年末調整を受けている会社員の方から、よく次のような質問を受けます。
「会社で年末調整をしているので、確定申告は不要ですよね?」
多くの会社員は、年末調整だけで所得税の精算が終わります。
ただし、年末調整をしたからといって、必ず確定申告が不要になるわけではありません。
年末調整は、会社が給与に関する所得税を年末に精算する手続です。
一方、確定申告は、本人が1年間のすべての所得と控除をまとめて最終精算する手続です。
つまり、年末調整は給与についての精算、確定申告は年間全体の最終精算です。
会社員
年末調整と確定申告の関係がよく分かりません。
会社で年末調整をしてもらっていれば、確定申告はしなくてよいのでしょうか?
税理士
多くの会社員の方は、年末調整だけで所得税の精算が終わります。
年末調整は、会社が1年間の給与、扶養、生命保険料控除などを反映して、給与に関する所得税を精算する手続です。
そのため、1社から給与を受けていて、他に所得がなく、必要な控除もすべて年末調整で反映されている場合は、原則として確定申告は不要です。
会社員
では、年末調整をしていれば、絶対に確定申告はいらないということですか?
税理士
いいえ。そこが重要です。
年末調整をしていても、確定申告が必要になる場合があります。
また、確定申告の義務はなくても、医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除の初年度などにより、確定申告をした方が税金が戻る場合もあります。
会社員
年末調整と確定申告は、どう違うのですか?
税理士
一番大きな違いは、対象範囲です。
年末調整は、会社が給与に関する所得税を年末に精算する手続です。
毎月の給与からは、概算で所得税が源泉徴収されています。しかし、毎月の源泉徴収だけでは、年間給与、扶養家族、配偶者の所得、生命保険料控除などを完全には反映できません。
そこで、年末に会社が年間税額を計算し直し、毎月天引きした所得税が多ければ還付し、不足していれば追加徴収します。
これが年末調整です。
一方、確定申告は、給与だけでなく、副業、事業、不動産、株式、医療費控除、寄附金控除などを含めて、本人が1年間全体を精算する手続です。
会社員
確定申告をする場合、年末調整済みの給与は除外して、追加分だけ申告すればよいのですか?
税理士
いいえ。ここは間違いやすいポイントです。
確定申告をする場合は、年末調整済みの給与も含めて、1年間全体を改めて計算します。
源泉徴収票に記載された給与収入、給与所得控除後の金額、所得控除の額、源泉徴収税額などを確定申告に反映します。
年末調整で既に徴収・精算された所得税は、確定申告で最終税額から差し引かれるイメージです。
したがって、年末調整は無駄になるわけではありません。
会社員
年末調整だけで終わる人は、どのような人ですか?
税理士
典型的には、1社から給与を受けていて、他に所得がなく、必要な控除もすべて年末調整で反映されている人です。
たとえば、会社員として1社だけに勤務し、給与収入が2,000万円以下で、副業や不動産所得などがなく、生命保険料控除や扶養控除なども会社に提出済みであれば、通常は年末調整だけで終わります。
所得税法でも、一定の年末調整済み給与所得者について、確定申告を不要とする仕組みが定められています。
会社員
年末調整をしていても、確定申告が必要になる代表例を教えてください。
税理士
代表例は次のようなケースです。
給与収入が2,000万円を超える人、1か所給与で副業所得などが20万円を超える人、2か所以上から給与を受けていて一定基準を超える人、事業所得や不動産所得があり税額が生じる人などです。
また、株式、FX、暗号資産、不動産売却、退職所得、同族会社役員として会社から家賃や利息を受け取っている場合などは、個別に確定申告の要否を確認する必要があります。
会社員
副業がある場合は、必ず確定申告が必要ですか?
税理士
必ずではありませんが、注意が必要です。
一般的な1か所給与の会社員について、給与・退職所得以外の所得が20万円を超える場合は、原則として所得税の確定申告が必要です。
ここでいう20万円は、売上ではなく所得です。
たとえば、副業売上が100万円で、副業経費が60万円なら、副業所得は40万円です。
この場合、20万円を超えているため、原則として確定申告が必要になります。
会社員
副業所得が20万円以下なら、何もしなくてよいのですか?
税理士
そこも誤解が多いところです。
副業所得が20万円以下の場合、一定の給与所得者については、所得税の確定申告を省略できることがあります。
ただし、これはその所得が非課税になる制度ではありません。
また、住民税については、所得税と同じ20万円ルールが用意されているわけではないため、所得税の確定申告をしない場合でも、住民税申告が必要になるのが原則です。
会社員
副業所得が15万円で、医療費控除を受けたい場合はどうなりますか?
税理士
非常に重要なケースです。
副業所得15万円だけなら、一定の給与所得者については所得税の確定申告を省略できる場合があります。
しかし、医療費控除を受けるために確定申告をするなら、その副業所得15万円も含めて申告します。
20万円以下だから確定申告書から除外してよい、という意味ではありません。
20万円ルールは、一定の場合に申告書の提出を省略できる制度です。確定申告をする以上は、原則として課税対象となる所得をすべて含めて年間所得を計算します。
会社員
医療費控除は年末調整ではできないのですか?
税理士
医療費控除は、年末調整では受けられません。
年間の医療費が多く、医療費控除を受ける場合は、会社で年末調整を受けたうえで、翌年に確定申告をします。
これは年末調整を取り消すわけではありません。
年末調整済みの源泉徴収票をもとに、確定申告で医療費控除を追加して、年間税額を再計算する流れです。
会社員
セルフメディケーション税制も年末調整ではできませんか?
税理士
はい。セルフメディケーション税制も年末調整では受けられません。
医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用です。
どちらを使うかを検討し、使う場合は確定申告で申告します。
会社員
ふるさと納税は年末調整でできますか?
税理士
ふるさと納税は寄附金控除に関係するため、年末調整では処理できません。
原則として確定申告が必要です。
ただし、一定の会社員で、寄附先が5自治体以内などの要件を満たす場合は、ワンストップ特例を利用することで、確定申告をしなくても控除を受けられる場合があります。
会社員
ワンストップ特例を使った後に、医療費控除のため確定申告をしたらどうなりますか?
税理士
その場合、ワンストップ特例は無効になります。
たとえば、ふるさと納税についてワンストップ申請をしていた人が、後から医療費控除のために確定申告をする場合、ワンストップ申請済みのふるさと納税も含めて、すべて確定申告書に入れ直す必要があります。
ここを忘れると、ふるさと納税の控除が正しく反映されないことがあります。
会社員
住宅ローン控除は年末調整でできますか?
税理士
住宅ローン控除は、初年度と2年目以後で扱いが違います。
給与所得者でも、住宅ローン控除の初年度は、原則として確定申告が必要です。
一定の要件を満たせば、2年目以後は年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。
そのため、住宅を購入した最初の年は、会社員の方でも確定申告が必要になる代表例です。
会社員
2か所から給与をもらっている場合はどうなりますか?
税理士
2か所以上から給与を受けている場合は、確定申告が必要になることがあります。
通常、主たる勤務先では年末調整されます。
ただし、年末調整されなかった給与収入と、給与・退職所得以外の所得の合計が一定額を超える場合などには、原則として確定申告が必要です。
副業がアルバイト給与の場合などは、この2か所給与の判定が必要になります。
会社員
転職した場合も、2か所給与として確定申告が必要ですか?
税理士
転職は、同時に2社から給与を受けている場合とは少し違います。
たとえば、1月から6月までA社、7月から12月までB社に勤務している場合、A社の源泉徴収票をB社へ提出すれば、原則としてB社がA社分も含めて年末調整します。
したがって、転職しただけで必ず確定申告が必要になるわけではありません。
一方、前職の源泉徴収票を転職先へ提出できず、転職先で前職分を含めた年末調整ができない場合は、本人が確定申告で精算する必要があります。
会社員
年の途中で退職して、そのまま再就職していない場合はどうなりますか?
税理士
一般的な中途退職者は、その年の年末調整を受けていないことがあります。
その場合、毎月の給与から源泉徴収された所得税が多すぎることがあり、翌年に確定申告をすると還付されるケースがあります。
退職後に再就職していない人は、源泉徴収票をもとに還付申告を検討してください。
会社員
年末調整で生命保険料控除や扶養控除を出し忘れた場合は、もう控除できませんか?
税理士
いいえ。年末調整で出し忘れたからといって、必ず控除できなくなるわけではありません。
会社側で年末調整の再計算が可能な場合は、会社に再調整を依頼します。
それが難しい場合でも、本人が確定申告をすることで、生命保険料控除、扶養控除、iDeCo等の小規模企業共済等掛金控除などを追加できる場合があります。
会社員
確定申告をすると、年末調整で受けた控除を二重に取れるのですか?
税理士
二重取りはできません。
確定申告では、年末調整済みの源泉徴収票をもとに、その年全体の正しい所得と控除を反映して再計算します。
たとえば、年末調整で生命保険料控除を既に反映している場合、確定申告で同じ控除を二重に上乗せするわけではありません。
年末調整で反映済みのものはそのまま引き継ぎ、年末調整では反映できない控除や申告漏れの控除を追加するイメージです。
会社員
2026年分の確定申告は、いつ行うのですか?
税理士
2026年分の所得税については、通常、2026年12月頃に会社で年末調整が行われます。
その後、2026年末から2027年1月頃に源泉徴収票を受け取り、2027年2月16日から3月15日までの期間に、2026年分の確定申告を行う流れです。
還付申告だけであれば、通常の確定申告期間より前から提出でき、原則として翌年1月1日から5年間提出できます。
ただし、期限内申告が要件となる特例が絡む場合は別途注意が必要です。
会社員
結局、自分が確定申告すべきかは、どう判断すればよいですか?
税理士
まず、給与が1社だけか、2社以上かを確認します。
次に、副業、事業、不動産、株式、FX、暗号資産など、給与以外の所得があるかを確認します。
さらに、医療費控除、セルフメディケーション税制、寄附金控除、住宅ローン控除初年度、雑損控除など、年末調整では受けられない控除があるかを確認します。
ふるさと納税でワンストップ特例を使っている人が確定申告をする場合は、ふるさと納税もすべて申告に入れ直します。
年末調整だけでよいか、確定申告が必要か、確定申告をした方が有利かは、この順番で確認すると整理しやすいです。
町田・相模原で年末調整後の確定申告に不安がある方へ
年末調整を受けている会社員でも、副業、医療費控除、ふるさと納税、住宅ローン控除、転職、中途退職、株式投資、不動産所得などがある場合には、確定申告の要否を個別に確認する必要があります。
特に、副業所得20万円以下の取扱い、ふるさと納税ワンストップ特例後の確定申告、2か所給与、住宅ローン控除初年度は、誤解が多い論点です。
町田・相模原で、年末調整後の確定申告、副業の申告、医療費控除、ふるさと納税、住宅ローン控除について不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の確定申告の要否は、給与収入、給与を受けている会社数、副業所得、不動産所得、株式・FX・暗号資産、医療費控除、寄附金控除、住宅ローン控除、転職・退職の状況などによって異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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