ふるさと納税をした場合、原則として税金の控除を受けるには確定申告が必要です。
しかし、一定の会社員等については、寄附先自治体へ申請することで、確定申告をしなくてもふるさと納税の控除を受けられる制度があります。
これが、ワンストップ特例制度です。
会社員
ワンストップ特例制度について、わかりやすく教えてください。
税理士
ワンストップ特例制度は、一言でいうと、ふるさと納税について、一定の人が確定申告をしなくても控除を受けられる制度です。
主に、会社で年末調整を受けていて、ふるさと納税以外には確定申告をする必要がない給与所得者を想定した制度です。
会社員
ふるさと納税をすると、普通は確定申告が必要なのですか?
税理士
はい。ふるさと納税は、税法上は地方公共団体への寄附です。
そのため、所得税や住民税の控除を受けるには、原則として確定申告で寄附金控除を受ける手続をします。
ただし、一定の給与所得者等については、寄附先自治体にワンストップ特例申請をすることで、確定申告を省略できます。
会社員
どんな人がワンストップ特例を使えますか?
税理士
大きくいうと、次の2つを満たす人です。
1つ目は、もともと所得税の確定申告をする必要がない人です。
2つ目は、その年のふるさと納税先が5自治体以内である人です。
典型例は、給与が1社のみで、会社で年末調整を受けており、副業や医療費控除などで確定申告をする予定がなく、ふるさと納税先が5自治体以内の会社員です。
会社員
個人事業主はワンストップ特例を使えますか?
税理士
個人事業主は、基本的にはワンストップ特例ではなく、確定申告でふるさと納税を申告します。
個人事業主は、事業所得について毎年確定申告をするのが通常です。
ワンストップ特例は、確定申告をしない人向けの簡便制度です。そのため、確定申告をする人は、ふるさと納税も確定申告書に入れて申告します。
会社員
5自治体以内というのは、5回までという意味ですか?
税理士
いいえ。ここは非常によく間違えます。
ワンストップ特例の要件は、寄附回数が5回以内ではなく、寄附先の自治体が5団体以内という意味です。
たとえば、A市に3回、B市に2回、C町に5回、D県に1回、E市に4回寄附した場合、寄附回数は合計15回です。
しかし、寄附先自治体は5団体です。
この場合、5団体以内という要件は満たします。
会社員
では、6自治体に寄附したら、6自治体目だけ確定申告すればよいですか?
税理士
いいえ。
6自治体以上に寄附した場合は、ワンストップ特例の要件を満たしません。
この場合、6自治体目だけを確定申告するのではなく、その年のふるさと納税をすべて確定申告に入れます。
1から5自治体目はワンストップ、6自治体目だけ確定申告、という分け方はしません。
会社員
同じ自治体に何回も寄附した場合、ワンストップ申請は1回でよいですか?
税理士
自治体数としては1自治体と数えます。
ただし、ワンストップ特例申請は、各寄附について漏れなく処理されているかを確認する必要があります。
自治体によっては、同じ年に同じ自治体へ複数回寄附した場合でも、1回の寄附ごとに申請書が必要と案内していることがあります。
オンライン申請では複数寄附をまとめて処理できる場合もありますが、具体的な扱いは寄附先自治体の案内を確認してください。
会社員
申請期限はいつまでですか?
税理士
原則として、寄附した年の翌年1月10日までです。
2026年中のふるさと納税であれば、2027年1月10日までにワンストップ特例申請を行う必要があります。
書面申請の場合は、1月10日必着としている自治体が一般的です。
年末ぎりぎりに寄附した場合、寄附だけで安心せず、年明けすぐにワンストップ申請まで完了させる必要があります。
会社員
申請先は、税務署ですか?それとも自分が住んでいる市役所ですか?
税理士
どちらでもありません。
ワンストップ特例申請書の提出先は、寄附先の自治体です。
たとえば、東京都に住んでいる人が北海道札幌市へふるさと納税をした場合、ワンストップ特例申請は札幌市へ行います。
その後、寄附先自治体から住所地の自治体へ必要情報が連携され、翌年度の住民税で控除が反映されます。
会社員
ふるさと納税サイトで「ワンストップ希望」にチェックすれば、それで完了ですか?
税理士
必ずしも完了ではありません。
寄附時にワンストップ特例を希望するにチェックしても、その後に申請書の提出やオンライン申請が必要になる場合があります。
つまり、寄附したこと、返礼品が届いたこと、ワンストップ希望にチェックしたことだけで、税控除の手続が完了するわけではありません。
ワンストップ特例を使う場合は、各寄附について申請が完了しているか、受付状況まで確認するのが安全です。
会社員
紙で申請する場合は、何が必要ですか?
税理士
一般的には、寄附金税額控除に係る申告特例申請書に加えて、マイナンバー確認書類と本人確認書類が必要です。
マイナンバーカードがある場合は、自治体の案内に従ってカードの写し等を添付します。
最近はオンライン申請に対応している自治体も増えていますが、対応サービスや操作方法は自治体によって異なります。
会社員
ワンストップ特例を使うと、所得税は還付されないのですか?
税理士
はい。ワンストップ特例では、所得税から直接還付されるわけではありません。
確定申告をした場合は、所得税と翌年度住民税から控除されます。
一方、ワンストップ特例を使った場合は、本来の所得税控除相当分も含めて、翌年度の住民税からまとめて控除されます。
そのため、適切に適用されれば、基本的には確定申告した場合と同等の税負担軽減になるよう設計されています。
会社員
つまり、所得税の還付がないから損、ということではないのですね。
税理士
そのとおりです。
たとえば、上限内で10万円のふるさと納税をした場合、自己負担2,000円を除いた約98,000円が控除対象になるイメージです。
確定申告なら、所得税の還付と住民税の減額に分かれます。
ワンストップ特例なら、所得税相当分も含めて翌年度の住民税から控除されます。
銀行口座に所得税の還付金が振り込まれないため実感しにくいですが、翌年度の住民税が少なくなる形で反映されます。
会社員
いつ税金が安くなったと分かりますか?
税理士
会社員の場合、翌年5月から6月頃に勤務先経由などで住民税決定通知書を受け取ります。
ワンストップ特例が反映されているかは、その住民税決定通知書の寄附金税額控除、税額控除額、摘要欄などで確認します。
ただし、住宅ローン控除など他の税額控除がある場合は、単純に寄附額から2,000円を引いた金額だけで確認できないことがあります。
会社員
ワンストップ申請をした後に、医療費控除を受けるため確定申告をすることになりました。
税理士
その場合は非常に注意が必要です。
確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になります。
そのため、医療費控除だけを確定申告するのではなく、ワンストップ申請済みの分も含め、その年のふるさと納税をすべて確定申告書に入れる必要があります。
たとえば、A市、B市、C市にふるさと納税をして、すべてワンストップ申請済みだったとしても、医療費控除のために確定申告するなら、A市、B市、C市の寄附をすべて確定申告に入れます。
会社員
確定申告で、ワンストップ申請済みのふるさと納税を入れ忘れたらどうなりますか?
税理士
ワンストップ特例は確定申告により無効になるため、そのままでは控除が正しく受けられない可能性があります。
この場合、所得税については更正の請求により寄附金控除を追加できる場合があります。
ただし、所得税額がすでに0円で、更正の請求をしても所得税額が変わらないような場合には、住所地の自治体への相談が必要になることがあります。
確定申告をする場合は、ワンストップ申請済みかどうかに関係なく、その年のふるさと納税をすべて申告書に入れると覚えてください。
会社員
ワンストップ申請後に引っ越した場合はどうなりますか?
税理士
寄附した翌年1月1日までに住所や氏名などが変わった場合には、申告特例申請事項変更届が必要になる場合があります。
この変更届も、原則として寄附した翌年1月10日までに提出します。
たとえば、2026年10月に寄附してワンストップ申請をし、その後2026年12月に引っ越して、2027年1月1日時点の住所が変わっている場合は注意が必要です。
結婚などで氏名が変わった場合も、自治体の案内に従って変更届の要否を確認してください。
会社員
申請期限に間に合わなかったら、もう控除は受けられませんか?
税理士
ふるさと納税の控除自体がなくなるわけではありません。
ワンストップ特例が使えなくなるだけです。
たとえば、2026年分のワンストップ申請期限である2027年1月10日に間に合わなかった場合でも、2026年分の所得税の確定申告をして、ふるさと納税を寄附金控除として申告すれば、控除を受けられる可能性があります。
会社員
結局、ワンストップ特例を使うべき人と、確定申告すべき人はどう分ければよいですか?
税理士
判断順序はシンプルです。
まず、その年について確定申告をする必要があるかを確認します。
確定申告をする人は、ワンストップ特例ではなく、ふるさと納税をすべて確定申告に入れます。
確定申告をしない人で、ふるさと納税先が5自治体以内であれば、ワンストップ特例を使える可能性があります。
会社員で、年末調整だけで税金が完結し、医療費控除や副業の確定申告がなく、寄附先が5自治体以内なら、ワンストップ特例を検討しやすいです。
一方、個人事業主、不動産所得がある人、医療費控除を受ける人、住宅ローン控除初年度の人、副業等で確定申告が必要な人、6自治体以上へ寄附した人は、確定申告でふるさと納税を申告します。
町田・相模原でふるさと納税や確定申告に不安がある方へ
ワンストップ特例制度は便利ですが、確定申告をした瞬間に無効になる、5回ではなく5自治体以内で判断する、住所変更があると変更届が必要になるなど、意外と間違えやすい制度です。
特に、医療費控除、副業、不動産所得、個人事業、住宅ローン控除初年度、株式の損失申告などがある場合は、ワンストップ特例ではなく確定申告で処理すべきケースがあります。
町田・相模原で、ふるさと納税、医療費控除、確定申告、個人事業主の申告について不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の控除額、ワンストップ特例の適用可否、確定申告の要否は、所得内容、寄附先数、他の控除、住所変更の有無などによって異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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