会社設立1期目でも、社長に賞与を支給すること自体は可能です。
ただし、その賞与を法人税上の損金に算入するには、原則として「事前確定届出給与」の要件を満たす必要があります。
特に、新しく設立した法人で、社長が設立時から職務を開始している場合には、事前確定届出給与の届出期限が通常とは異なります。
この場合、原則として「設立の日以後2か月を経過する日」までに届出をする必要があります。
「第1期だから役員賞与は出せない」というわけではありません。むしろ、設立直後に賞与を予定している場合は、設立後2か月の届出期限を見落とさないことが重要です。
経営者
会社を設立したばかりです。
会社設立1期目でも、社長に賞与を払うことはできますか?
税理士
はい。会社設立1期目でも、社長に賞与を支給すること自体は可能です。
ただし、その賞与を法人税上の損金、つまり会社の税金計算上の経費にするためには、原則として「事前確定届出給与」という手続が必要です。
経営者
賞与を払うこと自体はできるけれど、税金計算上の経費にするには別の要件がある、ということですか?
税理士
そのとおりです。
役員に対する給与は、従業員給与とは違い、法人税法上、損金算入できるものが限定されています。
代表取締役である社長への賞与は、通常の従業員賞与のように「利益が出たから今期中に払う」という形では、法人税上の損金にできないことがあります。
損金にするためには、原則として、あらかじめ「いつ、いくら支給するか」を決めて、税務署へ事前確定届出給与の届出を行い、その届出どおりに支給する必要があります。
経営者
会社設立1期目の場合も、通常の事前確定届出給与と同じ期限ですか?
税理士
新設法人の場合は、注意が必要です。
新たに設立した内国法人が、その役員の「設立の時に開始する職務」について、事前確定届出給与の定めをした場合には、原則として「設立の日以後2か月を経過する日」までが届出期限になります。
つまり、社長が会社設立時から代表取締役として職務を開始している場合、設立後2か月以内に届出をする必要がある、ということです。
経営者
2か月以内に賞与を払わなければいけないのですか?
税理士
いいえ。そこは勘違いしやすいところです。
2か月以内にしなければならないのは、賞与の支払いではなく、事前確定届出給与の届出です。
実際の賞与支給日は、その後の日付でも構いません。
たとえば、設立後2か月以内に「12月25日に100万円を支給する」と決めて税務署へ届け出る、という形です。
ただし、後から自由に支給日や金額を変えられるわけではありません。
経営者
届出を出しておけば、多少金額が変わっても大丈夫ですか?
税理士
原則として、大丈夫ではありません。
事前確定届出給与は、あらかじめ定めた時期に、あらかじめ確定した額を支給する給与です。
たとえば、「12月25日に100万円」と届け出たのであれば、原則としてその日付・金額どおりに支給する必要があります。
実際の支給額が届出額と異なる場合には、差額だけではなく、実際に支給した額の全額が損金不算入となる可能性があります。
この部分は、まあ税務署もなかなか情緒で動いてはくれません。「だいたい合っているのでセーフ」とはなりにくい制度です。
経営者
会社設立1期目なら、いつでも設立後2か月ルールを使えるのですか?
税理士
いいえ。
設立後2か月の期限が問題になるのは、新設法人の役員のうち、その「設立の時に開始する職務」について定めをした場合です。
社長が会社設立時から代表取締役として職務を開始している場合は、このルールに乗るのが一般的です。
一方で、設立後しばらくして新たに役員へ就任した場合や、職務の開始時期が異なる場合には、通常ルールによる期限判定が必要になります。
したがって、「第1期中ならいつでも間に合う」という意味ではありません。
経営者
すでに設立から2か月を過ぎていたら、もう損金にはできませんか?
税理士
原則として、設立後2か月の期限を過ぎている場合には、その新設法人特有の期限での届出は難しくなります。
法人税法施行令には、期限までに届出がなかったことについて「やむを得ない事情」がある場合の規定があります。
ただし、単なる失念や、制度を知らなかったというだけで当然に救済される制度ではありません。
設立から2か月を経過している場合は、個別事情を確認したうえで慎重に判断する必要があります。
経営者
社長に賞与を出したい場合、実務上は何を準備すればよいですか?
税理士
まず、会社の設立日を確認します。
次に、社長の就任日、職務開始日、賞与の支給予定日、支給額を確認します。
そのうえで、株主総会等で、いつ、いくら支給するかを決議し、議事録を作成します。
そして、設立の日以後2か月を経過する日までに、所轄税務署へ事前確定届出給与の届出書を提出します。
届出後は、原則として届出どおりの日付・金額で支給します。
経営者
第1期で利益が出そうなので、あとから賞与で調整したいと思っていました。
税理士
その考え方は危険です。
社長への賞与は、利益が出たから決算前に自由に払って損金にする、という使い方は原則としてできません。
事前確定届出給与は、あくまで事前に支給時期と支給額を確定させ、その内容どおりに支給する制度です。
したがって、会社設立直後から利益見込み、資金繰り、役員報酬、賞与支給の有無を検討しておく必要があります。
設立してからバタバタして、気づいたら2か月経過。これは実務ではわりと起こります。税務の世界では、うっかりにも締切はやって来ます。冷酷ですね。
経営者
結局、会社設立1期目に社長賞与を出したい場合、一番注意すべきことは何ですか?
税理士
一番重要なのは、設立日から2か月以内に、支給日と支給額を確定させて届出をすることです。
そして、届出後は、原則としてその内容どおりに支給することです。
会社設立1期目でも社長に賞与を支給すること自体は可能です。
ただし、法人税上の損金にしたいのであれば、事前確定届出給与の期限、決議、届出内容、実際の支給額をすべてそろえる必要があります。
町田・相模原で会社設立後の役員報酬に不安がある方へ
会社設立1期目は、役員報酬、社長賞与、資金繰り、社会保険料、法人税の見通しを同時に考える必要があります。
特に、社長への賞与を法人税上の損金にしたい場合は、設立後2か月以内の届出期限を見落とすと、取り返しがつかないことがあります。
町田・相模原で会社設立後の役員報酬、事前確定届出給与、決算対策に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、会社の設立日、社長の就任日、職務開始日、株主総会等の決議日、支給予定日、支給額、届出状況によって異なります。設立から既に2か月を経過している場合や、届出内容どおりに支給できない可能性がある場合は、個別確認が必要です。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




