個人事業主が、取引先に香典、結婚祝い、見舞金などを支払うことがあります。
このような慶弔費は、事業上の関係維持のために通常必要と認められるものであれば、接待交際費などとして必要経費にできる余地があります。
一方で、友人や親族への純粋に個人的な香典、結婚祝い、見舞金は、事業の経費にはなりません。
また、香典などは領収書が発行されないこともあります。領収書がないだけで直ちに経費にできなくなるわけではありませんが、支出日、相手先、金額、支出理由を記録し、訃報、会葬礼状、招待状などの客観資料を保存しておくことが重要です。
個人事業主
取引先の社長のご家族が亡くなったので、香典を出しました。
こういう香典は経費になりますか?
税理士
取引先との事業上の関係維持のために通常必要と認められるものであれば、接待交際費などとして必要経費にできる可能性があります。
ただし、相手が取引先であること、支出の理由が事業上の付き合いとして説明できること、金額が社会通念上相当な範囲であることが重要です。
個人事業主
結婚祝いとか見舞金も同じですか?
税理士
基本的な考え方は同じです。
取引先への結婚祝い、病気や災害などの見舞金についても、事業上の関係を維持するために通常必要な範囲で支出したものであれば、必要経費にできる余地があります。
ただし、何でも経費になるわけではありません。
個人的な友人関係や親族関係に基づく支出は、事業の経費ではなく家事上の支出になります。
個人事業主
相手が昔からの友人でもあり、今は取引先でもある場合はどうなりますか?
税理士
その場合は慎重に判断する必要があります。
単に「今は取引先でもある」というだけで、昔からの友人への結婚祝いを全額経費にできるとは限りません。
事業上の付き合いとして支出したものなのか、個人的な関係に基づくものなのかを確認します。
特に、金額が大きい場合や、ほかの取引先には同じような支出をしていない場合は、個人的支出と見られる可能性が高くなります。
個人事業主
香典は領収書が出ないことが多いです。領収書がないと経費にできませんか?
税理士
領収書がないことだけで、直ちに必要経費にならないとは言い切れません。
香典、祝い金、見舞金は、性質上、領収書が発行されないことがあります。
ただし、その場合でも、支出した事実、相手先、金額、事業との関係を説明できる資料を残す必要があります。
出金伝票や帳簿に、日付、相手先、金額、支出目的を具体的に記録してください。
個人事業主
具体的には、何を保存しておけばよいですか?
税理士
香典であれば、訃報、葬儀案内、会葬礼状などを保存します。
結婚祝いであれば、結婚式や披露宴の招待状、案内メール、出席記録などが資料になります。
見舞金であれば、相手先、見舞いの理由、支払日、金額を記録し、災害や病気などの事情が分かる案内があれば保存します。
銀行振込で支払った場合は、振込明細も保存してください。
さらに、相手方との取引関係が分かる請求書、契約書、メール、名刺なども残しておくと説明しやすくなります。
個人事業主
出金伝票には、どう書けばよいですか?
税理士
単に「香典」や「祝い金」とだけ書くのではなく、誰に、何のために、いくら支払ったのかが分かるように記録します。
たとえば、取引先A社の社長のご家族への香典であれば、摘要欄に次のように記載します。
A社 ○○氏ご母堂逝去に伴う香典
仕訳としては、たとえば次のような処理が考えられます。
接待交際費 10,000円 / 現金 10,000円
ただし、これは事業上の関係があり、金額も通常必要な範囲であることが前提です。
個人事業主
金額はいくらまでなら経費になりますか?
税理士
所得税では、取引先への香典や祝い金について、一律に「いくらまで」と決まっているわけではありません。
重要なのは、相手方との関係、支出の理由、事業上の必要性、金額の相当性です。
同じ取引先への慶弔費でも、社会通念上かなり高額な支出であれば、必要経費性が弱くなります。
また、事業上の関係よりも個人的な関係の方が強い場合も、経費として処理することには注意が必要です。
個人事業主
現金ではなく、品物を買って贈った場合はどうなりますか?
税理士
品物を購入して贈る場合も、事業上の関係維持のため通常必要と認められるものであれば、接待交際費などとして経費にできる可能性があります。
ただし、現金で渡す香典や見舞金と、品物を購入して贈る場合では、消費税の処理が異なることがあります。
消費税の課税事業者で、仕入税額控除まで確認する必要がある場合は、購入時のインボイスやレシートの保存も確認してください。
個人事業主
結局、取引先への慶弔費はどう判断すればよいですか?
税理士
次の順番で確認すると整理しやすいです。
まず、相手が事業上の取引先かどうかを確認します。
次に、支出の理由が事業上の関係維持として説明できるかを確認します。
そのうえで、金額が通常必要な範囲か、領収書がない場合でも出金伝票や案内状などの資料で支出を説明できるかを確認します。
この説明ができる支出であれば、接待交際費などとして必要経費にできる可能性があります。
逆に、個人的な友人や親族への支出、金額が過大な支出、証拠資料が何も残っていない支出は、経費処理に注意が必要です。
町田・相模原で個人事業主の経費判断に不安がある方へ
個人事業主の経費判断では、領収書があるかどうかだけでなく、その支出が事業に関係しているか、金額が通常必要な範囲か、証拠資料を残しているかが重要です。
特に、取引先への香典、結婚祝い、見舞金のような慶弔費は、事業上の支出と個人的な支出の境界が曖昧になりやすい項目です。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、相手方との関係、支出理由、金額、証拠資料の有無、消費税の課税状況などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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