法人が支払う税金は、すべてが経費になるわけではありません。
会計上は「租税公課」や「法人税、住民税及び事業税」として費用処理していても、法人税の申告では損金にならないものがあります。
特に間違えやすいのが、法人税、法人住民税、法人事業税、印紙税の違いです。
ざっくり整理すると、法人税と法人住民税は原則として法人税上の損金になりません。一方、法人事業税や通常の印紙税は原則として損金になります。
経営者
法人税、法人住民税、法人事業税は経費になりますか?
印紙税も含めて、経費になる税金と経費にならない税金を教えてください。
税理士
法人が支払う税金は、税金だから一律に経費になるわけではありません。
法人税上は、「会計上の費用」と「法人税上の損金」を分けて考える必要があります。
ご質問の中では、法人税と法人住民税は原則として損金になりません。
一方、法人事業税と通常の印紙税は、原則として損金になります。
経営者
法人税は、自社の税金なのに経費にならないのですか?
税理士
はい。法人税は原則として損金になりません。
法人税は、会社の所得に対して課される税金です。
その法人税自体をさらに損金にしてしまうと、法人税の計算構造が崩れてしまいます。
そのため、法人税法では、法人税や地方法人税について、原則として損金の額に算入しないと定めています。
経営者
法人住民税はどうですか?
均等割だけでも経費になりませんか?
税理士
法人住民税も、原則として損金になりません。
ここでいう法人住民税には、道府県民税、市町村民税、都民税などが含まれます。
法人住民税には、所得に応じて計算される法人税割と、赤字でも発生する均等割がありますが、法人税法上は原則としてどちらも損金不算入です。
そのため、会計上は費用として計上していても、法人税申告書では加算調整が必要になります。
経営者
法人事業税は、法人税や法人住民税と一緒に納めるイメージがあります。
これも経費にならないのですか?
税理士
法人事業税は、原則として損金になります。
ここが非常に間違えやすいところです。
法人税、法人住民税、法人事業税は、決算書上「法人税、住民税及び事業税」とまとめて表示されることがあります。
しかし、法人税申告では内訳を分けて考えます。
法人税と法人住民税は原則として損金になりませんが、法人事業税は原則として損金になります。
経営者
法人事業税は、いつの経費になりますか?
当期の所得をもとに計算しているなら、当期の経費ですか?
税理士
法人事業税は、損金になるかどうかだけでなく、いつ損金になるかが重要です。
法人税基本通達9-5-1では、申告納税方式による租税は、原則として申告書を提出した日の属する事業年度の損金に算入する取扱いが示されています。
法人事業税は、通常、当期の所得をもとに計算しますが、申告書を提出するのは翌期です。
そのため、単純に当期の法人事業税を当期の損金にするわけではなく、申告・納付時期との関係を確認する必要があります。
経営者
印紙税は経費になりますか?
税理士
通常の印紙税は、原則として損金になります。
契約書や領収書などの課税文書に貼る収入印紙は、事業活動に伴って発生する税金です。
法人税法上、特に損金不算入とされていない事業上の費用は、原則として損金算入の対象になります。
ただし、印紙を貼らなかったことなどにより課される印紙税の過怠税は、通常の印紙税とは別です。
印紙税の過怠税は、法人税法上、損金不算入とされています。
経営者
固定資産税や自動車税はどうですか?
税理士
事業用資産に係る固定資産税や都市計画税、事業用車両に係る自動車税などは、原則として損金になります。
事業所税も、原則として損金算入の対象です。
つまり、所得そのものに対して課される法人税や法人住民税は損金にならず、事業活動や事業用資産に関連して課される税金は損金になるものが多い、という整理です。
経営者
延滞税や加算税も、会社が払ったなら経費になりますか?
税理士
延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税などは、原則として損金になりません。
これらは、税金の申告漏れ、納付遅れ、不適正な処理などに伴って課される性格のものです。
法人が実際に支払っていても、法人税上の損金にはできません。
また、罰金、科料、過料なども、原則として損金不算入です。
経営者
消費税は経費になる税金として考えてよいですか?
税理士
消費税は、税込経理か税抜経理かによって見え方が変わります。
そのため、法人税や法人事業税のように、単純に「経費になる」「経費にならない」とだけ分類しない方が安全です。
税込経理では、売上や経費に消費税相当額を含めて処理します。
税抜経理では、仮受消費税や仮払消費税として区分して処理します。
決算時には、消費税の経理方式に応じて処理を確認する必要があります。
経営者
結局、どの税金が経費になって、どの税金が経費にならないと覚えればよいですか?
税理士
実務上は、次のように整理すると分かりやすいです。
まず、損金にならない代表例は、法人税、地方法人税、法人住民税です。
法人住民税は、法人税割だけでなく、均等割も原則として損金になりません。
また、延滞税、加算税、重加算税、印紙税の過怠税、罰金、科料、過料なども損金になりません。
一方、損金になる代表例は、法人事業税、特別法人事業税、通常の印紙税、固定資産税、都市計画税、事業所税、事業用車両に係る自動車税などです。
ただし、法人事業税は損金算入時期に注意が必要です。
町田・相模原で法人決算・税務申告に不安がある方へ
法人税、法人住民税、法人事業税は、決算書ではまとめて表示されることがあります。
しかし、法人税申告では、損金になるものとならないものを分けて処理する必要があります。
特に、法人事業税の損金算入時期、印紙税と過怠税の区別、延滞税・加算税の損金不算入は、決算時に確認すべきポイントです。
町田・相模原で、法人決算、税務申告、租税公課の処理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な法人税上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、税金の種類、課税方式、申告・納付時期、会計処理方法、消費税の経理方式などにより異なります。
Author Profile
-
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
Latest entries
法人税2026年8月15日防衛特別法人税は中小企業にもかかる?対象法人・500万円控除を税理士が解説
消費税2026年8月15日消費税の課税事業者を選択した翌年に免税に戻れる?2年縛り・調整対象固定資産を税理士が解説
法人税2026年8月15日法人の青色申告は一度承認されたら継続する?取消し・期限後申告・再申請を税理士が解説
消費税2026年8月15日簡易課税は翌年に本則課税へ戻せる?2年縛りと設備投資の注意点を税理士が解説




