「前々年度の売上高が1,000万円未満だから、今期の消費税は免税ですよね?」
個人事業主や小規模法人から、よくいただく質問です。
結論からいうと、前々年度の売上高が1,000万円未満という事実だけでは、今期が免税事業者とは確定できません。
原則として、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税の納税義務は免除されます。
ただし、インボイス登録、課税事業者選択届出書、特定期間、新設法人、高額特定資産などの例外に該当する場合には、前々年度の売上高が1,000万円以下でも課税事業者になることがあります。
経営者
前々年度の売上高が1,000万円未満だったので、今期の消費税はまだ免税ですよね?
税理士
原則としては、免税事業者になる可能性が高いです。
ただし、前々年度の売上高が1,000万円未満というだけでは、今期が免税とは確定できません。
消費税では、まず「基準期間における課税売上高」が1,000万円以下かどうかを確認します。そのうえで、インボイス登録や各種届出、特定期間などの例外に該当しないかを確認する必要があります。
経営者
前々年度の売上高ではなく、「課税売上高」で見るのですか?
税理士
はい。ここは非常に重要です。
消費税の免税判定では、決算書や試算表に載っている会計上の売上高を、そのまま使うとは限りません。
判定に使うのは、消費税法上の「課税売上高」です。
たとえば、土地の売却のような非課税売上は、原則として課税売上高には含まれません。一方で、輸出免税売上は、消費税が免税になる取引ではありますが、課税売上高の判定には含まれます。
売上返品や値引きがある場合も、調整が必要です。
経営者
基準期間とは、いつのことですか?
税理士
個人事業者の場合、原則としてその年の前々年です。
法人の場合、原則としてその事業年度の前々事業年度です。
たとえば、個人事業者の2026年分の消費税を判定する場合、原則として2024年の課税売上高を確認します。
法人の場合は、今期の前々事業年度の課税売上高を確認します。ただし、前々事業年度が1年に満たない場合などは、年換算の論点が生じることがあります。
経営者
前々年度の課税売上高が1,000万円以下なら、基本的には免税なのですね?
税理士
原則はそのとおりです。
消費税法では、基準期間における課税売上高が1,000万円以下である事業者については、原則として消費税の納税義務が免除されます。
ただし、ここで終わらせてはいけません。
基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、次のような例外に該当すると、課税事業者になることがあります。
経営者
どのような例外がありますか?
税理士
代表的なものは5つです。
1つ目は、インボイス登録をしている場合です。
2つ目は、消費税課税事業者選択届出書を提出していて、その効力が続いている場合です。
3つ目は、特定期間の課税売上高や給与等支払額による判定で課税事業者になる場合です。
4つ目は、資本金1,000万円以上の新設法人や、一定の特定新規設立法人に該当する場合です。
5つ目は、高額特定資産を取得したことなどにより、一定期間、免税事業者に戻れない場合です。
経営者
インボイス登録をしていると、売上が1,000万円以下でも課税事業者になるのですか?
税理士
はい。
適格請求書発行事業者、つまりインボイス登録事業者である場合は、登録の効力がある期間について、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても免税事業者にはなりません。
そのため、売上規模だけを見て「今年は免税」と判断するのは危険です。
インボイス登録をしているか、登録日や取消しの効力発生日がいつかを確認する必要があります。
経営者
以前、消費税課税事業者選択届出書を出していた場合はどうなりますか?
税理士
その場合も注意が必要です。
消費税課税事業者選択届出書を提出している場合、その効力が続いている期間は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも免税事業者にはなりません。
設備投資や還付を目的に過去に届出を出している場合、翌期以降も課税事業者のままになっていることがあります。
免税に戻るには、原則として課税事業者選択不適用届出書の提出時期や効力発生時期を確認する必要があります。
経営者
特定期間の判定とは何ですか?
税理士
基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合には、課税事業者になることがあります。
個人事業者の場合、特定期間は原則として前年1月1日から6月30日までです。
法人の場合は、原則として前事業年度開始の日から6か月間です。
また、一定の場合には、特定期間の課税売上高ではなく、給与等支払額で判定することができます。
そのため、前々年度の数字だけではなく、前期上半期の売上と給与も確認する必要があります。
経営者
設立したばかりの法人でも、前々期がなければ免税ですか?
税理士
必ず免税とは限りません。
新設法人であっても、期首の資本金または出資金が1,000万円以上の場合は、原則として免税事業者にはなれません。
また、資本金が1,000万円未満でも、一定の大規模事業者などに支配される特定新規設立法人に該当する場合は、免税事業者になれないことがあります。
設立直後の法人は、基準期間がないから免税と単純に判断せず、資本金、株主関係、親会社・関係会社の有無を確認します。
経営者
高額な設備を買った場合も、免税に戻れないことがあるのですか?
税理士
あります。
課税事業者である期間中に高額特定資産を取得した場合などには、その後一定期間、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも免税事業者に戻れないことがあります。
過去に大きな設備投資をして消費税の還付を受けた場合や、高額な固定資産を取得している場合は、免税判定とは別に確認が必要です。
経営者
結局、今期が免税かどうかを判断するには、何を確認すればよいですか?
税理士
最低限、次の確認が必要です。
個人事業者か法人か、今期と前々年度の具体的な期間、前々年度の課税売上高、インボイス登録の有無、課税事業者選択届出書の提出履歴、特定期間の課税売上高と給与等支払額、新設法人や特定新規設立法人に該当するか、高額特定資産の取得履歴です。
これらを確認したうえで、はじめて「今期は免税」と判断できます。
町田・相模原で消費税の免税判定に不安がある方へ
消費税の免税判定は、「前々年度の売上が1,000万円以下かどうか」だけで終わるものではありません。
インボイス登録、課税事業者選択届出書、特定期間、新設法人、高額特定資産などを確認せずに免税と判断すると、本来申告が必要だったにもかかわらず、消費税の申告漏れになる可能性があります。
特に、法人成り直後、インボイス登録済み、設備投資を行った事業者、前期上半期に売上が急増した事業者は注意が必要です。
町田・相模原で消費税の免税判定やインボイス登録の影響に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の判定は、事業者区分、課税売上高の集計、インボイス登録、届出状況、特定期間、高額特定資産、新設法人特例などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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