会社から社長にお金を貸す場合、「必ず契約上の利息を取らなければならない」という意味ではありません。
ただし、無利息または著しく低い利率で貸し付けると、税務上は、本来取るべき利息と実際に取った利息との差額が、社長に対する給与としての経済的利益と認定される可能性があります。
そのため、実務上は、役員貸付金について合理的な利率を設定し、金銭消費貸借契約書を作成し、実際に元本と利息を返済していくことが重要です。
経営者
会社から社長にお金を貸すと、利息がかかるって本当ですか?
税理士
正確には、会社から社長へお金を貸す場合、必ず契約上の利息を取らなければならない、という意味ではありません。
ただし、無利息や著しく低い利率で貸し付けると、税務上問題になる可能性があります。
会社が本来受け取るべき利息と、実際に受け取った利息との差額が、社長に対する給与としての経済的利益と見られることがあるためです。
経営者
会社から社長への貸付けなのに、なぜ給与になるのですか?
税理士
所得税では、現金でもらった給料だけでなく、金銭以外の経済的利益も課税対象になります。
たとえば、社長が会社から通常より低い利率でお金を借りると、本来なら支払うべき利息を免れていることになります。
その利息相当額は、社長が会社から受けた経済的利益と考えられるため、役員という地位に基づくものであれば、給与課税の問題が出てきます。
経営者
では、無利息で貸したら必ずアウトですか?
税理士
必ずアウトとまではいえません。
災害や疾病などにより、臨時に多額の生活資金が必要になった場合で、貸付金額や返済期間が合理的な範囲にとどまるものについては、給与課税しなくて差し支えない取扱いがあります。
また、会社の借入金の平均調達金利などから合理的な貸付利率を定めて、実際に利息を徴収している場合も、給与課税しない取扱いを検討できます。
さらに、基準利率による利息と実際に徴収した利息との差額が、1年間で5,000円以下である場合にも、給与課税しなくて差し支えないとされています。
経営者
では、普通の役員貸付金では、何%の利息を取ればよいのですか?
税理士
まず、会社が金融機関などから借りた資金を、そのまま社長へ貸し付けたことが明らかな場合は、その会社の借入利率が基準になります。
それ以外の場合は、貸付日の属する年の利子税特例基準割合を使うのが基本です。
令和8年に新たに貸し付ける場合、この基準は年1.3%です。
令和4年から令和7年までは0.9%でしたが、令和8年は1.3%に上がっています。
経営者
令和8年から、過去の貸付金も全部1.3%に変える必要がありますか?
税理士
そこは注意が必要です。
所得税基本通達36-49では、貸付日の属する年の割合を基準にします。
そのため、令和8年に新しく貸し付けるものについては1.3%が一つの基準になりますが、令和7年以前に実行済みの貸付けまで、一律に令和8年の1.3%へ変更するという整理ではありません。
過年度から役員貸付金が続いている場合は、貸付けが発生した年、追加貸付けの有無、残高の推移を分けて確認する必要があります。
経営者
会社が自己資金から社長に1,000万円を無利息で貸した場合、どれくらい問題になりますか?
税理士
単純化して、令和8年に会社の自己資金から社長へ1,000万円を無利息で貸し付け、例外に該当しないと仮定します。
この場合、1,000万円に年1.3%を掛けると、年間13万円の利息相当額が問題になります。
実際には、貸付日、返済日、期中残高、追加貸付けの有無などに応じて計算しますが、無利息のまま放置すると、社長側では給与課税、会社側では認定利息の益金計上や役員給与の損金算入可否が問題になります。
経営者
社長側では、どのような税金の問題が出ますか?
税理士
社長側では、本来支払うべき利息と実際に支払った利息との差額が、給与として課税される可能性があります。
給与として扱われる場合、所得税や住民税の対象になります。
また、会社が給与等を支払う場合には、源泉徴収義務があります。そのため、認定された経済的利益が給与とされる場合には、源泉所得税の処理も問題になります。
経営者
会社側では、どういう処理になりますか?
税理士
会社側では、本来受け取るべき利息を収益として認識する、いわゆる認定利息の問題が出ます。
また、その差額が役員に対する給与として扱われる場合、法人税法上の役員給与の損金算入要件も確認する必要があります。
役員給与は、一定の要件を満たさないと損金に算入できません。
そのため、社長側で給与課税されるだけでなく、会社側でも損金不算入となり、二重に税負担が重くなる可能性があります。
経営者
毎月同じように経済的利益が発生していれば、定期同額給与として扱えますか?
税理士
継続的に供与される経済的利益で、毎月おおむね一定であるものは、定期同額給与に含まれ得る取扱いがあります。
ただし、役員貸付金は残高が変動したり、追加貸付けや返済があったりすると、利息相当額も変動します。
そのため、単純に定期同額給与として安全に処理できるとは限りません。
貸付残高、返済状況、利息計算、経理処理の実態を見て、個別に判断する必要があります。
経営者
契約書を作っておけば大丈夫ですか?
税理士
契約書は重要ですが、契約書を作るだけでは不十分です。
実務上は、少なくとも次の点を整えておくべきです。
金銭消費貸借契約書を作成すること、合理的な利率を設定すること、返済期限と返済方法を明確にすること、元本と利息を実際に返済すること、取締役会など必要な社内手続を確認することです。
特に、契約書だけ作って返済実績がない場合や、貸付金が毎年増え続けている場合には、本当に貸付けなのか、実質的な役員賞与や資金流出ではないかという別の論点も出てきます。
経営者
役員貸付金として帳簿に載せておけば、それで終わりではないのですね。
税理士
そのとおりです。
役員貸付金は、帳簿に載せておけば安全というものではありません。
利息を取っているか、利率が合理的か、返済予定があるか、実際に返済しているか、貸付金が長期間残っていないかを確認する必要があります。
金融機関から見ても、多額の役員貸付金は会社資金が社長個人に流出しているように見えるため、融資審査上も不利に働くことがあります。
経営者
結局、会社から社長にお金を貸す場合は、どうすればよいですか?
税理士
まず、貸付けの必要性、貸付金額、貸付日、返済期間、会社の借入状況を確認します。
そのうえで、会社の借入金を原資としている場合はその借入利率、それ以外の場合は貸付日の属する年の利子税特例基準割合などを参考に、合理的な利率を設定します。
令和8年に新たに貸し付ける場合は、年1.3%が一つの基準になります。
そのうえで、契約書、返済予定表、利息計算、実際の返済、会計処理をそろえてください。
すでに役員貸付金がある場合は、貸付開始日、追加貸付け、返済状況、現在残高を確認したうえで、過年度分を含めて整理する必要があります。
町田・相模原で役員貸付金の整理に不安がある方へ
会社から社長への貸付金は、単に「役員貸付金」として帳簿に載せておけば終わりではありません。
無利息や低利率のまま放置していると、認定利息、給与課税、源泉所得税、役員給与の損金不算入、金融機関評価の低下といった問題につながる可能性があります。
特に、役員貸付金が多額になっている場合、長期間返済されていない場合、毎年残高が増えている場合は、早めに整理する必要があります。
町田・相模原で、役員貸付金、社長への貸付け、認定利息、法人と代表者間のお金の整理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、貸付日、貸付金額、会社の借入状況、利率、返済実績、貸付目的、過年度処理の有無などにより異なります。多額または長期の役員貸付金がある場合は、個別に確認が必要です。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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