う場合も、お気軽にご相談ください。

※本記事は、2026年9月現在の法令・通達・国税庁公表資料に基づき、会社が役員・従業員等へ支給する慶弔見舞金の一般的な所得税・源泉所得税上の取扱いを解説したものです。実際の取扱いは、支給理由、支給額、受給者の地位、会社との関係、慶弔見舞金規程の内容、他の従業員への支給基準、傷病・災害の程度等によって異なります。特に著しく高額な支給、役員への支給、通常の給与・賞与の代替と考えられる支給については、個別に確認する必要があります。

関連記事

Author Profile

末廣 大地
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。