会社が赤字で法人税額が0円の場合、「税金が出ないなら、法人税の確定申告はしなくてもよいのでは」と考えてしまうことがあります。
しかし、法人税では、黒字の場合の所得金額だけでなく、赤字の場合の欠損金額も申告書に記載して提出することになっています。
そのため、会社が赤字であっても、原則として法人税の確定申告は必要です。
経営者
会社が赤字でも、法人税の確定申告は必要ですか?
税金が0円なら、申告しなくてもよいのでしょうか?
税理士
はい。会社が赤字で法人税額が0円でも、原則として法人税の確定申告は必要です。
法人税法では、内国法人は各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、確定した決算に基づいて確定申告書を提出しなければならないとされています。
そして、その申告書に記載する事項には、黒字の場合の「所得の金額」だけでなく、赤字の場合の「欠損金額」も含まれています。
つまり、赤字だから申告書を出さなくてよい、という制度にはなっていません。
経営者
法人税が0円でも、申告書だけは出す必要があるということですか?
税理士
そのとおりです。
「税金がないこと」と「申告しなくてよいこと」は別です。
たとえば、3月決算の会社で、売上が1,000万円、経費が1,300万円、法人税上の欠損金が300万円になったとします。
この場合、法人税額は原則として0円でも、3月31日決算であれば、原則として5月31日までに法人税の確定申告書を提出します。
経営者
申告期限は、いつまでですか?
税理士
通常の法人税の確定申告期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
たとえば、次のようになります。
3月31日決算の場合は、原則として5月31日までです。
6月30日決算の場合は、原則として8月31日までです。
12月31日決算の場合は、原則として翌年2月末までです。
申告期限と納付期限は、通常どちらもこの日になります。
経営者
株式会社なら、株主総会があるので3か月以内でよいと聞いたことがあります。
税理士
そこは誤解しやすい点です。
株式会社だから自動的に3か月以内でよい、というわけではありません。
法人税の申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
ただし、定款等の定めにより2か月以内に定時総会を開催できない常況にある法人などについては、事前に申請し、税務署長の承認を受けることで、申告期限の延長が認められる場合があります。
つまり、申告期限の延長は自動ではありません。承認を受けていない会社は、原則どおり2か月以内に申告する必要があります。
経営者
赤字なら、申告しても意味がないように感じます。
税理士
むしろ、赤字の年度こそ申告が重要です。
青色申告法人の場合、一定の要件を満たせば、赤字である欠損金を将来の黒字と相殺できる制度があります。
これを欠損金の繰越控除といいます。
現行法では、原則として、その事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度に生じた欠損金を、将来の所得から控除できる制度があります。
経営者
具体的には、どういうことですか?
税理士
たとえば、次のような会社を考えます。
1期目が500万円の赤字。
2期目が100万円の赤字。
3期目が600万円の黒字。
この場合、一定の要件を満たせば、1期目と2期目の欠損金を3期目の所得と相殺できる可能性があります。
つまり、赤字の年度にきちんと申告しておくことで、将来黒字になったときの法人税を抑えられる可能性があります。
赤字だから申告しない、というのは、将来使えるかもしれない税務上の権利を捨てるようなものです。
経営者
欠損金を繰り越すには、何か要件がありますか?
税理士
あります。
欠損金の繰越控除を受けるには、欠損金が生じた事業年度について確定申告書を提出していること、その後も連続して確定申告書を提出していること、帳簿書類を保存していることなどが必要です。
特に青色申告法人では、赤字の年度の申告を軽く考えてはいけません。
赤字の年度をきちんと申告しておかないと、将来の黒字と相殺するための繰越欠損金を正しく使えなくなる可能性があります。
経営者
申告期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
税理士
期限を過ぎてしまった場合でも、放置せず、速やかに期限後申告を行う必要があります。
赤字で法人税額が0円であれば、法人税の納付そのものは通常ありません。
しかし、期限後申告を繰り返すと、青色申告承認の取消しリスクが問題になります。
法人税法では、確定申告書を提出期限までに提出しなかったことが、青色申告承認の取消事由として定められています。
ただし、期限を1日過ぎた瞬間に法律上当然に青色申告が取り消される、という意味ではありません。税務署長が取り消すことができる、という規定です。
それでも、期限後申告を繰り返すことは、青色申告、欠損金の繰越し、青色申告法人を要件とする各種税制に影響し得るため、避けるべきです。
経営者
赤字なら、法人税以外の税金も発生しませんか?
税理士
赤字でも、法人税以外の税金が発生することがあります。
代表的なのは、法人住民税の均等割です。これは所得が赤字でも発生する場合があります。
また、消費税は会社の利益とは別に計算します。
そのため、法人税は赤字で0円でも、消費税は納付になることがあります。
「赤字だから税金も申告も全部なし」と考えるのは危険です。
経営者
結局、赤字の会社は何をすればよいですか?
税理士
まず、決算を行い、法人税上も赤字、つまり欠損金になるのかを確認します。
そのうえで、申告期限までに法人税の確定申告書を提出します。
青色申告法人であれば、繰越欠損金を別表七(一)などで正しく管理することも重要です。
また、法人住民税や事業税、消費税の申告・納付が必要かも確認してください。
すでに期限を過ぎている場合は、放置せず、速やかに期限後申告を行うべきです。
町田・相模原で赤字決算や法人税申告に不安がある方へ
会社が赤字の場合でも、法人税の確定申告は原則として必要です。
特に設立直後や創業期の会社では、赤字が出ること自体は珍しくありません。しかし、赤字の年度をきちんと申告しておくことで、将来の黒字と相殺できる欠損金の繰越しにつながる可能性があります。
一方で、期限後申告を繰り返すと、青色申告承認や欠損金繰越しに影響するおそれがあります。
町田・相模原で、赤字決算、法人税申告、繰越欠損金、申告期限の管理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の申告義務、申告期限、欠損金の繰越し、青色申告の取扱いは、決算日、申告期限延長の承認の有無、青色申告承認の有無、過年度の申告状況、消費税の課税状況などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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