「家族に払ったことにして経費を増やせば、税金を減らせるのではないか」と考える方がいるかもしれません。
しかし、実際には支払っていない、または仕事をしていない家族に対して、給与や外注費を「払ったことにする」のは、単なる節税ではありません。税務上は架空経費として否認される可能性が高く、意図的な仮装・隠蔽と判断されれば、重加算税の対象にもなり得ます。
この記事では、個人事業主を前提に、家族への架空給与・架空外注費がなぜ危険なのか、実際に家族が働いている場合はどう処理すべきかを整理します。
町田・相模原で、経費処理や税務調査リスクを税理士に確認したい方は、[タクスリンク税理士事務所のトップページ](/)もあわせてご覧ください。
個人事業主
家族に払ったことにして経費を増やすと、税務署にバレますか?
税理士
実際には支払っていない、または仕事をしていない家族に対して、給与や外注費を払ったことにするのはやめるべきです。
これは「節税」ではなく、架空経費の計上です。税務調査で否認されるだけでなく、意図的な仮装・隠蔽と判断されれば、重加算税の対象になる可能性があります。
個人事業主
でも、家族だから外からは分かりにくいのではありませんか?
税理士
分かりにくいとは限りません。
税務調査では、支払記録、振込履歴、現金出納帳、家族が実際に行った業務、勤務時間、成果物、金額の相当性、家族側の申告内容などを確認されます。
家族に本当に支払っているのか、家族が本当に働いているのか、支払った金額が業務内容に見合っているのかは、調査で問題になりやすい部分です。
個人事業主
請求書や領収書を作っておけば大丈夫ですか?
税理士
後から形だけの請求書や領収書を作っても、安全にはなりません。
むしろ、実態のない書類を作成すると、仮装・隠蔽の根拠として見られる可能性があります。
税務上重要なのは、書類の形だけではなく、実際に業務が行われ、実際に支払いがあり、その金額が業務内容に照らして相当であることです。
個人事業主
実際に家族が少し手伝っている場合は、経費にできますか?
税理士
ここは注意が必要です。
個人事業では、事業主と生計を一にする配偶者その他の親族に対して支払った対価は、原則としてそのまま必要経費にはできません。
つまり、実際に家族が働いていて、実際に支払っている場合でも、同一生計の親族であれば、通常の給与や外注費と同じように経費処理できるわけではありません。
個人事業主
では、家族に仕事をしてもらうこと自体がダメなのですか?
税理士
家族に仕事をしてもらうこと自体がダメなのではありません。
青色申告者であれば、青色事業専従者給与の届出を行い、届出の範囲内で実際に給与を支払い、労務の内容や従事期間、事業規模などから見て相当な金額であれば、必要経費にできる場合があります。
白色申告の場合も、一定の要件を満たせば事業専従者控除の対象になることがあります。
個人事業主
青色事業専従者給与なら、自由に金額を決めてよいのですか?
税理士
自由にいくらでも経費にできるわけではありません。
青色事業専従者給与は、届出書に記載した金額の範囲内で、実際に支給されていることが前提です。
さらに、その給与額が、専従者の労務の内容、従事の程度、事業の規模、同種同規模の事業における給与水準などから見て相当である必要があります。
個人事業主
外注費として払えば、給与より処理しやすいですか?
税理士
実態が給与なのに外注費として処理すればよい、というものではありません。
家族が独立した事業者として業務を請け負っているのか、指揮命令を受けて働いているのか、成果物があるのか、他の取引先があるのかなど、実態で判断されます。
特に同一生計の親族への支払いは、所得税法上の親族間対価の制限があるため、単に「外注費」という科目名にすれば必要経費にできるわけではありません。
個人事業主
もし、もう申告してしまっている場合はどうすればよいですか?
税理士
まず、後から請求書、領収書、契約書、勤務表などを遡って作成することは避けてください。
確認すべきなのは、どの年度に、どの名目で、いくら計上したのか、実際の支払いがあるのか、家族が実際に業務を行っていたのかです。
そのうえで、修正申告が必要かどうかを検討します。調査の事前通知前に自主的に修正できるかどうかも重要です。ただし、意図的な架空計上がある場合の重加算税の判断は、修正の時期、経緯、仮装行為の内容によって変わります。
個人事業主
重加算税というのは、どのくらい重いのですか?
税理士
重加算税は、単なる計算ミスや判断ミスではなく、課税の基礎となる事実を隠蔽・仮装した場合に問題になります。
過少申告の場合は原則として35%、無申告の場合は原則として40%の重加算税が課され得ます。さらに延滞税なども生じる可能性があります。
金額が大きい、長期間続いている、書類を偽装しているなど悪質な場合には、刑事罰のリスクもゼロではありません。
個人事業主
結局、どう考えればよいですか?
税理士
考え方は明確です。
実際に支払っていない、実際に働いていない家族への支払いを経費にすることはできません。
一方で、実際に家族が事業に従事している場合は、架空計上ではなく、青色事業専従者給与や事業専従者控除など、法律上認められた制度で処理できるかを検討します。
「バレるかどうか」ではなく、「税務調査で説明できる実態があるか」で判断してください。
要点
主な根拠
※本記事は、個人事業主を前提とした一般的な解説です。法人の場合は、法人税、役員給与、源泉所得税、消費税などの検討が別途必要になります。実際の処理は、支払実態、勤務実態、同一生計かどうか、青色申告の届出状況、金額、期間、申告済みかどうかによって異なります。
Author Profile
-
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
Latest entries
税金あれこれ2026年8月6日役員報酬で節税できるって本当?損しない決め方と3つの落とし穴
所得税2026年8月6日家族への架空給与・外注費はバレる?親族への経費計上と重加算税を税理士が解説
税金あれこれ2026年8月5日固定資産税の節税、何から始める?見落としがちな軽減制度と注意点
法人税2026年8月5日代表者個人名の領収書は法人経費にできる?立替経費とインボイス対応を税理士が解説




