不動産投資の節税、本当に得する人・損する人の違いとは

不動産投資会社の営業担当から「節税になりますよ」とすすめられて、なんとなく前向きな気持ちになっていませんか。
それとも、経営者仲間や同僚が不動産投資で節税していると聞いて、自分も始めるべきか迷っているところでしょうか。

結論からいうと、不動産投資の節税効果には向き・不向きがはっきりあります。
仕組みを理解しないまま契約してしまうと、節税どころか数十年単位のローンだけが手元に残ることにもなりかねません。
まずは「なぜ節税になるのか」「なぜ思ったほど効果が出ない人がいるのか」から整理していきます。

なぜ「思ったほど節税にならない」人がいるのか

不動産投資の節税は、減価償却費という「実際にお金が出ていかない経費」を使って、帳簿上の所得を圧縮する仕組みで成り立っています。
建物の購入代金を法定耐用年数に応じて数年から数十年に分けて経費計上し、その年の不動産所得が赤字になれば、給与所得や事業所得と相殺する「損益通算」によって所得税・住民税を軽減できます。
節税全般の考え方は節税の基本と失敗しない考え方でも解説していますので、あわせて確認してみてください。

ただし、この仕組みが効果を発揮しやすいのは、主に課税所得900万円を超えるあたりからだといわれています。
所得税は所得が多いほど税率が上がる累進課税のため、税率33%の層と23%の層とでは、同じ100万円の赤字でも軽減される税額に10万円の差が出ます。
課税所得がこの水準に届かない場合、修繕費や管理費、ローン金利、空室リスクといった実際の支出のほうが、節税で浮くお金より大きくなってしまうケースも珍しくありません。
会社員として節税を検討している場合は、サラリーマンの節税、何から始める?にも目を通しておくと判断材料が増えるはずです。

もう一つ見落とされがちなのが、節税効果は年々目減りしていくという点です。
物件を取得した初年度は、登録免許税や不動産取得税、仲介手数料などの初期費用をまとめて経費にできるため、節税効果がもっとも大きくなります。
しかし2年目以降はこうした一時費用がなくなり、減価償却費だけが経費の主役になるため、効果は徐々に小さくなっていくのです。

そして、減価償却の期間が終わったときに待っているのが「デッドクロス」と呼ばれる状態です。
経費として計上できる減価償却費がなくなる一方でローンの元本返済は続くため、帳簿上の利益は急に増えるのに手元の現金は増えない、という逆転現象が起こります。
ここを見誤ると、黒字なのに納税資金が足りないという事態にもなりかねません。

節税で損をしないための考え方・手順

順番に考えていくと、判断の道筋が見えてきます。

  1. 自分の課税所得を確認する:目安となる課税所得900万円のラインに届いているか、届いていないなら不動産投資以外の節税手段のほうが適していないかを先に検討します。
  2. 建物割合が高く、減価償却を大きく取れる物件を選ぶ:減価償却の対象になるのは建物部分のみで、土地部分は対象外です。
    木造は法定耐用年数が短いため、築年数が経過した木造物件ほど年間あたりの減価償却費を大きく計上しやすくなります。
  3. 出口戦略をあらかじめ決めておく不動産の譲渡所得税は、保有期間5年超なら約20%、5年以下なら約39%と大きく異なります
    減価償却が一巡するタイミングと、税率が下がるタイミングを見比べて、いつ売るかを事前にイメージしておきます。
  4. 帳簿上の赤字とキャッシュフローを混同しない:減価償却による赤字はあくまで会計上のものです。
    手元の現金がどう動いているかは別に管理します。
  5. 契約前に税理士へ相談する:物件ごとの償却シミュレーションや、自分の所得状況に合った節税効果を、契約前の段階で数字に落として確認してもらうのが安全です。

つまずきやすいポイント・よくある誤解

「節税になる」という言葉だけで新築の区分マンションを選んでしまうのは、よくあるつまずきです。
新築区分マンションは建物価格に対して土地の価格割合が大きく、法定耐用年数も長いため、年間の減価償却費が小さくなりがちで、思うような節税効果を得にくい傾向があります。

また、節税効果がずっと続くと思い込んでしまうのも誤解のひとつです。
実際には初年度がもっとも効果が大きく、2年目以降は徐々に効果が薄れ、いずれデッドクロスの局面を迎えます。

売却時の税金を計算に入れていないケースも見受けられます。
減価償却を大きく計上した物件ほど、売却時の取得費が小さく扱われるため譲渡益が大きく計算され、想定外の税負担につながることがあります。

生活費や私的な支出まで経費に含めてしまうのも避けたいところです。
こうした処理が税務調査で否認された場合、本来の税額に加えて重加算税や延滞税を負担することになりかねません。

まとめ

不動産投資の節税は、仕組みと自分の所得状況を正しく理解して初めて効果を発揮するものです。
物件選びと出口戦略まで含めて具体的に検討したうえで、一歩を踏み出すかどうかを判断してみてください。

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末廣 大地
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。