セルフメディケーション税制とは、簡単にいうと、対象となる市販薬を年間12,000円を超えて購入した場合に使える、医療費控除の特例です。
病院代が通常の医療費控除の目安である10万円まで届かない場合でも、ドラッグストアなどで対象医薬品を多く購入している人は、この制度を使える可能性があります。
ただし、ドラッグストアで買ったものがすべて対象になるわけではありません。また、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できず、どちらか一方を選ぶ必要があります。
個人
セルフメディケーション税制ってなんでしょうか?
市販薬を買うと税金が安くなる制度ですか?
税理士
はい。かなり大まかにいうと、対象となる市販薬を年間12,000円を超えて購入した場合に、一定額を所得から控除できる制度です。
正式には、通常の医療費控除の特例という位置付けです。
2026年分については、申告する本人が健康診断や予防接種など一定の取組をしている場合に、本人または生計を一にする家族のために購入した対象医薬品の購入額から12,000円を差し引いた金額を所得控除できます。
控除額の上限は88,000円です。
個人
対象薬を買った金額が、12,000円を超えれば使えるということですか?
税理士
基本的にはそうです。
計算式は次のようになります。
対象医薬品の購入額 − 保険金等で補填された金額 − 12,000円
この金額がセルフメディケーション税制による所得控除額です。
ただし、控除額の上限は88,000円です。
たとえば、対象医薬品を年間50,000円購入していて、保険金等による補填がない場合は、
50,000円 − 12,000円 = 38,000円
となり、38,000円を所得から控除できます。
個人
38,000円がそのまま戻ってくるわけではないんですよね?
税理士
その通りです。
セルフメディケーション税制は、税額控除ではなく所得控除です。
つまり、38,000円がそのまま還付されるのではなく、税金を計算する前の所得を38,000円減らす制度です。
たとえば所得税率が10%の人であれば、所得税だけを見ると、おおむね3,800円程度の軽減効果になります。さらに、翌年度の個人住民税にも影響します。
税金がいくら安くなるかは、その人の所得税率や住民税の状況によって変わります。
個人
対象になる市販薬は、どんなものですか?
風邪薬や花粉症の薬も入りますか?
税理士
対象になる可能性はあります。
制度上は、一定のスイッチOTC医薬品等や、一定の非スイッチOTC医薬品が対象になります。
たとえば、一定の解熱鎮痛薬、風邪薬、鎮咳去痰薬、鼻炎薬、アレルギー薬、外用鎮痛消炎薬などが対象になることがあります。
ただし、風邪薬なら全部対象、花粉症薬なら全部対象、というわけではありません。
同じような商品でも、対象になるものと対象外のものがあります。実際には、レシートの表示や厚生労働省の対象品目一覧で確認します。
個人
ドラッグストアで買ったものなら、サプリやマスクも対象になりますか?
税理士
なりません。
ここは誤解が多いところです。
セルフメディケーション税制の対象になるのは、厚生労働省が対象としている一定の医薬品です。
ドラッグストアで購入したものであっても、サプリメント、健康食品、マスク、消毒用品、日用品などは、通常この制度の対象にはなりません。
また、薬であっても対象品目でなければ、セルフメディケーション税制には使えません。
個人
対象商品かどうかは、どう確認すればよいですか?
税理士
実務上は、まずレシートを見るのが簡単です。
対象商品については、レシートに「セルフメディケーション税制対象」などと表示されることがあります。
また、商品パッケージに識別マークが付いている場合もあります。
ただし、最終的には厚生労働省が公表している対象品目一覧で確認するのが確実です。対象品目は変わることがあるため、申告する年の情報を確認してください。
個人
健康診断を受けていないと使えないと聞いたのですが、本当ですか?
税理士
はい。申告する本人が、その年中に健康の保持増進や疾病予防のための一定の取組をしている必要があります。
たとえば、次のようなものです。
会社の定期健康診断、特定健康診査、一定の人間ドック、インフルエンザなどの一定の予防接種、市町村等が行う一定のがん検診などです。
ポイントは、薬を買った家族全員が健康診断を受ける必要があるわけではないことです。
セルフメディケーション税制を申告する本人が一定の取組をしていれば、その本人と生計を一にする家族の対象医薬品購入費を合算できます。
個人
健康診断代や予防接種代も、セルフメディケーション税制の控除対象になりますか?
税理士
セルフメディケーション税制では、原則として対象になりません。
健康診断や予防接種は、この制度を使うための要件にはなりますが、その費用自体がセルフメディケーション税制の対象医薬品購入費になるわけではありません。
この点も間違えやすいところです。
個人
通常の医療費控除と、セルフメディケーション税制は両方使えますか?
税理士
使えません。
同じ年について、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方を選択します。
たとえば、病院代や歯科代は通常の医療費控除、市販薬はセルフメディケーション税制、というように二重取りすることはできません。
その年の医療費や対象薬の購入額を集計して、どちらが有利かを比較して選びます。
個人
セルフメディケーション税制の対象薬は、通常の医療費控除には入れられないんですか?
税理士
必ずしもそうではありません。
セルフメディケーション税制の対象薬であっても、その薬が治療や療養のために必要な医薬品であれば、通常の医療費控除を選んだ場合に、通常の医療費の一部として計算できることがあります。
つまり、セルフメディケーション税制の対象薬だからといって、セルフメディケーション税制でしか使えないわけではありません。
ただし、同じ年について通常の医療費控除とセルフメディケーション税制を併用することはできません。
個人
どちらを選ぶべきか、具体例で見るとどうなりますか?
税理士
たとえば、病院代などが40,000円、対象薬が50,000円の場合を考えます。
通常の医療費控除では、所得が一定以上であれば、10万円基準に届かず控除が出ないことがあります。
一方、セルフメディケーション税制では、
50,000円 − 12,000円 = 38,000円
となるため、セルフメディケーション税制の方が有利になる可能性があります。
逆に、病院代、歯科代、通院交通費などが300,000円あり、対象薬が30,000円程度であれば、通常の医療費控除の方が有利になる可能性が高いです。
年末には、通常の医療費控除額とセルフメディケーション税制の控除額を両方計算して、有利な方を選ぶのが実務的です。
個人
確定申告では何を提出しますか?
税理士
セルフメディケーション税制を使う場合は、確定申告書にセルフメディケーション税制の明細書を添付します。
また、対象医薬品の領収書や、健康診断・予防接種など一定の取組を行ったことが分かる書類は、税務署から確認を求められる可能性があります。
そのため、原則として5年間保存しておく必要があります。
レシートは捨てずに保管し、対象商品が分かるようにしておきましょう。
個人
2027年から制度が変わるという話もありますか?
税理士
2027年分以後については、制度の見直しが予定されています。
2026年分については、12,000円を超える部分が控除対象で、控除上限は88,000円という基本構造で考えます。
ただし、2027年分以後は対象医薬品の範囲などが変わる可能性があるため、実際に申告する年の最新の対象品目や法令を確認してください。
特に市販薬は商品単位で対象・対象外が分かれるため、毎年同じ商品なら必ず対象になる、と決めつけない方が安全です。
町田・相模原で医療費控除・確定申告に不安がある方へ
セルフメディケーション税制は、病院代が少ない人でも、市販薬の購入額によっては使える可能性がある制度です。
一方で、通常の医療費控除との選択、対象医薬品の確認、健康診断等の要件、レシートや明細書の保存など、確認すべき点も多くあります。
町田・相模原で、医療費控除、セルフメディケーション税制、個人の確定申告について不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、2026年分の制度を前提に、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の適用可否は、購入した医薬品、レシートの表示、健康診断等の実施状況、通常の医療費控除との有利不利判定などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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