退職した従業員にも、給与所得の源泉徴収票を交付する必要があります。
源泉徴収票は、年末まで在籍している従業員だけに渡すものではありません。年の途中で退職した従業員についても、その年中に支払った給与や源泉徴収税額を記載した源泉徴収票を作成し、本人へ交付する必要があります。
特に中途退職者については、通常の在職者とは交付期限が異なります。通常の在職者は翌年1月31日までですが、中途退職者は原則として退職の日以後1か月以内に本人へ交付します。
経営者
退職した従業員にも、源泉徴収票を渡さなければいけないのでしょうか?
税理士
はい。退職した従業員にも、給与所得の源泉徴収票を交付する必要があります。
年末まで在籍している従業員だけが対象ではありません。
年の途中で退職した従業員については、原則として退職の日以後1か月以内に、本人へ源泉徴収票を交付します。
経営者
税務署に提出する必要がない人でも、本人には渡す必要がありますか?
税理士
はい。そこは分けて考える必要があります。
税務署へ源泉徴収票を提出するかどうかは、給与額や役員か従業員かなどによって提出範囲が決まっています。
一方で、本人への交付義務はそれとは別です。
税務署への提出対象にならない従業員であっても、退職者本人には源泉徴収票を交付する必要があります。
経営者
具体的には、いつまでに渡せばよいですか?
税理士
中途退職者の場合は、原則として退職の日以後1か月以内です。
たとえば、6月30日に退職した従業員であれば、原則として7月30日までに本人へ源泉徴収票を交付することになります。
年末まで在籍している従業員については、通常、翌年1月31日までに交付します。
中途退職者については、転職先での年末調整に必要になることが多いため、退職手続の一部として早めに発行するのが実務上も重要です。
経営者
退職した人は、うちの会社で年末調整をするのでしょうか?
税理士
通常の中途退職者については、退職した会社では年末調整をしません。
その年中に別の会社へ再就職した場合は、新しい勤務先が前職の源泉徴収票を確認し、原則として前職給与と合算して年末調整を行います。
そのため、退職時に交付する源泉徴収票は、転職先での年末調整にも必要になる重要な書類です。
経営者
前職の源泉徴収票がないと、転職先では困るのですか?
税理士
はい。転職先では、前職の給与額、社会保険料、源泉徴収税額などを確認できなければ、前職分を含めた年末調整ができません。
その場合、転職先で年末調整を完結できず、本人が確定申告をする必要が生じることがあります。
退職者本人のためにも、退職後1か月以内の交付を会社側で管理しておくべきです。
経営者
中途退職者でも、退職時に年末調整をするケースはありますか?
税理士
例外的にあります。
たとえば、死亡により退職した場合、著しい心身の障害により退職し、その年中に再就職して給与を受ける見込みがない場合、12月に支給期の到来する給与を受けた後に退職した場合などは、退職時等に年末調整を行う取扱いがあります。
また、一定のパートタイマー等について、その年中の給与総額が一定額以下で、退職後その年中に他の勤務先から給与を受ける見込みがない場合も、年末調整の対象になることがあります。
ただし、通常の中途退職者は、退職した会社では年末調整をしないという理解で進め、例外に該当するかを個別に確認します。
経営者
年内に再就職しなかった人はどうなりますか?
税理士
年内に再就職せず、年末調整を受けなかった場合は、本人が翌年に確定申告をすることで、源泉徴収されていた所得税が還付されることがあります。
この場合も、確定申告のために源泉徴収票が必要になります。
退職者が転職する場合だけでなく、年内に再就職しない場合にも、源泉徴収票の交付は重要です。
経営者
退職者が源泉徴収票をなくしたと言ってきた場合、再発行しなければいけませんか?
税理士
紛失による再発行について、所得税法226条に「紛失時は何日以内に再発行しなければならない」という明確な期限までは確認できません。
ただし、退職者本人の転職先での年末調整や確定申告に必要になる書類ですので、本人確認をしたうえで、速やかに再交付するのが実務上適切です。
なお、国税庁の「源泉徴収票不交付の届出手続」は、会社が源泉徴収票を交付してくれない場合の手続であり、一度交付された源泉徴収票の再発行は対象外とされています。
経営者
退職後に追加給与や遡及昇給の差額を払った場合はどうなりますか?
税理士
その場合は、単なる紛失による再発行とは異なります。
退職後に追加給与や遡及昇給の差額を支給し、源泉徴収票に記載すべき金額が変わる場合には、当初分と追加支給分を合算した源泉徴収票を作り直して、改めて交付する必要があります。
国税庁の質疑応答事例でも、退職後に改訂差額を支給する場合には、追加支給額を含めた源泉徴収票を作成し、摘要欄に追加支給の内容と再交付である旨を表示する取扱いが示されています。
経営者
退職金を払った場合も、同じ源泉徴収票でよいですか?
税理士
いいえ。給与の源泉徴収票とは別に考えます。
毎月の給与や賞与について作成するのは、給与所得の源泉徴収票です。
一方、退職金を支給した場合には、退職所得の源泉徴収票・特別徴収票が関係します。
給与の源泉徴収票と退職所得の源泉徴収票は別の書類ですので、退職金を支給した場合は別途確認してください。
経営者
退職時の実務では、何を確認しておけばよいですか?
税理士
まず、退職日、最終給与の支給日、その年中に支払が確定した給与や賞与の金額を確認します。
次に、退職後に追加給与、遡及昇給、賞与などを支給する予定がないかを確認します。
あわせて、その退職者が例外的に退職時年末調整の対象になるか、退職金の支給があるか、源泉徴収票を税務署へ提出する必要があるかを確認します。
実務上は、退職時に「最終給与の確定、源泉徴収票の作成、退職の日以後1か月以内の本人交付」までを一連の手続として管理しておくと安全です。
町田・相模原で給与計算・年末調整に不安がある方へ
退職者の源泉徴収票は、単に「年末にまとめて作る書類」ではありません。
中途退職者については、退職の日以後1か月以内という本人への交付期限があり、転職先での年末調整や本人の確定申告にも関係します。
また、税務署への提出範囲、退職時年末調整の例外、退職後の追加給与、紛失時の再交付など、実務上の確認ポイントも少なくありません。
町田・相模原で、給与計算、年末調整、退職者の源泉徴収票作成に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、退職日、最終給与の支給日、追加給与の有無、退職金の有無、年末調整の例外該当性、税務署提出範囲などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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