従業員に誕生日プレゼントを渡す場合、「福利厚生費だから給与課税されない」と考えてしまうことがあります。
しかし、税務上は、会社から従業員に与える経済的利益は、原則として給与課税の対象になり得ます。
一方で、従業員に対する祝金品については、社会通念上相当な範囲であれば課税しなくて差し支えないとする通達もあります。
問題は、誕生日プレゼントがどこまでその範囲に入るか、そして現金・商品券・ギフトカードのような換金性の高いものをどう扱うかです。
経営者
従業員に誕生日プレゼントを渡したいのですが、給与課税されますか?
税理士
内容によります。
会社から従業員に支給する金品や経済的利益は、原則として給与課税の対象になり得ます。
所得税法では、給与所得には給料、賃金、賞与その他これらの性質を有する給与が含まれます。また、金銭だけでなく、物品その他の経済的利益も収入金額に含まれます。
そのため、「プレゼントだから当然に非課税」とは考えない方がよいです。
経営者
では、誕生日プレゼントは全部給与にしないといけないのですか?
税理士
必ずしもそうではありません。
所得税基本通達28-5では、会社から従業員に支給する結婚、出産等の祝金品について、原則として給与等に該当するとしつつ、その金額が受給者の地位等に照らして社会通念上相当と認められるものは、課税しなくて差し支えないとされています。
誕生日プレゼントは通達上、明文で書かれているわけではありません。
ただし、全従業員を対象とする福利厚生制度として、社会通念上相当な少額の現物品を支給するような場合には、給与課税しない整理を検討できる余地があります。
経営者
たとえば、数千円くらいのお菓子や花を渡す場合はどうでしょうか?
税理士
全従業員を対象に、同じ基準で、数千円程度の現物品を渡すのであれば、非課税として整理できる余地はあります。
この場合は、給与というよりも、従業員への福利厚生的な祝品として説明しやすいからです。
ただし、金額が高額であったり、役員や一部の従業員だけを対象にしていたり、役職によって過度に金額差がある場合は、給与課税リスクが高くなります。
経営者
Amazonギフト券や商品券でもよいですか?
税理士
商品券、ギフトカード、Amazonギフト券などは、給与課税として扱うのが安全です。
これらは現金に近い性質があり、従業員が自由に使えるためです。
国税庁も、創業記念で従業員に商品券を支給した事例について、商品券の支給は給与等として源泉徴収の対象になると示しています。
誕生日プレゼントでも、商品券やギフトカードは「少額だから大丈夫」とは考えず、給与課税する方向で整理するのが実務上安全です。
経営者
現金で渡す場合も給与課税ですか?
税理士
はい。現金は給与課税として処理するのが原則です。
たとえ「誕生日祝い」という名目であっても、会社から従業員に現金を渡せば、従業員が自由に使える経済的利益になります。
給与として源泉徴収の対象にする必要があります。
経営者
「1万円以下の記念品なら非課税」と聞いたことがあります。誕生日プレゼントも1万円以下なら大丈夫ですか?
税理士
そこは注意が必要です。
所得税基本通達36-22には、創業記念品などについて、一定の要件を満たす現物記念品であれば課税しなくて差し支えないという取扱いがあります。
ただし、これは創業記念品などを念頭に置いた取扱いです。
しかも、社会通念上記念品としてふさわしいこと、処分見込価額が1万円以下であること、一定期間ごとに行う記念の場合はおおむね5年以上の間隔であることなどの要件があります。
毎年の誕生日プレゼントに対して、「1万円以下なら必ず非課税」とそのまま使える基準ではありません。
経営者
会社では福利厚生費として処理したいのですが、従業員側の給与課税とは別ですか?
税理士
別の論点です。
会社側で福利厚生費として処理できるかという法人税上の問題と、従業員側で給与課税されるかという所得税・源泉所得税の問題は、分けて考える必要があります。
会社側で福利厚生費として処理していても、従業員側では給与として課税すべきケースがあります。
特に、現金、商品券、ギフトカード、本人が自由に商品を選べる仕組みは、給与課税リスクが高くなります。
経営者
非課税にしたい場合、どのような形にすればよいですか?
税理士
まず、現金や商品券ではなく、少額の現物品にしてください。
そのうえで、全従業員を対象とし、社内規程や福利厚生ルールで支給基準を明確にしておくことが望ましいです。
たとえば、「従業員の誕生日に、会社が選定した数千円程度の現物品を支給する」といった形です。
一部の従業員だけ、役員だけ、高額品だけ、本人が自由に選べるカタログギフトのような制度にすると、給与として見られるリスクが高くなります。
経営者
実務上は、どこまでなら安全ですか?
税理士
実務上の整理としては、次のように考えるのが安全です。
現金、商品券、ギフトカードは給与課税。
数千円程度の少額な現物品を、全従業員に同一基準で支給する場合は、非課税として整理できる余地あり。
数万円の高額品、本人が自由に選べる制度、役員や特定従業員だけへの支給は、給与課税リスクが高い。
この区分で考えると、大きく外しにくいです。
町田・相模原で福利厚生費や源泉所得税の判断に不安がある方へ
従業員への誕生日プレゼント、結婚祝い、出産祝い、永年勤続表彰、社内イベントの景品などは、「福利厚生費でよいか」と「従業員側で給与課税されるか」を分けて判断する必要があります。
特に、現金、商品券、ギフトカード、自由選択型のプレゼントは、源泉所得税の処理を誤りやすい部分です。
町田・相模原で、従業員への福利厚生、給与課税、源泉所得税の処理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、プレゼントの内容、金額、支給対象者、社内規程の有無、支給頻度、従業員が自由に選択できるかどうかなどによって異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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